5,000円以下限定“安良”カメラバッグ探訪 第3回 Sunkingdomポータブルソーラーカメラバッグ20W
インターネットでカメラ機材を眺めていると「うそ! こんなに安いモノがあるの!?」という製品を発見することはないだろうか? しかし、賢明な読者諸氏のほとんどは「きっと、安いのにはそれなりの理由があるはず」と冷静になり、購入に至らないことも多いだろう。とはいえ、気にはなっている。今回は、そんな格安カメラ機材のなかでも“使い心地”がものをいうカメラバッグについて、実際に購入して試してみようという企画である。
ソーラーパネルで充電ができれば生命が助かることだってあるかもしれない
筆者のようにクルマでの移動が基本で車中泊を繰り返して撮影を行っていると、気になってくるのがソーラーパネルによる太陽光発電である。キャンピングカーや車中泊に特化したクルマでは屋根に大きなソーラーパネルを装備し、テレビや電子レンジなどの家電を動かし、快適に過ごしている方も多いのだろう。とはいえ、クルマのなかで調理をすることもなく、カメラのバッテリーやノートパソコンの充電ができれば十分という筆者にとって、クルマの屋根に装備するような大掛かりなソーラーパネルはオーバースペックである。しかもクルマの走行時にはクルマの電源から電気が使えて充電なども可能なので、ソーラーパネルからの電源供給は基本的に必要としない。
しかし、クルマの電源などがうまく機能しない非常時はどうだろうか。ノートパソコンやカメラのバッテリーの充電というよりも、スマホの充電がソーラーパネルで可能なだけで、場合によっては生命が助かることだってあるかもしれない。ふと、そんなことを思ったのだ。
折りたたみ式のソーラーパネル単体よりも安価なカメラバッグ付きを発見!
ソーラーパネルからの太陽光発電で電気が使えると非常に安心だとは昔から思っていたのだが、本連載のためにおもしろいカメラバッグはないとか探していたときに発見したのが「Sunkingdomポータブルソーラーカメラバッグ20W 5Vソーラーパネル充電器ソーラーバックパック大容量USBポート付き旅行アウトドアクライミング用」(※検索ワード対策でさまざまなワードが入っているので、以降は「Sunkingdomポータブルソーラーカメラバッグ」と記載)だ。筆者が購入した際には税込4,800円から15%のクーポン割引で税込4,080円であった。本連載の5,000円以下というルールにも適合。ちなみに原稿執筆時点の2020年6月10日には税込4,500円からの15%のクーポン割引に値下がりしていた。
ソーラーパネル付きのカメラバッグとしては破格に安い。同じ20Wクラスの折りたたみ式のソーラーパネルが単体で同じ価格帯か、それ以上の価格であることを考えると、カメラバッグ部分はおまけといってもよい価格だ。
しかし、商品ページの解説がやや不安なのである。以下、商品説明の一部、原文ママ。
・カメラバッグに統合された最大電力折りたたみ式ソーラーパネル充電器:当社の折りたたみ式ソーラーパネル充電器は、12Vと5Vの出力で20Wで、高効率でカメラを充電するために使用できます。
・ヒューマナイズデザインで内部と外部の両方:カメラバッグにはハンドルとクロスベルトが付いており、内部スペースはカメラやその他のものを詰めるために広くなっています。
・独自のデュアル電圧コントローラの設計:ほとんどのカメラに対応するため、DC5521ケーブルとDC5521ケーブルをマッチングさせるための電圧は12Vと5Vです。
・耐久性と快適性:ソーラーカメラバッグは高品質の素材で、強い日差しの下でも耐久性に優れ、PVC600D防水生地。
・長寿命とプロフェッショナルサービスを永遠に:弊社には1。5年の保証があり、ご質問へのお答えができます。
ややたどたどしく不安定な日本語には、インターネットショッピングではすでに慣れた感もあるが、筆者にとって大きな問題点はふたつ。1つは、ソーラーパネル部分から電気の出力にUSBコネクタがあるか、ないかが商品名の「Sunkingdomポータブルソーラーカメラバッグ20W 5Vソーラーパネル充電器ソーラーバックパック大容量USBポート付き旅行アウトドアクライミング用」にある“USBポート付き”という言葉だけでスペック表からも、掲載されている写真からも確認できない点。場合によってはDC5521ケーブルのみの可能性も考えられる。もう1つは、同じようにカメラバッグ部分から折りたたみ式のソーラーパネル部分が分離できる構造なのか、どうかがわからないのである。
それでも約4,000円(税込)という、価格に負けてポチった。最悪DC5521はコネクタなどで変換すればよいし、カメラバッグと分離できなければ、我慢すればよい、そう思ったのだ。
