機材レポート

実写とチャートでチェック! 高コスパの人気超広角レンズがリニューアルした「SAMYANG MF 14mm F2.8 MK2」

周辺光量落ちチェック

「周辺光量落ち」とは、画面の四隅が暗くなる現象のこと。晴天の青空などを撮影すると画面の四隅だけが暗くなるのに気づく方も多いのではないだろうか。これは、レンズ中心部分 (光軸) よりも周辺部分が光を通す量が少ない (暗い) ために発生する。

周辺光量落ちチェック (F2.8)周辺光量落ちチェック (F5.6)

絞り開放のF2.8ではかなりはっきりと強い周辺光量落ちが発生する。F5.6あたりまで絞るとかなり改善するが、後処理での対応も検討したい結果だ。

<撮影条件>
ソニー α7R III 絞り優先AEにて各絞りで撮影 マニュアルフォーカス ISO感度 : 100 WB : オート カラーモード : スタンダード 画質 : JPEG X.FINE その他 : レンズ補正などは「α7R III」の初期設定のまま LEDライト使用

■なぜ周辺光量落ちが発生するのか

「周辺光量落ち」が発生する原因は大きくふたつで、ひとつは「口径食」。光軸に対して一定以上の角度で入ってきた光が、絞りの前後のレンズ径や内部構造物などにじゃまされ、周辺部分が中央部よりも暗くなる現象。ぼけディスクチャートでは、ぼけの形がラクビーボール形や一部が欠けたようになり、絞り開放付近で影響が顕著に現れる。

もうひとつは「コサイン4乗則」による影響だ。撮影像素子に対してまっすぐにレンズに入った光と周辺部から角度をもって入ってきた光とでは、明るさが異なるという現象が起きる。これを計算する際にコサイン4乗を含む計算式が使われるので「コサイン4乗則」という。「コサイン4乗則」の影響は、絞りを絞っても変化しないが、「口径食」による影響は変化する。ここでは、絞りを絞ることで変化する「口径食」による周辺光量落ちの程度を観察するために、フラットにライティングした半透明のアクリル板を撮影している。

絞り開放付近では大きく周辺光量が落ちることを理解する

今回のテストに使用した「α7R III」の初期設定で、レンズ補正の周辺光量補正はオートになっている。しかし、カメラと各種情報をやりとりする電子接点を持たないソニーEマウント用の「MF 14mm F2.8 MK2」では、その恩恵は受けられない。ちなみにニコンFマウント用はAEモデルとなっており、電子接点が装備されているそうだ。

カメラ本体によるデジタル補正のない本レンズの周辺光量落ちの結果は、レンズの光学性能そのままといえる。開放のF2.8では、かなりはっきりと強い周辺光量落ちが観察される。絞っていくと改善し、F5.6でひと段落、F8.0では開放に比べるとかなり気にならなくなる。それでも四隅の光量の落ち込みはなくならない傾向といえる。条件が許すなら、絞って対応するのもありだろう。また、絞り開放付近で撮影する場合は、後処理で補正することも考えてRAW画像も撮影しておくことをおすすめする。

 

 

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