機材レポート

スマホカメラ「Xperia 1 III」の衝撃!瞳AFと高速連写で撮りこぼし無し、ストリートで輝く“写真家の感性”

早速ですが、まずはXperia 1 IIIで撮影した作品からご覧いただきましょう。

Xperia 1 IIIで撮影

スマホカメラといえば画質を強調して語られることも多いと思いますが、今回は何よりも操作感の優秀さに、撮影現場はたいへんな驚きようでした。

2021年7月9日(金)に発売されたソニーの最新スマートフォン「Xperia 1 III(エクスペリア ワン マークスリー)」は、ソニーの最新技術を搭載した5G対応のフラッグシップ機。

映像、オーディオ、ゲームなどをより楽しめるパフォーマンスを誇るなかで、一つの大きな特徴が、ソニーのデジタル一眼カメラα™譲りのスピード性能を詰め込んだカメラ機能です。

カメラは16mm/24mm/70mm/105mmという4つの焦点距離を備えた「ZEISSレンズ」を搭載。デジタルズームを組み合わせれば300mmまでカバーできます。

F値は24mm時にF1.7、105mm時はF2.8といったように焦点距離ごとに設定された固定式。RAW撮影も可能です。

有効画素数は約1220万画素、すべてDual PD(デュアルフォトダイオード)センサーを詰み、高速なAF撮影を実現します。シャッタースピードは30秒〜1/8000秒ISOは64〜3200にて設定できるため、本体を固定すれば長時間露光まで難なくこなせるでしょう。

カスタムホワイトバランス、縦横比設定(4:3 / 16:9 / 1:1 / 3:2)、ヒストグラム、水準器、セルフタイマーなども搭載されており、機能性は充実。α™で培ったカメラ技術をスマートフォンの最適な操作に合わせてカスタマイズし、随所に工夫が見える仕上がりです。

今回、CAPA CAMERA WEBでは発売前にXperia 1 IIIを実写体験。

ファッション、広告、ライブ、アーティスト撮影といった分野で活動する写真家・フォトグラファーのヨコカワカツヤさんと、モデルに田野優花さんを迎え、渋谷を舞台に作品撮りをしてもらいました。

普段からα7 Ⅲを使うヨコカワさんは「特に瞳AFは一眼と感触がほぼ変わらず驚きました。『手元に一眼がない、でもこの瞬間を撮っておきたい!』という瞬間は、写真が好きな人なら誰しも経験があるはず。そんな時にもXperia 1 IIIがあれば全てをカバーしてくれると、今回の撮影を通して感じました」と、その操作性に好感を寄せます。

ここからは作品をピックアップしながら、その機能を紹介しましょう。

 

リアルタイムで瞳を追う、連写機能で躍動感を

Xperia 1 IIIの特徴でもある撮影スピードの性能が際立って表れるのが、「リアルタイムトラッキング(※1)」や「リアルタイム瞳AF(※2)」を用いた動的な被写体への対応。

リアルタイムトラッキングは、撮りたい被写体をタップするだけで、自動でフォーカスを合わせ続ける機能。色や模様、被写体との距離といった情報をリアルタイムで処理し、追い続けてくれます。

被写体の瞳を自動検出してピントを合わせる「瞳AF」も、人物撮影には嬉しい機能。さらに、カメラキーを半押しすることでAIが被写体の瞳を検出して追従する「リアルタイム瞳AF」もあるので、モデルに動きをつけてもらい、美しい一瞬を選び出すポートレートも狙えます。

Xperia 1 IIIで撮影

上記の作例は、モデルにその場で回転してもらい、連写で追ったうちの一枚です。

広角レンズでは最高20コマ/秒超広角レンズ・望遠レンズでは、最高10コマ/秒のAF/AE追従連写が可能(※3)

注意としては、連写撮影時はRAW記録できず、全てJPEGデータになります。また、microSDカードの使用設定をしていても、本体ストレージでの保存に切り替わります。

