機材レポート

【実写レビュー】手持ちで軽快に撮れるから鉄道撮影が楽しくなる! タムロンの超望遠&超広角ズームレンズ

タムロンからソニーEマウント対応のフルサイズ用「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」と、APS-Cサイズ用「11-20mm F/2.8 Di III-A RXD」が登場。両極端の焦点距離を持つ2本のズームレンズが、鉄道写真の楽しさをさらに広げてくれた。

タムロン150-500mm&11-20mm実写レビュー

眼下に遠望するSLを500mmが緻密に捉える

遠方を走るSLを山の上から500mmで俯瞰撮影した。手ブレ補正機構VCにより、正確なフレーミングを維持しながら撮影することができた。また高い描写力のおかげで、SLのメカニカルな細部までシャープに再現されている。

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
ソニー α7R IV タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 絞りF8 1/1000秒 ISO400 WB : 太陽光

鉄道を取り巻く風景を広く写し込む

朝日が昇り始めた東の空を背景に、山間に架かる鉄橋を渡る一番列車を11mmで捉えた。逆光にもかかわらず、フレアがほとんどない、鮮鋭度の高い画像が形成されている。トーンも豊かで、シャドー部の色彩にも濁りがない。

タムロン 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD 作例
ソニー α7R IV タムロン 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD 絞りF5.6 1/750秒 ISO400 WB : 太陽光

快適に手持ち撮影ができるコンパクトな超望遠ズーム「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD

[発売日] 2021年6月10日 [希望小売価格] 187,000円 (税込) [レンズ構成] 16群25枚 [最短撮影距離] ワイド端 0.6m、テレ端 1.8m [最大撮影倍率] ワイド端 1:3.1、テレ端 1:3.7 [フィルター径] 82mm [絞り羽根] 7枚 (円形絞り) [大きさ] 最大径93×長さ209.6mm [質量] レンズ本体 1725g、三脚座 155g

昨今、鉄道写真を取り巻く環境は厳しいものになっている。鉄道会社のセキュリティに対する意識の高まりから、線路脇には強固な柵が設けられ、よほどのローカル線でもない限り、線路際に容易に近づくことはできない。そのため自然と撮影レンズの焦点距離は長くなり、鉄道写真においては、300mm辺りはもはや常用域である。

こういった状況にある鉄道写真において、「タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」のような超望遠ズームは非常に魅力的だ。500mmまでカバーしているにもかかわらず特別な収納ケースを必要とせず、カメラバッグにすんなり入ってしまう。撮影地まで歩くことの多い鉄道写真では、このサイズ感はありがたい。

また1880g (三脚座込み) という軽量さと手ブレ補正機構VCのおかげで、500mmを手持ちでも難なく扱えてしまう。元来三脚嫌いの私としては実にありがたい。

リニアモーターVXDが迫り来るSLを追従

高速・高精度に動作するリニアモーターフォーカス機構VXDは、動きの速い被写体にも高いフォーカス追従性を示す。向かってくるSLに合焦し続け、フレームアウトするまで多様なシャッターチャンスを提供してくれた。

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD 作例
ソニー α7R IV タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD  絞りF8 1/500秒 ISO200 WB : 太陽光

手持ち撮影が快適なコンパクトサイズ

焦点距離500mmでレンズ長は最大の約283mmとなるが、超望遠としてはかなりコンパクトだ。軽量さと手ブレ補正機構VCの相乗効果で、500mmを苦もなく手持ち撮影できる。

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD

手ブレ補正は3つの補正モードを用意

操作性の向上が図られたスイッチ類。手ブレ補正機構VCの補正モード選択スイッチは、モード1「通常」、モード2「流し撮り専用」、モード3「フレーミング重視」の3種を選択できる。

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD

光学設計とコーティングで画質を追求

レンズ構成は16群25枚。特殊硝材レンズや複合非球面レンズを使用することで、軸上色収差をはじめ諸収差を抑制。ゴーストやフレアを抑えるBBAR-G2コーティングが施されている。

タムロン 150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD

 

迫力ある撮影が楽しめる大口径超広角ズーム「11-20mm F/2.8 Di III-A RXD」

タムロン 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD

[発売日] 2021年6月24日 [希望小売価格] 102,300円 (税込) [レンズ構成] 10群12枚 [最短撮影距離] ワイド端 0.15m、テレ端 0.24m [最大撮影倍率] ワイド端 1:4、テレ端 1:7.6 [フィルター径] 67mm [絞り羽根] 7枚 (円形絞り) [大きさ] 最大径73×長さ86.2mm [質量] 335g

一方、APS-Cサイズ用の「11-20mm F/2.8 Di III-A RXD」は、フルサイズ換算で16.5〜30mm相当の超広角ズーム。軽量コンパクトでありながら開放絞り値がF2.8の優れもの。鉄道写真ではシャッタースピードを優先しがちになるため、開放値の明るさは強い味方だ。

また広角側の最短撮影距離の近さは驚きで、きっぷや車両の銘板を、パースペクティブを効かせて近接撮影したくなる。さらに防滴構造と防汚コートが採用されており、雨や雪といった悪天候下での撮影でも安心感が増す。

「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD」とともに、鉄道写真をさらに楽しくする、魅力的なレンズといえるだろう。

パースペクティブを効かせて小物を印象的に

昔ながらの硬券きっぷは、被写体にしたくなる味わいのある鉄道アイテムだ。だが正面から複写するだけではつまらない。最短撮影距離の近さを生かしグッと迫って撮影した。パースペクティブの効いた、一味違う接写となった。

タムロン 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD 作例
ソニー α7R IV タムロン 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD 絞りF8 1/60秒 ISO2000 WB : オート

フィルター径を統一し使い勝手が向上

開放値F2.8の超広角ズームでありながら、最大径73mm、長さ86.2mmと非常にコンパクト。フィルター径はタムロン製ソニーEマウント用レンズの多くと共通する67mmを採用。

タムロン 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD

簡易防滴構造で悪天候の撮影も安心

鏡筒の可動部や接合部の各所に防滴用シーリングを配した簡易防滴構造を採用。レンズ最前面には撥水性・撥油性に優れたフッ素化合物による防汚コートが施されている。

タムロン 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD

画面周辺まで高解像でクリアな描写を追求

レンズ構成は10群12枚。ガラスモールド非球面レンズや特殊硝材レンズにより、画面全域で高解像を実現。BBAR-G2コーティングが超広角レンズで気になるゴーストやフレアを抑制する。

タムロン 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD