シグマからフルサイズミラーレス専用設計の超望遠ズームレンズ「150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports」が登場。池之平昌信カメラマンがサーキットに持ち出して試してみた。ミラーレス用に進化した新・超望遠ズームのモータースポーツ撮影における実力はいかに?
厳しい条件でも納得の画質とAF性能
ソニー純正の「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」よりもスリムで軽い。さらにズーム比も高く、価格もお買い得。そうなると心配になるのは「写り」ということになるが、十分納得できる結果が得られた。パソコンモニター上で拡大して見ても、AFがうまく合致した写真は、画面中央部、周辺部ともに特に不満な点はなかった。
AF性能のテストでは、600mmを中心にあえて厳しい条件で撮影したが、きちんとAFエリアを被写体に合わせ、1コマ目に集中して引きつけて撮れば、かなり高速の被写体でも大丈夫という印象だ。
激しいバトルを高速AFが逃さず捉える
灼熱のレース場で600mm、絞り開放で撮影。バトル中の激しい動きに加え、サーキットとしてはかなりの至近距離だが、AFはきちんと追従してくれた。ヘルメットシールドに映り込んだ青と白の縁石部分まで再現されてしまった。
ライダーの勇姿を逆光でドラマチックに
12時間耐久エンデューロの終盤。汗とほこりにまみれつつ、夕日の中をさまよいながら撮った。ド逆光にもかかわらず、AF性能なども変化なし。いやなゴースト類も一切出なかった。
手ブレ補正「モード2」が流し撮りをサポート
AF追従できる時間が短い木陰のセクションだったが、もちろんOK。流し撮り対応の手ブレ補正「モード2」を使用した。手持ちで、水平ではなく少し登る方向に振り抜いているが、「縦ブレ」は見事に消えている。
高い近接能力が撮影の幅をグッと広げる
今回一番驚いたのがこの接写性能だ。180mm時の最大撮影倍率は1 : 2.9。レンズフード先端から「目」までの距離は約20cmしかなく、毛穴まで写っている。ライダーの了承を得て撮影。
直進ズーム操作も可能、手持ちでフットワークよく撮影できる
炎天下に体力温存のため一脚も使用したが、手持ちでもいける軽さが嬉しい。レース撮影ではフットワークの軽さが大きな武器となる。コンパクトなミラーレス機との相性もいい。
ズームリングの回転方向はニコンやソニーのレンズとは逆になる。キヤノンからソニーに乗り換えたユーザーには好都合かもしれないが、最初はかなり戸惑ってしまった。そんな人はレンズ先端部を持って前後に伸縮させる直進ズーム的に使うこともできるので、試してみるとよいだろう。
レースの現場で使える嬉しい機能が満載
手ブレ補正の切り替えスイッチやレンズストラップの装着、ほかにもズーム時のトルク切り替えスイッチなど至れり尽くせりの装備だ。操作感にきゃしゃな印象はなく安心して使えるだろう。
気軽に使えるから試してみる価値アリ
室内や夜間のスポーツとは違い、十分な光量が得られやすいモータースポーツ撮影の現場では、500mmや600mmといった単焦点レンズの使用者が減少傾向にある。そしてシグマの超望遠ズームはキヤノンユーザーを中心に増えていることを感じていた。この夏、30℃をラクに超す炎天下のサーキットやモトクロス場で撮影してみて、その意味とありがたさがよくわかった。モータースポーツから野鳥やヒコーキまで、気軽に使える超望遠ズーム。試してみる価値はアリだと思う。
テレ端からワイド端までクリアな画質を追求
カメラ側の「レンズ補正」を想定して開発されたという光学設計を採用。超望遠レンズで重要なテレ端600mmでの性能はもちろん、全てのズーム域で高い解像感とクリアな描写が得られる。
マグネシウム合金製の軽量三脚座を装備
小型軽量とはいえ超望遠である。一脚と三脚は頑丈なものを選びたい。三脚座はアルカスイス互換のマグネシウム合金製。脚部は取り外し可能なので手持ちオンリーの人にもありがたい。
SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports
発売日 2021年8月27日
希望小売価格 198,000円 (税込)
マウント ソニーEマウント、Lマウント
レンズ構成 15群25枚
最短撮影距離 58〜280cm
最大撮影倍率 1 : 2.9 (焦点距離180mm時)
絞り羽根 9枚 (円形絞り)
フィルター径 φ95mm
最大径×長さ Eマウント φ109.4×265.6mm、Lマウント φ109.4×263.6mm
質量 2100g (三脚座を含む)