ただ、その設定もあってか撮影から保存まではスムーズで、連写後のラグもなく、すぐ次の撮影に移れました。

また瞳AFは、人間だけでなく動物の瞳にも対応。子どもからペットまで、動きが読みにくい被写体であっても撮り逃さないでしょう。

247点の位相差AFセンサーが配置され、撮像エリアの約70%をカバー。旧モデルの「Xperia 1」と比べると約4倍となる搭載で、よりAF精度がアップしています。

(※1:撮影環境などによっては、被写体を検出できない場合があります)
(※2:広角レンズのみ対応。撮影環境などによっては、瞳を検出できない場合があります)
(※3:連写速度は撮影環境によって異なる場合があります。本機能は、AUTO/P/S/M/MRモードにて利用できます)

 

プレビューとコンパネが一緒に見られるから、“確信のシャッター”が押せる

Xperia 1 IIIを横持ちにすると、画面左側に撮影プレビュー、右側にコントロールパネルが配される。撮影はタップですぐ変更可能。瞳AFが作動した場合の「緑色の枠」なども表示され、フレキシブルに撮影できる。

ヨコカワさん「Xperia 1 IIIは撮影プレビューとコントロールパネルが同一画面に配されているのも、撮影がしやすかったポイントですね。色味などを設定したらモニターに即時反映されて、見たままの撮影結果が得られますから、確信を持ってシャッターが押せます。この点は電子ファインダーにもない安心感だと感じました」

加えて、スマートフォンならではの良さがもう一つ。撮った写真の確認です。

標準搭載のギャラリー機能から数タップですぐに確認でき、連写時の写真も一列に並んでなめらかに表示。

瞳AFが効いていることを確かめたり、ピント抜けがないかを見るのも簡単です。直感的な操作性やスムーズな画面遷移が、撮影後チェックの手間も減らします。

ヨコカワさん「全てが画面のタップで完結するのは、ストレスフリーで無駄がありませんよね。撮った写真を見返すのもとても簡単ですし、SNSへのアップやモデルさんへの共有も即座にできるから便利です」

 

「Xperia 1 IIIがアイデアをくれたような感覚」

今回は、早朝の渋谷で、2時間足らずの撮影時間。写真家とモデルの息が合っていたことはもちろんですが、撮られた作品の「アイデアの幅広さ」はXperia 1 IIIによって引き出された部分もあった、とヨコカワさん。

ヨコカワさん「Xperia 1 IIIなら使用レンズを手元で切り替えられますから、交換の時間や手間がありません。同じモデルさん、同じ洋服、同じ背景でも、アングルや表現方法の引き出しをどんどん試してみたくなります。撮影にまつわる煩わしさが減った余裕で、思いついたアドリブをすぐに実行できる。まさにXperia 1 IIIがアイデアをくれたような感覚もありました」

Xperia 1 IIIで撮影(RAWデータを現像)

上記は、まさに「Xperia 1 IIIがくれたアイデア」が詰まった一枚。

時間に余裕ができたところで、「ちょっと試してみます」とヨコカワさんが取り出したのは「OMNI クリエイティブフィルターシステム」のレインボーフィルム。カメラ前に透かせることで、虹の光のような効果をもたらします。

ヨコカワさん「レインボーフィルム越しでも瞳AFがしっかり効いてくれました!」

レインボーフィルムを手にした様子でもわかるように、Xperia 1 IIIも片手持ち。ここでもソニーの独自技術で強化された手ブレ補正が効き、クリアに撮影できていました。

スマートフォンを撮影に用いるメリットとして、一つ挙げられるのは本体の圧倒的な軽さ。Xperia 1 IIIは約188g、厚みはわずか8.2mmです。高い携帯性かつ焦点距離を広くカバーする4つのレンズが、手持ち撮影での可動範囲を自然と広げてくれます。

Xperia 1 IIIで撮影(RAWデータを現像)

ヨコカワさん「手軽に片手で持てるため、腕をいっぱい伸ばして頭上から、あるいは地面スレスレからといったように、マクロでも引きでも撮れる機動性がありますね。腕の可動域が広くなって、縦でも横でもアングルを変えて撮れます。極端に言えば、Xperia 1 IIIが入るだけの狭い隙間さえあれば撮影できるのは、構図のバリエーションを増やしてくれるでしょう」

