機材レポート

話題のキヤノン「EOS R10」実写レビュー! 撮ってわかった「EOS R7」との違い

EOS R7・EOS R10

早くも話題沸騰のEOS R SYSTEM初のAPS-Cセンサー搭載機「EOS R7」と「EOS R10」。前回の「EOS R7」に続き、今回は「EOS R10」の実写インプレッションをお届けする。EOS R SYSTEMのエントリー的な位置づけなのか? それとも上位機を脅かす高コスパの小さな実力機なのか? 撮ってわかったそのキャラクターを解説しよう。

キヤノン「EOS R7」「EOS R10」実写インプレッション

  1. EOS R7
  2. EOS R10

キヤノン EOS R10

「EOS R7」に続いて登場するキヤノン EOS R SYSTEMのAPS-Cセンサー搭載スタンダードモデル。メカシャッターで最高約15コマ/秒の高速連写や、「EOS R7」に匹敵するAFシステムなどの高性能を備えながら、128,480円 (キヤノンオンラインショップ価格 / 税込) というお求めやすい価格が大きな魅力点だ。2022年7月下旬発売予定。

EOS R10・RF-S18-45 IS STM レンズキット

まずはスペックで「EOS R7」と「EOS R10」の違いを確認しよう

「EOS R7」も「EOS R10」も、最高15コマ/秒のメカシャッター連写が可能で、「EOS R3」譲りの被写体検出&トラッキングを備えた最新のAFシステムを搭載している。「EOS R7」は、EOS 7Dシリーズで獲得した、望遠・超望遠レンズで本格的な動体撮影を楽しむ層に向け、撮影機能だけでなく、操作性や信頼性にもこだわって開発されたモデルだ。

一方、「EOS R10」は、このクラスでは最強のAF・連写性能を備えつつも、小型軽量とお手頃価格を重視したモデルで、実売価格は「RF-S18-45 IS STM レンズキット」で143,880円 (税込) と、従来のEOS Kissクラスよりは高めだが、それでもEOS Kiss XシリーズやEOS Kiss Mシリーズなど、既存のEF-SやEF-Mレンズのユーザーが、RFマウントに乗り換えてもいいかな、と思える価格だ。

EOS R7 & EOS R10 スペック比較

「EOS R7」と「EOS R10」の主な違いはこちら。

EOS R7 & EOS R10 スペック比較

実写で体感した2機種の違い

EOS R10 実写レビュー

「EOS R10」は「EOS R7」の弟分的な存在、高速被写体も十分にバリバリ連写できる高性能機だ

実際に「EOS R10」を使ってみて感じた「EOS R7」との一番の違いは、EVFの倍率。「EOS R7」を使った後に「EOS R10」を使うとファインダー画面が小さく、撮影画面の細かい部分までじっくり確認しながら撮影するというよりも、被写体を画面内に捉える照準器的な感覚だ。フルサイズミラーレスのEVFを見慣れている人にとっては、ファインダー像が小さく、没入感に欠けるものの、APS-C一眼レフやEOS Mシリーズユーザーなら、それほど違和感はないだろう。

EOS R10 EVF
「EOS R10」のEVF (0.95倍)
EOS R7 EVF
「EOS R7」のEVF (1.15倍)

 

操作性の面では、ISOボタンや削除ボタンがなく、これらの機能は背面の十字ボタンに割り当てられている。「EOS R7」では、十字ボタンにFvモード関連の操作が割り当てられているので、Fvモードを多用する人には「EOS R10」だと少し不便に感じるかも。

ただ、Fvモードを使わない人にとっては、慣れてしまえば操作にとまどうこともないし、逆に「EOS R7」の十字キーにFvモード関連ではなく、さまざまな撮影機能を割り当てると、使用頻度の高い機能や設定を即座に呼び出せて便利だ。サブ電子ダイヤルは撮影者から見て右肩にあり、「EOS R」や「EOS R5」「EOS R6」と同じ位置なので、他機種と混在使用する場合、「EOS R7」よりも混乱しにくかった。

EOS R10 サブ電子ダイヤル
「EOS R10」のサブ電子ダイヤルは右肩上
EOS R7 サブ電子ダイヤル
「EOS R7」のサブ電子ダイヤルは背面上寄り

 

また、バッテリーは「LP-E17」で、「EOS RP」やEOS Kiss Xシリーズ、EOS Mシリーズと共通。LP-E6系に比べると容量が少ないため、撮影できる枚数はちょっと少なめなので、予備バッテリーは必須だろう。今回使用した貸出機には予備バッテリーが付属していなかったので、移動中などにモバイルバッテリーでUSB充電を行って撮影を続けることができた。ちなみに、「EOS R7」「EOS R10」ともにUSB充電だけでなく、USB給電にも対応しているようだが、残念ながら手持ちのモバイルバッテリーでは充電はできても給電は不可。おそらく9V/3A出力のモバイルバッテリーが必要なようだ。

