機材レポート

実写とチャートでチェック! 高コスパの人気超広角レンズがリニューアルした「SAMYANG MF 14mm F2.8 MK2」

ぼけディスクチャートチェック

超小型のLEDをカメラに向けて、画面のなかで点光源として「玉ぼけ (ぼけディスク)」を発生させ、画面内の各部で撮影。この「玉ぼけ」からは、ぼけディスクへの不要な色付きによる各種色収差、ディスク内部の描写のムラ、いわゆる“ザワつき”などからぼけ描写の傾向、非球面レンズなどが原因のひとつといわれる“玉ねぎぼけ”の様子など、さまざまなレンズの特性が読みとれる。以下では画面全体でのぼけの形の傾向と、中央部と周辺部のぼけディスクをアップして掲載している。

ぼけディスクチャートチェック (F2.8)ぼけディスクチャートチェック (F5.6)

14mmの超広角のぼけに多くを望む方は少数派だろう。色付きやザワつきなど、やはりぼけがセールスポイントのレンズのような結果にはならない。

<撮影条件>
ソニー α7R III 絞り優先AEにて各絞りで撮影 マニュアルフォーカス ISO感度:100 WB:オート カラーモード:スタンダード 画質:JPEG X.FINE その他 : レンズ補正などは「α7R III」の初期設定のまま LEDライト使用

9枚羽根の絞りでぼけの形はかなり美しい結果だ

絞り込んだときに発生する光条の本数が華やかになるようにと解説されているが、「MF 14mm F2.8 MK2」は9枚羽根の絞りを採用する。従来モデル「14mm F2.8 ED AS IF UMC」の絞り羽根は6枚で、1.5倍になっている。ちなみに従来モデルの光条は、絞り羽根枚数が偶数なので6本。「MF 14mm F2.8 MK2」では、18本となる。発生する光条の数が3倍の本数になるので、かなり華やかになったといえるだろう。

もともとぼけの発生しにくい14mmの超広角レンズのぼけに、大きな期待をするのは少数派だろう。しかし、絞り羽根枚数が増えたぶん、中央部で発生するぼけはかなり真円に近くなる。絞ってもあまり形にカクツキもなく、美しい結果だ。ぼけの発生するシーンでは覚えておいて、上手に使いこなしたい。

ぼけの質については、形は美しくなったのだが、さすがに14mmの超広角だけあり、フチの色付きやザワつきなどがみられる。また周辺部のぼけについては、色収差などが原因と思われる色付きや変形が大きい。この点は、超広角レンズのぼけなので仕方ないといえるだろう。 効果的にぼけ描写を生かしたいなら、形を含めて開放で撮影するのがおすすめといえる。

最大撮影倍率と最短撮影距離チェック

小山壯二氏が撮影した最短撮影距離と最大撮影倍率を見るための静物画チャートを被写体が実物大となるようにA2サイズでプリントアウト。このプリントアウトを最短撮影距離で撮影することで、最短撮影距離と最大撮影倍率でどの程度のアップで撮影できるかを観察した。中心部には切手やペン、フォークなど比較的実物の大きさがわかりやすいものを並べることで、実際に撮影シーンでどのくらいアップで撮影できるのかをイメージしやすいよう配慮した。

<撮影条件 >
ソニー α7R III 絞り優先AEにてF5.6で撮影 マニュアルフォーカス ISO感度 : 100 WB : オート カラーモード : スタンダード JPEG X.FINE その他 : レンズ補正などはレンズ補正などは「α7R III」の初期設定のまま LEDライト使用

14mmクラスのなかでも近接撮影はあまり得意でない

「MF 14mm F2.8 MK2」の最短撮影距離は28cmで、最大撮影倍率は0.08倍である。これがどの程度のレベルなのかというと、あまり良いとはいえない。現行の14mm単焦点レンズは、ざっくり「最短撮影距離が20cm程度で最大撮影倍率が0.12〜0.15倍の近接撮影が得意なレンズ」と、「最短撮影距離が30cm程度で最大撮影倍率が0.1倍以下の比較的近接撮影が得意ではないもの」に分けられる。「MF 14mm F2.8 MK2」は、後者のグループに入るわけだ。そのため、14mmの単焦点レンズとしては近接撮影が得意なレンズではない。ただし、実際の撮影時に14mmで近接撮影を頻繁に行うとは思えないので、筆者はあまり気にしていない。

 

 

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