AIの進化で、画像ソフトの被写体認識力がグングン上がっている。Adobe PhotoshopにはAIによるニューラルフィルターが、Lightroom Classicにはカラーグレーディング機能が新しく搭載され、複雑な作業もより簡単に行なえるようになってきた。
カラーグレーディングで静止画の色調整ができるようになった「Adobe Lightroom Classic」
オリジナリティのある色づくりを実現
写真の閲覧からRAW現像、プリントまで、一貫した管理が行なえる「Adobe Lightroom Classic (アドビ ライトルーム クラシック)」。最新10.0には新たにカラーグレーディング機能が追加された。「カラーグレーディング」と聞いてもピンと来ない人もいるかもしれないが、これは主に写真より動画で使われている用語。色調を見た目の印象に近づけるのではなく、オリジナリティのある色づくりをするときに使用する。従来の「明暗別色補正」のアップグレード版といえる機能だ。
調整は3つのカラーホイールで
カラーグレーディング機能には3つのカラーホイールがあり、それぞれシャドウ、中間調、ハイライトに分かれている。そしてデフォルトではホイールの中央にある小さな円をドラッグすることで色調が変化する。各ホイールはひとつずつ拡大もでき、スライダーによる調整も可能だ。合成やバランスをコントロールし、自分のイメージの色調に追い込むことができる。
スクラブズーム機能で見たいところを拡大表示
表示画像を確認するズーム機能も強化されている。画面でShiftキーを押しながらマウスを左右にドラッグすると、瞬時に画像の拡大、縮小が可能。細部の確認に便利だ。
また、Ctrlキーを押しながら拡大したい部分をドラッグするとズームインする「ボックスズーム」も搭載された。ツールバーのズームスライダーも前半と後半に分割されるなど、さまざまな方法で快適に画面拡大ができる。
ストレスが減り、画像確認から色調整まで、より自分好みのコントロールが自由に行なえるようになっている。
AIによる自動加工能力がパワーアップした「Adobe Photoshop」
ニューラルフィルターで高度な画像加工や編集をより簡単に
「Adobe Photoshop (アドビ フォトショップ)」も最新版になった。バージョン22.0の特徴はAIによる加工能力が大きくアップしたこと。そのひとつが「ニューラルフィルター」。クラウドで動作するフィルターだ。まだベータ版ではあるが、誰でも使用できる。
「スマートポートレイト」で表情が変わる
ここではポートレートの写真を表示し、「スマートポートレイト」を選択した。なんと元画像から、笑顔や驚き、怒りの表情をはじめ、視線や髪の量、顔の向きなどが調整できる。スライダーを動かすだけで微笑んでいる表情になり、目線まで移動できるのは驚き。ただしスライダーをあまりに大きく動かすと、さすがに不自然になってしまう。“もう少し笑顔がほしい”“わずかに顔の向きを変えたい”など微調整として使うのがオススメだ。
モノクロをAIが自動でカラー化
また、ニューラルフィルターの「カラー化」はモノクロ写真をカラーにできる機能。AIが被写体を判断し、空や木々の緑などの色が再現される。昔に撮影されたモノクロ写真を、カラーにして見てみたいときなどに便利だ。空、木、水の再現はかなり優秀だが、赤系の色はまだ苦手のようだ。さらなるAIの進化に期待だ。
空を自由に置き換え
ニューラルフィルター以外では、「編集」から「空の置き換え」で空の様子を変更できる。例えば曇り空でも青空に、昼間に撮影しても夕暮れの雰囲気が再現できる。用意されている空は25種類。AIが空をしっかり認識し、劇的に変化する。自然な雰囲気に仕上げてもいいが、クリエイティブ感が溢れる表現も楽しんでみたい。