シグマ 30mm F1.4 DC DN | Contemporary
近接撮影時以外では被写界深度はやや深め
APS-C専用設計のレンズで、換算45mmと一般的な標準レンズよりもわずがに画角は広め。開放F1.4と明るいが、同条件で撮影してもフルサイズよりも被写界深度は深く、近接撮影以外は大きくぼかすのは難しい。絞り開放時はハイライトに紫にじみが感じられるが、解像は安定している。
近接時は大きくぼけて、描写も適度な柔らかさ
最短撮影距離は30cm。小さな花や虫をアップで撮影するには力不足だが、ペットやテーブルフォトには十分すぎる近接撮影性能。開放F1.4と明るいので、ズームレンズでは得られない被写界深度の浅さを生かした大きなボケ表現が楽しめる。近接撮影でもピント面がにじむ傾向は少なく、適度な柔らかさで撮影できる。
開放がF1.4と明るくシャッタースピードが稼げる
長野県佐久穂町の白駒の池にある苔の森。このレンズは手ブレ補正を搭載していないが、開放F1.4と明るいのでズームよりは速いシャッタースピードで撮影できるのが強み。また、前方の微ボケは少しうるさくなる領域があるが、後方の微ボケは滑らかで自然だ。
軸上色収差は少ない部類
水道の蛇口などメタリックな被写体を絞り開放で撮影すると、光が反射している輝度差の大きな部分にパープルフリンジが多少浮く。また、前後のボケの輪郭にマゼンタやグリーンの色浮きが感じられるケースもあるが、全体表示で色づきが目立つというほどではなく、一眼レフ用大口径レンズの多くと比べれば、軸上色収差は少ない部類だろう。
好感が持てる柔らかな後ボケ
風に揺れるコスモスをAF-Cでひたすら連写し、ピンボケやブレが少ないカットを選んでみた。このような近接撮影時にはハイライトにわずかなにじみが浮くが、これは欠点ではなく、むしろ美点。後ボケのコントラストは滑らかで、輪郭も柔らかく好感が持てる仕上がりだ。
手ブレ補正機能非搭載よりも明るさのほうがメリット
横浜関内の猫カフェMiysisにて。子どもやペットなど動く被写体を撮影するときは、動体ブレを避けるた、少しでも速いシャッタースピードで撮影するのが鉄則。そのため、レンズ内手ブレ補正よりも、絞り開放でもシャープな写りの明るいレンズが有利だ。レンズ口径も小さく、被写体を威圧しないのも猫撮影に適している。
F8まで絞って全体にピントを合わせてヒマワリを撮影
道の駅の傍らに咲いていたヒマワリ。一つの茎からいくつもの花を咲かせているので、複数の花にある程度ピントを合わせるため、F8まで絞って撮影。ここまで絞るとズームとの差はほぼなくなるが、前後の微ボケは比較的素直だ。
近接で背景を単純化させるには最適なレンズ
超広角ズームで撮影したキノコを最短撮影距離付近で撮影。超広角ズームよりも背景として写る範囲が狭く、単純なグラデーションになっている。背景が煩雑なシーンでは、背景を単純化しやすいのが標準~中望遠レンズの特徴だ。