片手に小型のLEDライトを構えての撮影。スタンドを立てずとも照明を手軽に扱えるのは、ストリートフォトをはじめ、撮影の自由度を上げてくれる。

軽いことで手や腕にかかる重みも少なく、身体的な負荷も軽減。

その点では、本番撮影をXperia 1 IIIで行うのはもちろん、幅広い焦点距離と負荷の軽さを活かし、ロケハンに持っていくのもアリ。まずはXperia 1 IIIでアタリを付け、その後に一眼を用いるといった併用も、円滑な撮影に一役買ってくれるに違いありません。

さらに、αシリーズとの連携を実現する「Imaging Edge Mobile」や「Transfer & Tagging add-on」といったツールもあり、Xperia 1 IIIからのリモート撮影や設定変更、撮影データの自動転送もワイヤレスで可能です。

 

“寄れる”から、背景もダイナミックに活かせる

Xperia 1 IIIで撮影(RAWデータを現像)

撮影現場を見ていると、ふたりの距離感がグッと近くなる瞬間が度々ありました。カメラ前面にレンズがないため、その分だけ“寄れる”のです。

背景のダイナミックさ、ロケーションの面白さを直感的に活かしやすいであろうシーンが、今回も何度もありました。

ヨコカワさん「普段はカメラで撮られる機会があまりない方も、一眼を向けられるよりは緊張感がなく撮影に臨めるのではないかと思います。その意味では記念撮影にも向いていますよね。細かく設定できるモードの他に、普段使いのための簡単な『BASICモード』も搭載されていて、使い分けられるのが良いです」

また、シャッター音も控えめながら短くキレがよく、好ましく感じました。それも被写体にプレッシャーを与えにくい要素のはずです。

 

絶対的トレンドの「フィルムライク」にも

Xperia 1 IIIで撮影(RAWデータを現像)

背景を活かした構図に、さらにRAW現像時でモノクロに仕上げた一枚。スマートフォンのカメラであれば一定見られるノイズ感であっても、それを粒子のような効果として上手に取り込めば、フィルムライクな仕上げにも似合います。

ヨコカワさん「フィルムのような粒子感は、僕もファッションの仕事などで最近求められています。スタジオで撮ったファッションルックで、後から粒子を足すことも。デジタルでのフィルム調レタッチも、本物のフィルムカメラで撮った写真も、今は絶対的なトレンドです」

機動力やアイデアを活かせるXperia 1 IIIが似合う場面も増えてきそうです。

ヨコカワさん「RAWデータも、通常通りの現像作業で何の問題もなく扱えました。色温度もスポットで修正していける程度です」

Xperia 1 IIIのカメラには“美肌効果”も搭載。オンにした写真は肌がナチュラルに仕上がるように補正がかかります。この効果だけで気になる部分がカバーされれば、現像作業もスピードアップ。記念写真などのすぐに共有したいシーンでも、喜ばれる機能といえそうです。

また、この日は連写も駆使した撮影を2時間行った時点で、Xperia 1 IIIの電池残量は70%ほどと相当の余裕を感じさせました。バッテリーはXperiaシリーズ史上最大容量となる4500mAh(※4)で、バッテリー残量を気にせず撮影に臨めるのも良いポイントでしょう。30分で50%の急速充電にも対応(※4)、3年使い続けても劣化しにくい長寿命設計(※6)です。

(※4:スマートフォンにおいて。2021年4月14日現在、ソニー調べ)
(※5;別売りの30W急速充電対応ACアダプター(XQZ-UC1)で充電する場合)
(※6:同タイプバッテリーで充放電を繰り返すシミュレーションに基づく(USB充電の場合)。バッテリーの寿命は利用状況によって変化します)

 

スマートフォンであり、スマートなカメラでもある

「正直に言うと、スマホで写真を撮って、これほどテンションが上がるとは思っていませんでした」

撮影を終えて、ヨコカワさんが口にしたこんな感想が印象的でした。たしかにXperia 1 IIIはスマートフォンです。ただ、撮影者として手にするそれは、まさにα™譲りの機能性や操作感を有するカメラにも変わる。