実際に届いた製品を確認すると……すべてが杞憂だった
充電するときも、もし常にソーラーパネル部分とカメラバッグが分離できない構造だと使いづらいだろうと思っていたが、ソーラーパネル部分とバッグ部分はファスナーで脱着可能であった。また、折りたたみのソーラーパネル部分もしっかりとした構造で、折りたたんだ際のサイズは約26cm×17cmで厚さは約5cm、質量は約507g。バッグ部分から外しても持ち歩きやすい。
ソーラーパネルからの電気の出力はDC5521(外寸Φ5.5mm、内寸2.1mmのDCプラグ)のみの可能性も覚悟していたが、上の写真のとおり、しっかりUSBコネクタも装備されていた。これで各種充電は格段に簡単になる。商品紹介ページを見て最悪の状態も覚悟してポチったが、すべては杞憂であった。もう少し商品紹介ページできちんと解説するともっと売れると思うのだが……。
おまけと思っていたバッグ部分も予想外に高品質
Sunkingdomポータブルソーラーカメラバッグの購入を検討しているうちに、カメラバッグにソーラーパネルが付いているのではなく、ソーラーパネルのおまけにカメラバッグが付いているような気持ちになっていた。だが、おまけと思っていたカメラバッグ部分もなかなかよくできている。
試しに35mm判フルサイズのミラーレス一眼が入れてみた。
レンズ装着したカメラ本体と身の回りのものを入れて、全く問題なく持ち歩けるので、軽いお散歩的な撮影のカメラバッグとしては十分といえる。さらに小さなSony α7R IIIにレンズを装着して、隣に2本目のレンズ、ブロアー、財布やスマホなどはサイドポケットに収納してみた。
ソーラーパネル部分に気を取られていたことに加え、20Wクラスの折りたたみ式のソーラーパネル単体よりも価格が安いこともあり、いつのまにかバッグ部分はどうもおまけ的な気分になっていた。しかし、実際に機材を収納してみるとよくできている。クッションもしっかりしているので、カメラなどの機材を入れても安心感がある。バッグ自体は小型なので、気軽なスナップといったシーンで活躍してくれそうだ。ただし、スナップ目的でバッグとして持ち歩くときは約500gあるソーラーパネル部分は外したほうが、軽くなって便利かもしれない。
実際にソーラーパネルで発電、充電を行ってみた!
太陽光さえあれば電気が作り出せるというだけで、なにか気持ちに余裕ができるのはなぜだろうか。さて、実際にどの程度充電できるのかを試してみる。ソーラーパネル部分のサイズは広げると約26cm×81cm。まずは、我が家にあったPanasonicの無接点対応USBモバイル電源QE-PL102、充電式リチウムイオン電池3.7V/2700mAh(10Wh)を充電してみた。
・2020年6月 北海道・千歳市 気温22度、晴れ
・10時10分から充電開始
・13時00分満充電グリーンランプが点灯
約3時間で小型ではあるがモバイルバッテリーを満充電できることがわかった。ガンガン充電されるという感じではないが、十分以上の結果といえるだろう。非常時にも朝から昼過ぎまで充電しておけば、その日の夜に使うランプの灯りくらい確保できるイメージだろうか。
次に本命ともいえるスマホ、iPhone 8 Plus(3.82V/2691mAh、10.28Wh)を充電してみた。
・2020年6月 北海道・千歳市 気温22度、晴れ
・13時40分から充電開始 バッテリー残量 54%
・14時40分 バッテリー残量 82% 1時間で28%プラス
・15時10分 バッテリー残量 92% 1時間半で38%プラス
・15時25分 バッテリー残量 92%
・15時35分 バッテリー残量 92% 充電実験終了
ソーラーパネルから供給される電圧的な問題なのか、それとも16時近くなり、太陽の光が弱まったためなのか、充電開始から1時間半の92%で充電が止まってしまった。必ずしも満充電する必要があるわけではないが、少し残念な結果である。しかし、スマホにも十分充電できることがわかった。
実際のところ、ソーラーパネルに頼らないと機材の充電に困るということは、筆者の場合、ほぼないといえる。しかし、電源の確保もできない状況でも、自分はソーラーパネルを使えば、繰り返しスマホの充電が行えるという安心感は、思う以上に心の余裕を与えてくれる。
実用性については、筆者はクルマのダッシュボード上にソーラーパネルを広げて、クルマの電源プラスαの電源として活用している。強力な電源ではないが、USB接続で充電できる程度のアイテムにとっては十分に使える電源になってくれる。なによりもバッグとセットで税込約4,000円という価格は、非常時のためにソーラーパネルからの充電を確保したいと考えている人にはぴったりの商品といえるだろう。