機材レポート

お手頃価格のニコン標準レンズ2本を使い倒して実写チェック!「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」「NIKKOR Z 40mm f/2」

伊達淳一のレンズパラダイス『CAPA』2022年4月号 Other Shots

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S (右) と、NIKKOR Z 40mm f/2 (左)

伊達淳一カメラマンがさまざまなレンズを使い倒しレビューする『CAPA』人気連載の「レンズパラダイス」。2022年4月号の「レンズパラダイス」Other Shotsでは、ニコンの標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」と標準単焦点レンズ「NIKKOR Z 40mm f/2」をピックアップ。手ごろな価格で手に入る2本の描写性能をチェックする。

目次

  1. NIKKOR Z 24-120mm f/4 S 実写チェック
  2. NIKKOR Z 40mm f/2 実写チェック
  3. NIKKOR Z 40mm f/2 絞りによるコマ収差の変化

ニコン NIKKOR Z 24-120mm f/4 S

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号

スペック
[マウント] ニコンZマウント [最大径×長さ] 約φ84×118mm [重さ] 約630g [レンズ構成] 13群16枚 [最短撮影距離] 0.35m [最大撮影倍率] 0.39倍 [絞り羽根枚数] 9枚 [フィルター径] φ77mm

参考価格 139,700円 (税込)

周辺まで緩さを感じさせない圧倒的な解像感

横須賀のソレイユの丘にて。画面左下の周辺部分を切り出しているが、絞り開放でもこの解像。カメラ内である程度の収差補正は行なわれていると思うが、4575万画素の「Z 7II」のピクセル等倍表示でもまったく解像の緩さや色にじみを感じない。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II NIKKOR Z 24-120mm f/4 S 絞りF4 1/3200秒 ISO200 WB : オート38mm域
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

軸上色収差による花びら輪郭の色浮きもまったくない

今年はウメの開花が遅く、なんとか早咲きのウメを探して近郊の公園へ。画面下部に前ボケを入れ、テレ端絞り開放で主題となるウメを浮き立たせてみた。軸上色収差があると、ボケ気味になったウメの白い花びらの輪郭に色が浮くが、そうした気配はまったくない。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II NIKKOR Z 24-120mm f/4 S 絞り優先オート F4.0 1/640秒 +1補正 ISO250 WB : 晴天 120mm域
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

微ボケ領域でもうるさいボケになりにくい

これもテレ端開放で撮影したカットだが、撮影距離がそこそこ遠く、前後が大きくぼけないので、中途半端な微ボケが多くなりやすいシチュエーション。二線ボケの傾向が強いと、微ボケになった枯れ枝や幹が騒がしくなるが、このレンズは解像とコントラストが高い割に、微ボケはさほど騒がしくない。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II NIKKOR Z 24-120mm f/4 S 絞り優先オート オート F4 1/1600秒 ISO320 WB : 晴天 120mm域
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

パンフォーカス的な描写でナノハナ畑と青空を狙う

ソレイユの丘のナノハナ畑。真っ青な空に白い雲、そして目映いばかりのナノハナの黄色がキレイだったので、ワイド端までズームを引いて縦位置構図で撮影。手前のナノハナを中途半端にぼかしたくなかったのでF14まで絞って、画面中央よりも少し手前のナノハナにピントを合わせ、パンフォーカス的な描写を狙ってみた。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II NIKKOR Z 24-120mm f/4 S 絞り優先オート F14 1/250秒 ISO160 WB : オート 24mm域
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

鋭い光条がしっかり伸びてくれるのも特徴

このレンズは逆光でゴーストやフレアが出にくいだけでなく、F11~16まで絞れば太陽に木の枝などを重ね合わさなくても、鋭い光条が伸びるのも特徴。この写真も、少し薄雲がかかっているにもかかわらず、細く鋭い光条がしっかり伸びてくれた。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II NIKKOR Z 24-120mm f/4 S 絞り優先オート F16 1/200秒 +0.3補正 ISO100 WB : オート 24mm域
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

極めて鋭い解像ではないぶんボケは穏やか

カリカリにエッジ立つような鋭い解像というわけではないものの、ピント面ににじみもなく、4575万画素の「Z 7II」でも解像性能にまったく不足は感じない。むしろ、カリカリし過ぎていないぶんボケも穏やかで、非球面レンズの輪線ボケや球面収差の過剰補正による二線ボケ傾向もほぼ感じない。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II NIKKOR Z 24-120mm f/4 S 絞り優先オート F5.6 1/320秒 ISO320 WB : 晴天 70mm域
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