ヨコカワさんスマートフォンなんですけれど、スマートなカメラでもある。一度手にしてしまったら手放せないような、とても“撮る人のこと”を考えている一台でした。カメラを使い慣れてない人にはイージーな操作感で、こだわりたい人にはマニュアル操作で応えてくれます。使い始めたことをきっかけに、オートからマニュアル操作へステップアップもしていける。Xperia 1 IIIは、写真を好きになるきっかけも与えてくれると思いますね」

本体側面の「カメラキー」も、まさにカメラへの思いを表したパーツだと感じます。半押しでAFロック状態、全押しでシャッターを切るという操作感はカメラと同じ。カメラキーに施されたエンボス加工も、押しやすさをアップしてくれる嬉しい工夫です。

左からXperia 1 III、Xperia 10 III、Xperia Ace II

さらに、新モデルのXperia 1 IIIをはじめ、発売済みの「Xperia 10 III」「Xperia Ace II」もカメラ機能には特徴あり

。詳細はメーカーサイトに譲りますが、Xperia 10 IIIは焦点距離の異なる3つのレンズを、Xperia Ace IIは背景ぼかしに対応する深度カメラを搭載しています。価格も機能も異なりますから、カメラを軸に比較してみるのも一案です。

……それにしても、ここまで色々書いてきましたが、ヨコカワさんと同じく僕自身もXperia 1 IIIの機能性には驚くばかり。スナップからポートレートまでこなせるだけに、常に持ち歩いて「今、撮りたい!」という気持ちに、いつも寄り添ってくれる一台だと感じます。

スマホカメラは、もうおまけ機能ではなくなりました。あとは、撮るだけです。

Xperia 1 III 公式サイト

 

主なスペック

カラー フロストブラック、フロストグレー、フロストパープル
サイズ(幅×高さ×厚さ) 約71mm×約165mm×約8.2mm
重量 約188g
バッテリー容量 4500mAh(内蔵電池)
OS Android™ 11
CPU Qualcomm®Snapdragon™888 5G Mobile Platform
メモリ 内蔵(RAM/ROM) 12GB/256GB
外部ストレージ MicroSD/microSDHC/microSDXC(最大1TB)
ディスプレイ 約6.5インチ/有機EL シネマワイド™ディスプレイ/4K/HDR対応/120Hz駆動
カメラ メイン 16mm(超広角):有効画素数約1220万画素/F値2.2

24mm(広角):有効画素数約1220万画素/F値1.7

70mm・105mm(望遠):有効画素数約1220万画素/F値2.3・2.8

3D iToFセンサー
フロント 有効画素数約800万画素/F値2.0
外部接続 Wi-Fi® IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax
Bluetooth® ver.5.2
外部デバイス USB Type-C®
防水/防塵 防水(IPX5/IPX8) 防塵(IP6X)
おサイフケータイ®、NFC、指紋生体認証 、ワイヤレス充電
音声入力 3.5mmオーディオジャック(4極ヘッドセット(CTIA規格準拠)対応)
その他 日本語入力システム Gboard
メールアプリ Gmail
画像閲覧アプリ Google フォト

 

〈写真〉ヨコカワカツヤ(Twitter / Instagram
1993年生まれ、神奈川県出身。大学3年生の時に、友人の勧めで入部した写真部をきっかけに写真を始める。大学卒業後、都内のレンタルスタジオに就職。退職後ロケアシスタントを多くの現場で経験。現在ではファッションや広告、ライブやアーティストの撮影、キッズを含めた多種多様な人物撮影、商品撮影、風景撮影など幅広く撮影活動を行なっている。

〈モデル〉田野優花(Twitter / Instagram

〈ヘアメイク〉村上正也(Instagram

〈取材・文・現場写真〉長谷川賢人

〈協力〉ソニーマーケティング株式会社

△8月9日19:30~ソニーストア銀座からYouTube LIVEにて、Xperia 1 IIIの発売を記念した、映像クリエイターDIN氏とXperia™企画担当によるトークショーが配信される。豊富な作例を交えながら、その可能性を語り合う予定だ。