機材レポート

解像度重視? バランス重視? シグマ大口径標準ズームレンズの画質を比較チェック!

大口径標準ズーム3本比較チェック

35mm遠景解像

『CAPA』7月号では「シグマ 24-70mm F2.8 DG DN | Art」「シグマ 28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary」「ソニー FE 24-70mm F2.8 GM」の24mmワイド端で画質を比較したので、WEB版では35mm域の比較を掲載する。

ピント位置は、画面下1/3あたりにいる石の上の亀で、拡大ライブビューでピントを合わせている。この部分はまだ画面中央に近く、レンズによる差はそれほど大きくないので、同じピント面にあたる周辺部を切り出し、絞り開放とF5.6に絞ったときの描写を比較してみた。

35mm遠景解像比較

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■35mm F2.8

24-70mm F2.8 DG DN | Art (35mm F2.8で撮影)
24-70mm F2.8 DG DN | Art
28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary (35mm F2.8で撮影)
28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
FE 24-70mm F2.8 GM (35mm F2.8で撮影)
FE 24-70mm F2.8 GM

■35mm F5.6

24-70mm F2.8 DG DN | Art (35mm F5.6で撮影)
24-70mm F2.8 DG DN | Art
28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary (35mm F5.6で撮影)
28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
FE 24-70mm F2.8 GM (35mm F5.6で撮影)
FE 24-70mm F2.8 GM

絞り開放で解像が安定しているContemporary

絞り開放の周辺解像がもっとも安定しているのはContemporaryで、僅差でArtが追う。私物のGMは35mm域の周辺解像が不安定で、一応、調整はしてもらっていて、夜景など無限遠の解像テストではそれほど大きな乱れはないが、有限距離の撮影でピント面から少しでも外れると、解像が大きく崩れるケースがある。しかし、F5.6まで絞ると驚くほど解像とコントラストが向上し、3本の中でトップの描写になる。

近接撮影 (70mm F2.8)

近接撮影比較 (70mm F2.8)

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24-70mm F2.8 DG DN | Art (70mm F2.8で撮影)
24-70mm F2.8 DG DN | Art
28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary (70mm F2.8で撮影)
28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
FE 24-70mm F2.8 GM (70mm F2.8で撮影)
FE 24-70mm F2.8 GM

にじみの少ないContemporary、柔らかさではGM

絞り開放テレ端の近接撮影では、3本ともハイライトににじみを伴う描写だ。ただ、Contemporaryがもっともにじみが少なく、後方のボケもクッキリしている印象。逆に、GMはピント面から後ボケにかけて、ハイライトのにじみが大きく、後ボケに軸上色収差の色づきがあるものの、ソフトフォーカス的なファンタジックな描写だ。Artは、ContemporaryとGMの中間の描写だ。

またGMは、背景のボケも非常に軟らかく、階調もなめらかで、被写体の丸みが感じられる。シグマの2本は、GMよりもボケは硬く、輪郭が干渉し合ってうるさく見える領域がある。

35mm 中近景後方微ボケ

35mm 中近景後方微ボケ比較

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■35mm F2.8

24-70mm F2.8 DG DN | Art (35mm F2.8で撮影)
24-70mm F2.8 DG DN | Art
28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary (35mm F2.8で撮影)
28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
FE 24-70mm F2.8 GM (35mm F2.8で撮影)
FE 24-70mm F2.8 GM

■35mm F5.6

24-70mm F2.8 DG DN | Art (35mm F5.6で撮影)
24-70mm F2.8 DG DN | Art
28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary (35mm F5.6で撮影)
28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary
FE 24-70mm F2.8 GM (35mm F5.6で撮影)
FE 24-70mm F2.8 GM

解像とボケとも安定しているContemporaryが一推し

ほぼ無限遠の解像テストでは、残存色収差がもっとも少なかったのがArtで、パープルフリンジが残るのがContemporaryとGM。絞り開放の周辺解像もArtが僅差で優れている印象だ。ただ、中近景の撮影では、解像だけでなく、ボケ味も重要な評価項目で、個人的には、どんなに解像性能が優れていても、微ボケがうるさいレンズは好みではない。

今回、ArtとContemporaryを比較してみて、もっとも気になったのが微ボケの描写だ。この比較を見れば一目瞭然だが、Artの後ボケは、茎が完全な二線ボケになっていて、非常にうるさく感じる。本来はソニーと比較する予定はなかったが、Artのボケを見て、ボケと解像の両立を狙ったGMの描写も見てみたくなり、急遽、私物のGMとも比較してみることにした。GMの絞り開放の周辺解像にはやや不満が残る部分もあるが、もっとも微ボケが自然なのはやはりGMだ。Contemporaryも少し硬さは残るが、それほどナーバスなボケにはなりにくく、周辺部で色収差は残るが、解像も安定している。ワイド端28mmという制約さえガマンできれば、ダテジュンのお薦めはContemporaryだ。

 

※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。

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