シグマ大口径Artシリーズの広角系単焦点レンズ2本が、ミラーレスカメラ専用設計にモデルチェンジ。定評のある画質性能に磨きを掛け、コンパクトに仕上がった「SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art」「SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art」の実力をチェックした。
- 小型軽量化と画質性能を両立したミラーレス専用の広角レンズ
- 「SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art」で実写
- 「SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art」で実写
小型軽量化と画質性能を両立したミラーレス専用の広角レンズ
シグマの大口径広角系レンズが、2本まとめてリニューアルされた。先代の「20mm F1.4 DG HSM | Art」「24mm F1.4 DG HSM | Art」のEマウント用は、いずれも2018年初夏のデビューだったので、約4年越しのモデルチェンジになる。
旧モデルになった先代レンズの生い立ちは、一眼レフ用レンズ。後にミラーレス用にソニーEとLマウントが追加された。実用上困ることは特になかったが、マウント側から眺めるとフランジバック部分の継ぎ足し感は否めず、ミラーレス専用レンズの登場が待たれていた。
この2本の登場で大口径F1.4のDG DN Artシリーズは、20mm / 24mm / 35mm / 85mmの4本に拡充。特に20mm F1.4はライバル不在、唯一無二の存在だ。
内容的には、ほぼすべて刷新されたわけだが、上の写真をご覧になればわかるように、両レンズとも一気に小型軽量化が進められた。そのキーポイントはいくつかあるが、主だったところでは、非球面レンズの加工技術の進化で、より高性能なレンズ製作が可能になったとのこと。また、ほかのミラーレス専用レンズ同様、超音波モーター (HSM) から、軽量なステッピングモーターへスイッチして、速度、精度などの向上も図られたという。
近年、人気の高い星景撮影ユーザーの要望に応えるため、大口径で広角という特に難しい条件にも関わらず、サジタルコマフレアなどを抑えているのもうれしい。もちろん星だけでなく、イルミネーションなどの夜景撮影にも有効な大口径単焦点レンズだ。
人気の大口径超広角レンズをミラーレスに最適化した「SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art」
マジックアワーの風景もクリアに描写
波の動きを見せたくて絞り込んで撮影。風景写真は画角調整の利くズームレンズに取って代わられた感が強いが、単焦点レンズでピタッとはまると気持ちがいい。シルエットの樹形もクリアで繊細な描写だ。
被写体にグッと近づき超広角でボケを生かす
最短撮影距離は23cm。ほぼ最短まで近づいて撮影した。絞りを少し絞り、花びらの形も見せた。描写は良好。なお電子先幕による高速シャッターでは、玉ボケが欠けることがあるので注意。
フロントとリアのフィルターワークが自由自在
マウント側にはシートフィルターを装着可能。シーンに応じて、前後にフィルターを装着できる。24ミリも同様の装備で、形状に合わせたカットプレートも同梱される。
着脱式フードを採用、フィルター装着にも対応した
固定式フードの先代 (右) に対して、新型は脱着式花形フードになり、サイズも大きい。レンズ前玉の出っ張りもなくなり、82mm径のフィルターが装着可能になった。
妥協のない光学性能をコンパクトサイズに凝縮した「SIGMA 24mm F1.4 DG DN | Art」
ワンランク上の画質で軽快にスナップ
普段使いに適したサイズで上質なスナップが楽しめる。先代の740gから510g (Eマウント) へと大幅に軽量化され、歩き回る撮影にもうれしい。ここでは少し絞り込んだこともあり、壁面の質感などは文句なしだ。
万全のゴースト対策で逆光をリアルに捉える
ゴースト対策は念入りにしているとうたわれているが、真夏の照り付ける日差しを画面に入れても破綻しないのには舌を巻く。太陽を画面に入れてこの結果なら、ドラマチックな逆光風景も安心して撮影できる。
ピント位置を固定できるMFLスイッチを装備
MFLスイッチによりマニュアルフォーカス時のピント位置を固定できる。ただし、固定時でもフォーカスリングは回転するため、ON/OFFの位置を覚えておく必要がある。
※本レポートは『CAPA』2022年9月号掲載の記事をWEB用に構成したものです。撮影にはベータ機を使用しています。