機材レポート

新フォトスタイルの表現力は? コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!

コンパクトなフルサイズ機として評価の高い「LUMIX S5」。最新ファームウェアから「L.クラシックネオ」「L.モノクロームS」という2つのフォトスタイルが加わった。稲垣徳文さんがS5を片手にさっそくスナップの旅に赴いた。

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!

青味を帯びたトーンが新しい「L.クラシックネオ」

「象の鼻パーク」近くで捉えた朝の光。「LUMIX S5」に新たに搭載されたフォトスタイル「L.クラシックネオ」の彩度を抑えた柔らかな描写は、逆光の暗部を階調豊かに描き出す。ネガカラーのような青味を帯びたトーンが美しい。

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!
パナソニック LUMIX S5 LUMIX S 85mm F1.8 絞りF1.8 1/3200秒 ISO200 WB : オート フォトスタイル : L.クラシックネオ

柔らかで優しい味わいの「L.モノクロームS」

夕日の石畳も好きなモチーフのひとつ。こちらも新搭載のフォトスタイル「L.モノクロームS」は従来の「L.モノクロームD」に比べ、ハーフトーンがよりなだらかに表現される。石畳に伸びる影は豊かな階調をもち、黒い服や靴は漆黒に近い黒の描写となった。

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!
パナソニック LUMIX S5 LUMIX S 85mm F1.8 絞りF1.8 1/4000 秒 ISO200 W B: オート フォトスタイル : L.モノクロームS

新しいフォトスタイルでスナップ表現の幅が拡がった

横浜には馬車道の「ガス灯」などさまざまな近代が存在する。写真文化の発祥を顕彰する石碑もある。色鮮やかな原色があふれる中華街は横浜の開港とともに誕生した街だが、それを見たままに表現するのは難しい。中国の赤は深紅ではなく、やや朱色を帯びた「紅」なのだ。撮影で訪れるようになり、微妙な赤の違いに気がついた。

LUMIX S5」に新たに搭載されたフォトスタイル「L.クラシックネオ」は長年抱えていた悩みを解決してくれた。彩度を抑えた穏やかな色味は、中華街の紅を見事に表現してくれる。加えてシャドーからハイライトまで滑らかに描写。ハイライトは白トビせずにどこまでも粘り、シャドーも潰れることなく残る。それは1980年代にアメリカ西海岸の写真家たちがネガカラーで表現した「ニューカラー」のようだ。

さらに冬の青空や海は、水彩絵の具のような水色になる。また、青の補色である黄色も雰囲気ある仕上がりで面白い。落ち着きのある奥深い表現が可能なフォトスタイルだ。

もうひとつの「L.モノクロームS」は、滑らかな階調表現が持ち味のモノクロームだ。従来の「L.モノクロームD」に比べ中間調のボリュームが増えた。階調豊かなモノクロ作品は、眺めているうちにカラープリントのように色が見えてくる。モノクロームで色を表現する感覚だ。フルサイズ機としては小型・軽量で機動力の高いS5。スナップカメラとしても使いやすく、とても魅力的だと感じた。

ライティングも優しく表現する「L.クラシックネオ」

「L.クラシックネオ」はスポットライトのようなライティングも優しく表現してくれる。明暗差のある屋内撮影にもオススメだ。望遠85mmで1/20秒のスローシャッターでもぶれずに撮影できた。

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!
パナソニック LUMIX S5 LUMIX S 85mm F1.8 絞りF1.8 1/20 秒 ISO200 WB : オート フォトスタイル : L.クラシックネオ

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!

