OM SYSTEM OM-1 実写レビュー！ フラッグシップの名に恥じぬ高性能と機動力

OMデジタルソリューションズが2022年3月18日に発売したマイクロフォーサーズミラーレスカメラ「OM SYSTEM OM-1」。発売からおよそ1か月を経て、やっとじっくりと手にする機会ができた。「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II」と組み合わせて、信州の春を撮りに出かけた。

機動力はそのままにホールド感が向上した

「OM SYSTEM OM-1」は、「OM-D E-M1 Mark III」よりもわずかに大きくなっており、重量も増えている。とはいえ、マイクロフォーサーズならではの機動性の高さはそのままだ。操作系も踏襲されているので、オリンパスユーザーなら混乱することなく操作できるだろう。

「OM SYSTEM OM-1」はグリップが大きくなっているので、しっかりと握り込むことができる。ホールドしたときに余計な力が入らず、手から滑り落ちるような不安感もない。確実な操作性はもちろん重要だが、こうした安心感も作品づくりにとっては大切な要素のひとつだと思う。「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II」とのバランスもいい。

進化したAF性能がとにかくスゴイ

「OM SYSTEM OM-1」で大きく進化したのはAF性能だ。測距点が1053点と多いだけでなく、Singleターゲット (1点)、Smallターゲット (9点)、Crossターゲット (39点)、Middleターゲット (63点)、Largeターゲット (165点) と測距エリアを拡大・縮小できる便利な機能を搭載している。マルチセレクターでエリアを動かして、画面端の細かい部分にも確実にピントを合わせることができる。

低照度下でのAF性能も高く、日没後の薄暮の中でも街灯の灯りだけで確実にピントを合わせることができた。ボディ単体で7段を実現する手ブレ補正のおかげで、こんな暗いシーンで手持ち撮影ができるのも強みだ。

「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II」はヌケの良い描写

「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II」のヌケの良い描写で、春らしい情景を捉えることができた。防塵・防滴・耐低温となっているので、フィールドでの撮影でも安心だ。

すりガラス越しのソフトな光が差し込む囲炉裏の部屋。シャドー部がつぶれることなく、細部のディテールまでしっかりと捉えることができた。ND64までのライブNDが搭載されているので、明るいシーンでスローシャッターにすることもできる。

フラッグシップにふさわしい妥協のない性能

「OM SYSTEM OM-1」の有効画素数は約2037万画素。細部までしっかり解像されている。さらに高解像が必要なら、12枚を合成して50Mの高画素を実現する「手持ちハイレゾ」も可能だ。

1/32000秒までの電子シャッターが搭載されている。わずかな風でふわふわと揺れる菜の花もしっかりと捉えることができた。 AFはCrossターゲットを使用した手持ち撮影だ。

電球の赤みをわずかに残した自然な仕上がりのホワイトバランス。ミックス光の複雑な光線状態を見た目に近い印象で捉えることができた。

グリーンの発色も鮮やかだ。雨に濡れた新緑の透明感と深みのある緑色が描写できた。「OM SYSTEM OM-1」は、星景や動体撮影の性能がクローズアップされがちだが、風景撮影やスナップショットでもしっかりと期待に応えてくれるカメラだ。

ファインダーは576万ドットの高解像度で、防曇処理が施されている。雨の日の撮影でもファインダーが曇ることがなく快適に撮影できた。シャドー部のディテールがもう少しわかるといいと感じた。