機材レポート

コーティングの違いで描写はどう変わる? 超小型の大口径レンズ「NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II VM」実写レビュー

コシナから、NOKTON Vintage Line 50mm F1.5の後続モデル「NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II VM」が登場。アルミ素材のブラックとシルバーに加え、真鍮素材のニッケル・ブラックペイントを用意。2種類のコーティングから好みで選べる

NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II VM

 

3種類の外装とコーティングで選べるコンパクトな大口径MF標準レンズ

Vintage Line (ヴィンテージライン) シリーズは、クラシカルなデザインと最新光学系の融合が特徴のシリーズ。2代目となる50mm F1.5もクラシックレンズを思わせるデザインだ。しかも鏡筒の仕上げはブラック、シルバー、ニッケル・ブラックペイントの3種類。さらにMC (マルチコーティング) とSC (シングルコーティング) の2種類をそれぞれラインナップする。

NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II VM
右がMC、左がSC。MCはレンズ表面が青や赤など複雑に反射するのに対し、SCは全体がオレンジ色。描写の差はわずかではあるが、SCが柔らかい。どちらも個性が感じられる写りだ。
 

雰囲気のある柔らかい描写が魅力

SCで撮影。絞りは開放。ピントを合わせた風鈴は解像しているが、柔らかさのある写りだ。シャドーの締まりがやや弱く、全体的にコントラストは低め。優しい印象の仕上がりになった。雰囲気を重視した撮影に向いている。

NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II VM 作例
ライカM 絞り優先オート F1.5 1/750秒 ISO200 WB : オート
 

クラシカルなスタイルと個性的な描写性能を両立

鏡筒の仕上げは美しく、まるで戦前のレンズが蘇ったかのようだ。描写はMCもSCも絞り開放では柔らかく、クラシックレンズのようだが、F2.8以上に絞ると引き締まり、高い解像力を見せる。またSCは、MCと比べてわずかにコントラストが低い。クラシックな雰囲気を味わいながら現代的な描写を求めるならMC、描写もクラシックが好みならSCがオススメだ。

手のひらに収まるコンパクトサイズ

AFも自動絞りも持たないので、フルサイズ対応ながらコンパクト。しかし金属製らしい重みも伝わる。ライカMシステムはもちろん、アダプターでミラーレスにも似合いそうだ。

NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II VM
 

最新の光学性能をマニュアル操作で楽しむ

MCで撮影。柱の木の解像感や質感など申し分ない描写だ。強い光が反射していても高いコントラストを維持している。マルチコーティングの威力だろう。味わいのあるクラシカルな操作性と、扱いやすい描写性能を持っている。

NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II VM 作例
ライカM 絞り優先オート F8 1/750秒 ISO200 WB : オート
 

Voigtlander NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II VM 主な仕様

NOKTON Vintage Line 50mm F1.5 Aspherical II VM

発売日 2020年10月22日
希望小売価格
シルバー、ブラック 100,000円 (税別)
ニッケル・ブラックペイント 115,000円 (税別)

カラー シルバー、ブラック、ニッケル・ブラックペイント
マウント VMマウント
焦点距離 50mm
レンズ構成 7群8枚
画角 46.3°
絞り羽根枚数 12枚
開放絞り F1.5
最小絞り F16
最短撮影距離 0.7m
最大撮影倍率 1:1.5
フィルター径 φ43mm
サイズ (最大径×全長) φ55.3×36.9mm
重量 198g (シルバー、ブラック)、255g (ニッケル・ブラックペイント)

 

 

〈写真・解説〉藤井智弘