ニコン NIKKOR Z 40mm f/2
スペック
[マウント] ニコンZマウント [最大径×長さ] 約φ70×45.5mm [重さ] 約170g [レンズ構成] 4群6枚 [最短撮影距離] 0.29m [最大撮影倍率] 0.17倍 [絞り羽根枚数] 9枚 (円形絞り) [フィルター径] φ52mm参考価格 31,900円 (税込)
遠景であれば周辺部まで安定した解像が得られる
S-Lineレンズのような高コントラスト・高解像のレンズではなく、絞り開放では周辺減光が目立ち、解像性能もそれほど高くはない。遠景であれば、絞り開放でも周辺まで安定した解像が得られる。
撮影距離が短くなるとハイライトがにじみ柔らかな描写に
最近のレンズはフローティングにより、近接撮影時でも収差が増大しないような設計になっているものが大半だが、このレンズは撮影距離が短くなると、ピント面のハイライトがにじんで、かなりふんわりとした描写になる。ただ、これは欠点というより、このレンズの味というか個性だ。
ネコの毛並みの柔らかさが感じられる描写
横浜関内の猫カフェ Miysisにて。このレンズは近接撮影になるほど、ピント面のにじみが強くなり、周辺部の解像も緩くなってくる。そのため、猫の細いヒゲや毛までは解像せず、ソフトフォーカスレンズのようなボヤッとした写りだが、猫の毛並みの柔らかさが感じられる描写だ。
周辺部のコマ収差は大きくキャッチライトは点にならない
近接撮影時には球面収差が増えるため、ピント面のにじみが大きく、ピントのピークがどこにあるかわかりにくくなる。球面収差にまみれて軸上色収差は目立たないし、ちゃんと毛並みも感じられる。ただ、周辺部はコマ収差が大きくなるため、猫のキャッチライトが点にならず歪んで写っている。
収差と解像のバランスが取れるF2.2~2.5がおすすめ
近接撮影時はF2.2~2.5で撮影するのが、個人的にはおすすめ。コマ収差が抑えられ、周辺解像や点像の描写が安定してきて、それでいて、球面収差による適度な軟らかさはまだ残っているし、並のズームレンズよりもまだ明るいので、暗さにも強い。
光条はほとんど生じず、ゴーストもシンプルな出方
焦点距離40mmのレンズで太陽を直接入れて撮影するケースはそれほど多くないと思うが、とりあえず逆光時のゴーストやフレア、光条の出方をチェック。F16まで絞って太陽を木の枝に被らせているが、鋭い光条は出ていない。レンズ構成枚数が少なめということもあり、ゴーストもシンプルな出方だ。
近接撮影時は周辺が乱れるので、主題は画面中央付近に
最短撮影距離は28cm。焦点距離40mmのレンズとしては寄れる部類で、開放F2と明るいので、被写体にグッと近づいて撮影すれば、背景をフワッと大きくぼかすことができる。ただ、近接撮影時は周辺解像が少し乱れるので、主題はできるだけ画面中央 (APS-C範囲内) に置くのがポイントだ。
金属の反射部では色浮きを感じる
通常の撮影では、軸上収差の影響をそれほど感じないが、金属の反射など輝度差が大きな境界部分には、パープルフリンジが浮くことがある。また、周辺のボケが、口径食とコマ収差の影響で三角やくさび形になると、やや不自然なボケに見える。
被写体に近づいて背景を大きくぼかすのが撮影のコツ
中途半端な微ボケにすると、周辺部のボケがくさび形に変形したのがうるさく感じるが、ある程度、被写体に近づいて、背景を大きくぼかしてしまえば、コマ収差の影響はなくなり、少しにじみを伴う軟らかな後ボケになる。
カリカリにシャープではなく艶のある落ち着いた描写
カリカリにシャープな描写というわけでなく、どちらかというと緩さが残る開放描写だが、不思議と艶があるウェットな質感が感じられる。コントラストがあまり高くない分、階調がキレイに出るのかも。コマ収差が目立つ周辺部以外は後ボケも柔らかく、優しいボケ味だ。
※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。