後ボケした葉の輪郭がにじみ、柔らかなトーンに再現

なんとなく撮ったカットだが、パソコンの大画面モニターで見ると、背景が大ボケしているわけでもないのに、ピントを合わせた葉が浮き上がって、なんともいえない立体感がある。後ボケになった葉っぱの輪郭が少しにじみ気味で、しかも階調が軟らかくトーンがよく出ているので、主題をジャマしないのだろう。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II NIKKOR Z 24-120mm f/4 S 絞り優先オート F4 1/320秒 ISO250 WB : オート 62mm域
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

周辺部の点光源においても収差は生じていない

絞り開放の色収差や点像性能をチェックするため、横浜大桟橋からみなとみらい方面を撮影。開放F4とそれほど明るくないこともあり、周辺部の点光源も羽根を広げることなく、ほぼ点像に写っている。灯りが付いているビルの窓枠やネオンサインを見てもパープルフリンジは生じていない。なかなか優秀なレンズだ。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II NIKKOR Z 24-120mm f/4 S 絞り優先オート F4 1秒 -0.3補正 ISO320 WB : 電球 48mm域
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

高輝度部においても色にじみはなく周辺まで高精細

かなり暗かったので、素直に三脚を使って撮影。通常なら1~2段絞って撮影するところだが、レンズの開放画質も見たかったのであえて絞り開放で撮影している。窓のサッシに色浮きがあるが、これは光源自体に色が付いているためだろう。輝度差の大きな輪郭部でも色にじみはなく、周辺まで高精細な描写が得られている。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II NIKKOR Z 24-120mm f/4 S 絞り優先オート F4 2秒 -0.7補正 ISO640 WB : 電球 27mm域
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

艦首の塗装の細部までしっかりと再現されている

横須賀の三笠公園にて。昼過ぎから雲に覆われていたが、日没直前に雲の隙間から記念艦「三笠」の艦首に日が射し込んできたので、マンションなど周囲の建物を入れないように艦首部分を切り取って撮影。艦表面の塗装の微細なテクスチャーまでしっかりと再現されている。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II NIKKOR Z 24-120mm f/4 S 絞り優先オート F8 1/80秒 +0.3補正 ISO100 WB : オート 31mm域
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

 

※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。

ニコン NIKKOR Z 40mm f/2

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号

スペック
[マウント] ニコンZマウント [最大径×長さ] 約φ70×45.5mm [重さ] 約170g [レンズ構成] 4群6枚 [最短撮影距離] 0.29m [最大撮影倍率] 0.17倍 [絞り羽根枚数] 9枚 (円形絞り) [フィルター径] φ52mm

参考価格 31,900円 (税込)

遠景であれば周辺部まで安定した解像が得られる

S-Lineレンズのような高コントラスト・高解像のレンズではなく、絞り開放では周辺減光が目立ち、解像性能もそれほど高くはない。遠景であれば、絞り開放でも周辺まで安定した解像が得られる。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II NIKKOR Z 40mm f/2 絞り優先オート F2 1/5000秒 -0.3補正 ISO100 WB : 太陽光
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

撮影距離が短くなるとハイライトがにじみ柔らかな描写に

最近のレンズはフローティングにより、近接撮影時でも収差が増大しないような設計になっているものが大半だが、このレンズは撮影距離が短くなると、ピント面のハイライトがにじんで、かなりふんわりとした描写になる。ただ、これは欠点というより、このレンズの味というか個性だ。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II  NIKKOR Z 40mm f/2 絞り優先オート F2 1/4000秒 +0.3補正 ISO100 WB : 太陽光
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

ネコの毛並みの柔らかさが感じられる描写

横浜関内の猫カフェ Miysisにて。このレンズは近接撮影になるほど、ピント面のにじみが強くなり、周辺部の解像も緩くなってくる。そのため、猫の細いヒゲや毛までは解像せず、ソフトフォーカスレンズのようなボヤッとした写りだが、猫の毛並みの柔らかさが感じられる描写だ。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II  NIKKOR Z 40mm f/2 絞り優先オート F2 1/50秒 +1.3補正 ISO900 WB : マニュアルセット
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