パナソニック LUMIX S5

[撮像素子] 35mmフルサイズCMOSセンサー [有効画素数] 2420万画素 [ISO感度] 拡張50~204800 [AFシステム] 225点コントラストAF [連写性能] 約7コマ/秒 [ボディ内手ブレ補正] 5段 [ファインダー] 0.39型 約236万ドット有機EL [液晶モニター] タッチパネル式3.0型 約184万ドット [動画性能] 4K 60p 10bit [大きさ] 幅約132.6 × 高さ約97.1 × 奥行き約81.9mm [質量] 約714g (バッテリー、SDメモリーカード1枚含む)

▼インプレッション動画はこちら!
https://youtu.be/RWmBcJzy2Ko

 

 

「LUMIX S5」なら、写真も映像も軽快に撮影できる

鉄橋の赤錆びた質感を力強く描写

赤錆びた鉄橋のボルトにフォーカスした。光学ローパスフィルターレスによる高解像性能と立体感が素晴らしい。ザラリとした表面の質感や、ボルトや鋲など硬質なモチーフを見たままに表現した。

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!
パナソニック LUMIXS5 LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 絞りF8 1/400秒 ISO200 WB : オート フォトスタイル : スタンダード

強力な手ブレ補正で夜のスナップも安心

さまざまな照明が入り交じるライティングでも、「LUMIX S5」は関帝廟の微妙な色合いを表現してくれた。階段途中の手持ち撮影が必須のカメラポジションでも、手ブレ補正機能により安心してスローシャッターを切れる。標準ズーム20-60mmの、絞り開放から画面の四隅までシャープに描き出す描写力も気に入った。

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!
パナソニック LUMIX S5 LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 絞りF3.5 1/30 秒 ISO200 WB : オート フォトスタイル : スタンダード

LUMIXらしく高品質な動画を手軽に撮影可能

LUMIX S1」から受け継いだ高感度性能に加え、パナソニック製シネマカメラ「VARICAM」に搭載している独自技術により、ノイズを抑制した映像クオリティを実現。もちろんフォトスタイルを生かした動画も撮影できる。

■フルサイズセンサーをコンパクトに搭載

2420万画素のフルサイズCMOSセンサーの高い描写力と高感度性能をコンパクトなボディに搭載。光学設計に優れたL マウントは選択肢も増え、レンズ選びの楽しさも広がっている。

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!

■写真も動画も強力な手ブレ補正機構

ボディ内手ブレ補正で5.0段分、ボディとレンズが協調する「Dual I.S. 2」対応レンズであれば最大6.5段分の補正効果が得られる。さらに動画では、手持ちの固定アングルでの撮影中の手ブレを抑える「手ブレ補正ブースト」により安定した構図が保てる。

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!

■操作しやすいボタン配置が嬉しい

シャッターを押す右手人差し指1本でWB、ISO感度、露出補正ボタンを操作できる。一段低く配置された赤い「REC」ボタンによりスチル撮影中でも瞬時に動画撮影をスタートできるのも良い。

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!

■機材がコンパクトだから機動力を発揮できる

「LUMIX S5」、20~300mm域をカバーする標準ズームと望遠ズーム、さらに単焦点レンズの計3本をコンパクトなショルダーバッグに収納できるから、軽快に移動しながらスナップ撮影を楽しめる。

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!

■撮影時もそれ以外でもバランスが良く疲れない

LUMIX S5」はSシリーズ最小、最軽量。標準ズーム20-60mmをつけてもお辞儀したりせず、重量バランスは理想的。長く持ち歩いても疲れにくい。

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!

■ブリージングが抑制されたSレンズ

動画撮影に対応した光学設計と鏡筒内部構造の最適化により、Sレンズは動画撮影時にピント位置を変えると微妙に画角が変化するブリージングを抑制している。動画の自然なフォーカス表現が可能だ。

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!

■ファームウェアアップデートでS5がより便利に進化

2020年12月に最新のファームウェアVer.2.1が公開された。「L.クラシックネオ」「L.モノクロームS」の搭載のほか、AFモード「1点」での自動認識AFの対応や、Cinema4K動画の対応など細かく進化している。

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!

