ミラーレスカメラ全盛のなか発売されたAPS-Cデジタル一眼レフカメラ「PENTAX K-3 Mark III」。久しぶりに登場した“ザ・一眼レフ”とも言えるこのカメラの登場を心待ちにしていた人も多いのではないだろうか。そのポテンシャルを実写で確かめてみた。
ダイナミックレンジの広さを感じる高画質
甲府城の稲荷櫓の頭上の雲間から月齢13の月が顔を出した。城壁の白さもトーンが残っていて、ダイナミックレンジの広さを感じる。約5.5段の手ブレ補正で小さな月もぼけることはなかった。
大きくクリアな光学ファインダーで一眼レフの良さを再認識
そういえば久しぶりにデジタル一眼レフの新製品に触れた気がする。「PENTAX K-3 Mark III」。カメラらしい形。形状の良いグリップはミラーレスよりもしっかり握れる。そしてなんといっても「光学ファインダー」だ。1.05倍の倍率でAPS-C機では最大級。フルサイズに近い大きさでスッキリ、クリアに見える。こうでなくちゃ。
明るい場所ではファインダーが使いやすい
斜陽が当たる新緑を光学ファインダーで撮影。歴代Kシリーズをずっと使ってきたが、従来機より倍率が上がり、ピントの山もつかみやすく、フルサイズの「PENTAX K-1 Mark II」のような感覚で撮影ができる。
倍率1.05倍の光学ファインダー
APS-Cクラス最大級の光学ファインダー。フルサイズに匹敵するサイズで視認性がよく、光学ファインダーを持つ一眼レフの良さをあらためて教えてくれた。
軽量・コンパクトだから1日中持ち歩いても疲れない
APS-Cということもあり軽量・コンパクトなのもいい。このカメラには小さなレンズが似合う。そう考えてフルサイズ換算で53.5mm相当の「HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited」をメインレンズに選んだ。この組み合わせだと圧倒的に小型で持ちやすくなり、軽快に撮影できる。軽量だから1日中持ち歩いても疲労感はまったくない。バッテリーの持ちの良さも感動ものだった。AFも素早く、手ブレ補正の強力さもあいまって手持ちで撮影がはかどる。
超薄型パンケーキ40mmもこのカメラによく似合う
全長15mmの超薄型パンケーキレンズ「HD PENTAX-DA 40mmF2.8 Limited」ならさらにコンパクトに。バッグからサッと取り出して撮影できる機動力はスナップに最適。フルサイズ換算で61mm相当の画角も、被写体の花をうまく切り撮れ、背景をきれいにぼかすことができた。
ペンタックスの魅力は交換レンズにアリ
コンパクトなカメラにはコンパクトなレンズが似合う。ボディ、DA Limitedレンズともにフルサイズよりもひと回り小型で持ちやすい。しかも非常に質感が高いことが触れるとわかる。
カメラらしいカメラが久しぶりに登場した
そして、ペンタックスらしい機能「ハイパープログラム」。プログラムオートで前ダイヤル、後ろダイヤルを回すだけでシャッター優先オートや絞り優先オートに切り替えられる。フィルム時代から受け継ぐ機能で、私は主に絞りを変えるのに使っている。これが素早く直感的に設定を変えられて便利で使いやすいのだ。
ミラーレス全盛の現在において、あえていさぎよい光学ファインダーの一眼レフは、逆にものすごく新鮮に感じた。販売も好調らしいので、意外と待ち望まれていた存在なのかも。久しぶりにカメラらしいカメラだった。
イメージに合わせた仕上げもしやすい
北岳方面に落ちていく太陽を見た目よりも少し印象的に仕上げるため、カスタムイメージ「鮮やか」を使用し、彩度をプラス3に設定。ライブビューで仕上がりの色味をイメージできるから一眼レフでも安心。
〈文・写真〉日野文彦