左、前半用「ニコン D800」。右、後半用「ニコン D7200」。
気がつけば満開…。それが桜シーズンのいつものパターン。「桜が咲いたら撮りたいよナァ」っと毎年思ってるけど、開花状況を逐一チェックしてる訳ではないので、気がついたら見頃を過ぎていた、という年もある。また、開花状況をチェックしていても、仕事(主に原稿作業)の関係で撮影断念…という年もある。
今年の東京の桜は、3月23日(月)に開花宣言が出て、その後の陽気の影響で29日(日)には、全国でいちばん早く満開になる。…だけど、その間の1週間はいろんなロケが立て込んでいて、見頃を迎える桜を横目に、いろんなロケ場所(横浜、青梅、世田谷区のハウススタジオ、など)を転々と移動していた。
だが、先週後半の4月2日(木)、いろんなロケを済ませた後の原稿執筆作業までの合間に、気になっている桜を撮りに行くことにした。今年、気になる桜スポットは2か所。さほど離れていない2か所だが、桜の木や周囲の状況が異なるため、メインで使うレンズも変わってくる。…そこで、2か所を前半と後半に分けて、前半の撮影が終了したら一度帰宅。でもって、機材を交換して後半の撮影に出かける。という作戦で臨むことにした。このゲーム感覚、なんだかワクワクしてくるねぇ(笑)。
前半 ” 南武線、駅前の桜 “
ニコン D800+AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR、タムロン SP90ミリF2.8 Di MACRO 1:1 VC USD、AF-Sニッコール28-300ミリF3.5-5.6G ED VR
数日前、ロケで青梅に向かう際に、JR南武線の西国立駅(終点の立川のひとつ手前の駅)のホームから見える桜が気になっていた。ホームに隣接する公園の桜が、かなり間近に感じられるのである。ということで、前半の撮影は西国立駅のホームと、そのホーム脇の公園からスタート。
この前半の撮影では、桜の木や花に接近できそうなので、広角重視の機材選びをした。その中のメイン機材は『ニコン D800+AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR』。で、接近戦は『タムロン SP90ミリF2.8 Di MACRO 1:1 VC USD』で攻める。標準域から望遠域は、高倍率ズームの『AF-Sニッコール28-300ミリF3.5-5.6G ED VR』でカバーする。
西国立駅(隣接する公園)での撮影を終えると、一駅戻って矢川駅で下車。行きの電車内から見た、矢川駅から続く”通りの桜並木”が印象的だったのである。お〜、この町並と濃密な桜並木、イイ感じだわぁ。広角ズーム『AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR』のワイドな画角がしっくりくる場所とシーンだった。
●前半の総撮影カット数/1,160カット
◆ニコン D800 AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR 22ミリで撮影 絞り優先オート F11 1/160秒 WB:晴天 ISO100
◆ニコン D800 タムロン SP90ミリF2.8 Di MACRO 1:1 VC USD 絞り優先オート F3.8 1/640秒 +0.7補正 WB:晴天 ISO100
◆ニコン D800 AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR 20ミリで撮影 絞り優先オート F11 1/125秒 WB:晴天 ISO100
◆ニコン D800 AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR 17ミリで撮影 絞り優先オート F11 1/80秒 +0.7補正 WB:晴天 ISO100
後半 ” 野川沿いの桜 “
ニコン D7200+AF-Sニッコール70-200ミリF2.84G ED VR II、タムロン SP90ミリF2.8 Di MACRO 1:1 VC USD、AF-S DXニッコール16-85ミリF3.5-5.6G ED VR
前半の撮影を終えて、帰宅して機材を入れ替えて向かったのは、東京都を流れる多摩川支流の「野川」。ボクにとっては、自宅近くを流れる”身近な小川”であり、お気に入りの写真散歩コースでもある。狭い川幅や自由に歩ける河辺、整備された両岸の遊歩道など、四季を通じて楽しく散策できるコースなんだよね。そして、この季節は、両岸の桜並木が大きな見所になってくる。
後半の撮影では、その桜並木の密度感を高めるため、引き寄せや圧縮効果が得られる”APS-Cサイズ機+望遠ズーム”をメイン機材に据えたいと思う。そして、画質にもこだわりたい。ということで、メインの組み合わせは『ニコン D7200+AF-Sニッコール70-200ミリF2.8G ED VR II』。また、前半と同様、接近戦に備えて『タムロン SP90ミリF2.8 Di MACRO 1:1 VC USD』もチョイス。広角域から中望遠域は標準ズームの『AF-S DXニッコール16-85ミリF3.5-5.6G ED VR』でカバーする。
京王線の柴崎駅から国道20号(甲州街道)に出て、少し西に向かって歩くと「野川」に到着。そこに架かる橋の上から、桜並木と鉄橋を通過する京王線の電車を絡めて撮影。そして、京王線の線路とは反対の方向(北西方向)の遊歩道を歩きながら撮影を続ける。
夕暮れが近づくにつれ、いつもとは違う雰囲気に気づいた。いつも(毎年の桜の季節)よりも人出が多いのである。まあ、野川沿いの桜も今が見頃だけど、この人出はちょっと異常じゃないか!? ハッと気づいた。そういえば、毎年桜の開花状況に合わせて直前に開催日が決まる、一夜限りの”野川の桜ライトアップ”って今日なんじゃないの?(※毎年、地元の照明システム会社「アーク・システム」によって実施されている) 持参していたタブレットで情報をチェックしてみる。…ああ、たしかに今日(4月2日・木/18時〜21時)が開催日だわ。ということで、期せずして、貴重なライトアップの桜並木も撮影することができた。
●後半の総撮影カット数/714カット
◆ニコン D7200 AF-S DXニッコール16-85ミリF3.5-5.6G ED VR 18ミリで撮影 絞り優先オート F11 1/50秒 −0.3補正 WB:晴天 ISO100
◆ニコン D7200 AF-Sニッコール70-200ミリF2.8G ED VR II 200ミリで撮影 絞り優先オート F2.8 1/320秒 +0.3補正 WB:晴天 ISO200
◆ニコン D7200 AF-Sニッコール70-200ミリF2.8G ED VR II 400ミリ相当で撮影(対DX1.3×クロップ使用) 絞り優先オート F3.5 1/320秒 +0.3補正 WB:晴天 ISO400
◆ニコン D7200 AF-Sニッコール70-200ミリF2.8G ED VR II 102ミリで撮影 絞り優先オート F3.5 1/50秒 −0.7補正 WB:晴天 ISO400
ほとんど思いつきだけで実施した、機材入れ替え式による”桜ダブルヘッダー”。これが思った以上に楽しかった。まあ、前半と後半の場所が”どちらも自宅からそう遠くない”という条件の良さもあるが、いちど帰宅して機材を入れ替えるという行為によって、最後までフレッシュな気持ちで撮影に臨めた。
そして、「4月2日・木曜」という撮影日もドンピシャのタイミングだったね。満開日は過ぎていても、まだまだ花は見頃だったし、一夜限りの野川のライトアップにも遭遇できたし。また、一日を通して好天に恵まれたのも大きい。なお、翌日の3日は”曇天&強風”という荒れた一日になったので、満開で見頃&撮り頃だった桜も、ほとんど散ってしまったんだろうナァ…。
今年の東京の桜撮影、わずか一日だったけど”桜ダブルヘッダー”により、とても充実した内容になったね。