ファームウェアVer.2.1について、詳しくはこちら。
https://panasonic.jp/dc/products/s_series/s5/fwup.html

 

 

スナップショットが楽しくなるLUMIX Sシリーズレンズ

LUMIX S 70-300mm F4.5-5.6 MACRO O.I.S.

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!

NEW (2021年4月22日発売予定)
小型・軽量な望遠ズームが新登場。Dual I.S. 2によりテレ端300ミリ時で5.5段の手ブレ補正、最大撮影倍率0.5 倍の望遠マクロ能力、動画向けの低ブリージング設計などのハイスペックを満載する。11枚羽根絞りによる、絞り込んだ時の光芒の美しさも特徴のひとつ。

美しいボケ味と機動性を実現。望遠マクロで寄れる!

望遠マクロを謳うだけあって300mmでグッと寄ることができる。約5.5段の強力な手ブレ補正が真価を発揮。手ブレを気にすることなく手持ち撮影ができる。ボケ味も良好だ。

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!
パナソニック LUMIX S5 LUMIX S 70-300mm F4.5-5.6 MACRO O.I.S. 絞りF5.6 1/320 秒 ISO200 WB : オート フォトスタイル : スタンダード

LUMIX S 85mm F1.8

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!

キレの良さと美しいボケ味の中望遠単焦点

柔らかで自然なボケ味が持ち味の85mm F1.8。大口径のためBARのような薄暗い室内にも強い。合焦部のキレが良いのでボケ味もまた際立つ。人物ポートレートに最適なレンズだが、スナップショットなど街歩きにもおすすめだ。

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!
パナソニック LUMIX S5 LUMIX S 85mm F1.8 絞りF1.8 1/60秒 ISO3200 WB : オート フォトスタイル : スタンダード

LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!

超広角域もカバーするオールマイティな1本

中国の旧暦の新年を祝う中華街の「春節燈花」。三国志や西遊記など日本でもおなじみのモチーフが並ぶ。標準ズーム20-60mmはワイド端20mmの超広角として使えて便利さが際立つ。桃の花を前景に、京劇の仮面、背後には媽祖廟を配置し、遠近感を強調した。

コンパクトなフルサイズ「LUMIX S5」で早春の横浜をスナップシューティング!
パナソニック LUMIX S5 LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 絞りF16 1/30秒 ISO200 WB : オート フォトスタイル : L.クラシックネオ

すべてをバッグに詰めてスナップ撮影に専念できる

私にとってのスナップショットとは旅の出会いを記録することだ。広角から望遠をカバーする2本のズームレンズと大口径の単焦点レンズを手に街を歩くことが多い。 国内外を問わず、ショルダーバッグに収納可能な機材量であることがカメラ選びの条件になっている。

LUMIX S5」は標準ズーム「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」とのバランスも素晴らしく、午前中から深夜に及んだ撮影でも集中力を切らさず続けることができた。最新の望遠ズーム「LUMIX S 70-300mm F4.5-5.6 MACRO O.I.S.」はテレ端300mmをカバーする高倍率ながら2本合わせてショルダーバッグにも収納可能なコンパクトさを実現、望遠マクロとして接写もできる対応力に優れたレンズだ。

今回、勝負レンズとして選んだ「LUMIX S 85mm F1.8」は、大口径でも標準レンズのようなサイズで軽快感ある撮影を約束してくれる、フレーミングが楽しくなる1本。「LUMIX S5」は旅のお伴に最適なフルサイズ機だとあらためて感じた。

■パナソニック「LUMIX S5」について、詳しくはこちら。

https://panasonic.jp/dc/products/s_series/s5.html

■パナソニック LUMIX Sシリーズレンズについて、詳しくはこちら。

https://panasonic.jp/dc/products/s_series_lens.html

 

 

商品に関するお問い合わせ先
パナソニック LUMIX・ムービーご相談窓口 (フリーダイヤル 0120-878-638)

 

〈文・写真〉稲垣徳文
〈協力〉パナソニック株式会社