周辺部のコマ収差は大きくキャッチライトは点にならない

近接撮影時には球面収差が増えるため、ピント面のにじみが大きく、ピントのピークがどこにあるかわかりにくくなる。球面収差にまみれて軸上色収差は目立たないし、ちゃんと毛並みも感じられる。ただ、周辺部はコマ収差が大きくなるため、猫のキャッチライトが点にならず歪んで写っている。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II  NIKKOR Z 40mm f/2 絞り優先オート F2 1/100秒 +1.3補正 ISO1400 WB : マニュアルセット
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

収差と解像のバランスが取れるF2.2~2.5がおすすめ

近接撮影時はF2.2~2.5で撮影するのが、個人的にはおすすめ。コマ収差が抑えられ、周辺解像や点像の描写が安定してきて、それでいて、球面収差による適度な軟らかさはまだ残っているし、並のズームレンズよりもまだ明るいので、暗さにも強い。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II  NIKKOR Z 40mm f/2 絞り優先オート F2.5 1/100秒 +1補正 ISO2200 WB : マニュアルセット
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

光条はほとんど生じず、ゴーストもシンプルな出方

焦点距離40mmのレンズで太陽を直接入れて撮影するケースはそれほど多くないと思うが、とりあえず逆光時のゴーストやフレア、光条の出方をチェック。F16まで絞って太陽を木の枝に被らせているが、鋭い光条は出ていない。レンズ構成枚数が少なめということもあり、ゴーストもシンプルな出方だ。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II  NIKKOR Z 40mm f/2 絞り優先オート F16 1/800秒 -0.3補正 ISO100 WB : 晴天
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

近接撮影時は周辺が乱れるので、主題は画面中央付近に

最短撮影距離は28cm。焦点距離40mmのレンズとしては寄れる部類で、開放F2と明るいので、被写体にグッと近づいて撮影すれば、背景をフワッと大きくぼかすことができる。ただ、近接撮影時は周辺解像が少し乱れるので、主題はできるだけ画面中央 (APS-C範囲内) に置くのがポイントだ。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II  NIKKOR Z 40mm f/2 絞り優先オート F2 1/4000秒 +0.3補正 ISO64 WB : 晴天
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

金属の反射部では色浮きを感じる

通常の撮影では、軸上収差の影響をそれほど感じないが、金属の反射など輝度差が大きな境界部分には、パープルフリンジが浮くことがある。また、周辺のボケが、口径食とコマ収差の影響で三角やくさび形になると、やや不自然なボケに見える。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II NIKKOR Z 40mm f/2 絞り優先オート F2 1/3200秒 +0.3補正 ISO100 WB : 晴天
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

被写体に近づいて背景を大きくぼかすのが撮影のコツ

中途半端な微ボケにすると、周辺部のボケがくさび形に変形したのがうるさく感じるが、ある程度、被写体に近づいて、背景を大きくぼかしてしまえば、コマ収差の影響はなくなり、少しにじみを伴う軟らかな後ボケになる。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II  NIKKOR Z 40mm f/2 絞り優先オート F2 1/500秒 +0.3補正 ISO100 WB : 晴天
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

カリカリにシャープではなく艶のある落ち着いた描写

カリカリにシャープな描写というわけでなく、どちらかというと緩さが残る開放描写だが、不思議と艶があるウェットな質感が感じられる。コントラストがあまり高くない分、階調がキレイに出るのかも。コマ収差が目立つ周辺部以外は後ボケも柔らかく、優しいボケ味だ。

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
ニコン Z 7II  NIKKOR Z 40mm f/2 絞り優先オート F2 1/1000秒 +1補正 ISO64 WB : 晴天
伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号
部分拡大

 

※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。

NIKKOR Z 40mm f/2 絞りによるコマ収差の変化

■全体画像

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号

■拡大画像(F2)

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号

■拡大画像(F2.2)

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号

■拡大画像(F2.5)

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号

■拡大画像(F2.8)

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号

■拡大画像(F3.2)

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号

■拡大画像(F3.5)

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号

■拡大画像(F4)

伊達淳一のレンズパラダイス Other Shots 2022年4月号

 

非球面レンズを2枚、特に最後面に大型の非球面レンズがあるので、コマ収差もしっかり補正されているかと期待したが、絞り開放では周辺の点光源が羽根を広げ、ネオンもにじむ。F3.5まで絞れば解消する。