バッテリー LP-E17
「EOS R10」のバッテリー LP-E17
バッテリー LP-E6HN
「EOS R7」のバッテリー LP-E6HN

■「全域AF」&「動物優先」AFとメカシャッター連写でペリカンの頭部をガッチリ捕捉撮影した

メカシャッター連写は15コマ/秒で、AF性能も含め「EOS R7」と同等だが、バッファメモリは少ないようで、L Fine + cRAWで撮影しても2秒も経たずに連写が詰まってしまう。連写スピードが23コマ/秒と速い電子シャッター連写なら、さらに連写時間は短くなる。「EOS R10」の場合、思う存分連写するなら、RAW記録は諦め、JPEG連写で使った方が快適だ。

EOS R10 実写レビュー
キヤノン EOS R10 RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM シャッター優先オート F7.1 1/2500秒 ISO640 WB : 晴天 138mm域 (220mm相当)

神戸どうぶつ王国のペリカンフライト。連写が詰まるのを避けるため、JPEG (L FINE) のみでの撮影だ。ペリカンの目線に近づけるのと、後ろの人が快適に見られるよう、最前列でしゃがみこんでいるので、ファインダーは使わず、バリアングルモニターを見ながら撮影している。使用レンズは、「EOS R10」のキットレンズに設定されている「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」。全域AF&動物優先でメカシャッター連写しているが、カメラに向かって真っ直ぐ飛んでくるという予測しやすい動きということもあり、フレームアウト直前までペリカンの目もしくは頭部にしっかりピントが合っている。高輝度側・階調優先とオートライティングオプティマイザの重ねがけで、白トビも抑えられている。

■ノイズが少なくISO25600としては悪くない画質だ

画質については、3250万画素と2420万画素の違いはあるとはいえ、高感度でもキレのある描写で、ISO25600で撮影した夜のヒコーキ写真を見ると、スペック上の最高感度は「EOS R7」と同じだが、「EOS R10」のほうが少しだけシャドーの階調に余裕がある印象を受けた。

EOS R10 実写レビュー
キヤノン EOS R10 EF50mm F1.8 STM シャッター優先オート F1.8 1/250秒 ISO25600 WB : 白熱電球 50mm (80mm相当)

千里川の土手から伊丹空港に着陸する飛行機を狙う。個人的なこだわりは、夜に飛んでいる飛行機を滑走路も含めブレなく写すことと、機体の底部に滑走路の誘導灯が反射する位置、できればアンコリも光れば完璧だが、それには70~135mm相当の中望遠レンズで、誘導灯もブレずに見えるシャッタースピードは1/250秒がマスト。そこで、マウントアダプターを使って「EF50mm F1.8 STM」を装着。開放の周辺画質はそれほど良くないレンズだが、APS-Cでクロップされ周辺部は写らないので、誘導灯の描写もほぼ乱れは感じない。撮影感度はISO25600だが、「EOS R6」よりもシャドーの階調が安定し、わずかだがノイズも少なめだ。

■テレ側換算240mmで使いでのある高倍率ズーム「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」

「RF-S18-45 IS STM レンズキット」キットレンズの「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」も、沈胴収納式で非常に軽量コンパクトながら周辺まで安定した描写性能なのが魅力。とはいえ、換算28.8-72mm相当なので、画角変化が少なく、より広い画角をカバーできる最近のスマホで十分。せっかくレンズ交換式カメラを持ち出すなら、「RF-S18-150 IS STM レンズキット」に設定されている「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」と組み合わせた方が、「EOS R10」のAF・連写性能を生かした撮影が楽しめる。

EOS R10 実写レビュー
キヤノン EOS R10 RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM シャッター優先オート F7.1 1/2000秒 ISO1600 WB : 晴天 150mm域 (240mm相当)

神戸どうぶつ王国にて。これも「EOS R10」のキットレンズ「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」で撮影。「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」の作例はないの!? と怒られそうだが、それは『CAPA』7月号で紹介する予定。高速連写を楽しむなら、やはり18-150mmズームの方が収納性はスポイルされるが、それでも十分小型軽量で、スマホでは高精細に撮れない望遠撮影も楽しめる。これはズームテレ端で換算240mm相当。ISO1600でもマガモの羽根の模様がクッキリと再現されていて、水面の光の反射を見ても色収差はほとんどなく、クリアな描写だ。

シャッター音も聞ける! 撮影現場から動画でレポート

ダテジュンの「EOS R7」「EOS R10」動画レポートはこちら!

※動画のコメントは最初の取材撮影後のインプレッションです。

 

2022年6月20日発売の『CAPA』7月号に詳細なレポートを掲載します。どうぞお楽しみに!

 

※鳥の作例写真の撮影地は「神戸どうぶつ王国」です。
※撮影にはベータ機 (試作機) を使用しています。