機材レポート

キヤノン「EOS R8」実写レビュー! 軽くて小さなフルサイズミラーレスで思いがけない瞬間を写した

4月14日に発売されたキヤノンのフルサイズミラーレスカメラ「EOS R8」。軽量かつ機能性の高い新型機は、街撮りにもぴったり。春の風が吹き始めた東京の街で繰り広げられる、思わずエッ! と二度見するような瞬間を、スナップの名手・オカダキサラさんが「EOS R8」で切り取った。

キヤノン EOS R8 実写レビュー

高感度ノイズの心配なく夜の手持ち撮影OK!

私は絞りとシャッタースピードはマニュアルで撮影するのだが、ISO感度はオートに設定していることがほとんどだ。夜間撮影も同様で、この写真も三脚を使用せず手持ちで撮影した。ISO5000でノイズがどれだけ発生するか心配だったが、レタッチで多少暗部を持ち上げても問題がないほどキレイで、曇天のグラデーションも残せた。

キヤノン EOS R8 実写レビュー
キヤノン EOS R8 RF50mm F1.8 STM 絞りF2.8 1/50秒 ISO5000 WB : オート

フルサイズならレタッチ仕上げも無理なく行なえる

満開の河津桜がキレイでカメラを構えていたら、思わぬところから足が現れた! 突然の出来事だったが、手に馴染むサイズの「EOS R8」だったので、重さなどの抵抗もなく方向を切り替えて撮影。構図を追い込む余裕がない一瞬の出来事も、フルサイズなのでレタッチでしっかり仕上げることができる。切り取った瞬間をより素敵に表現するためにも、画素に余裕のあるフルサイズはかなり有利だ。

キヤノン EOS R8 実写レビュー
キヤノン EOS R8 RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM 絞りF8 1/320秒 ISO320 WB : オート

しっかり食いつくトラッキングAF

EOS R8」はトラッキングAFの性能も非常に優れている。この写真では対象を「乗り物」に設定。対象を定めると、手前の人がどんなに動こうが、私の立ち位置がズレようが、ふらふらと揺れるボートをずっと追いかけ続けてくれる。また、街灯がほとんどない暗い場所で対象を「人物」に合わせた時も、動いている人に合わせてAFフレームが反応したことには驚いた。私が見えていなくても、「EOS R8」は対象をしっかり捉えていた。

キヤノン EOS R8 実写レビュー
キヤノン EOS R8 RF50mm F1.8 STM 絞りF8 1/320秒 ISO500 WB : オート
キヤノン EOS R8 実写レビュー
夜道でマラソンをする人にもしっかりトラッキングしてくれた。

トラッキングAF+連写で狙い通りに撮る

スーツ姿の男性が不思議な動きで往来を横切っていった。ジャンプする瞬間を狙って、高速シャッターで追いかける。被写体の激しい動きについていくのに、連写機能はかなり頼りになる。トラッキングAFと合わせれば、欲しい一瞬が切り取れる可能性はもっと高くなり、かけがえのない1枚を写真に収めることができる。

キヤノン EOS R8 実写レビュー
キヤノン EOS R8 RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM 絞りF8 1/250秒 ISO200 WB : オート
キヤノン EOS R8 実写レビュー
連写の1コマ。1秒間に最高40コマの撮影が可能。

軽くてコンパクトだから持ち歩きが苦にならない

いいシーンを写真に収めるには、どうしたらいいのだろうか? 私は、カメラを持ってたくさん出掛けるしかないと思っている。当たり前すぎる! と、思われるかもしれないけれど、着実で、誰にでもできる方法だ。

そうなると、重要になってくるのが持ち歩きしやすいカメラ選び。キヤノン「EOS R8」が入った箱を受け取った時、その軽さにびっくりした。ボディも私の手のひらに馴染むサイズ感。カメラを首から下げたまま朝から晩まで歩いたが、首や腰への負担はかなり少なかった。グリップを握り、ファインダーを目元まで持ち上げるスピードも速くなる。

ついシャッターを切りたくなる軽量感

EOS R8」は驚くほど軽く、同時期に発売されるレンズ「RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM」を装着しても670gほどしかない。600mLのペットボトル麦茶と同じくらいの重さだ。カメラを持ち続けていてもあまり負担にならず、「あ!」と、思った時にファインダーをすぐに覗ける。その軽量さからか、気負わず素直な目線でシャッターを切れた。

キヤノン EOS R8 実写レビュー
キヤノン EOS R8 RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM 絞りF8 1/320秒 ISO250 WB : オート

フルサイズならではの高い描写力

重量ももちろんなのだが、私がカメラに一番求めているものは、フルサイズであること。写真に収めた瞬間を、レタッチでより素敵に仕上げられるからで、多少ボディが重くなってもこれだけは譲れない。とっさの出来事にカメラの設定が間に合わず、シャッターを切るのが精一杯ということは多々ある。そんな「惜しい写真」たちを、作品にまで仕上げるには、元データのクオリティーが高くなくてはならない。

夜景のトリミングにも耐える高画質

先にも書いたように、「EOS R8」は暗部の画像処理能力も高い。動く観覧車と仕事をするスタッフさんの動きを両方捉えようとすると、シャッタースピードと絞りを優先させざるを得なくなる。ISO感度を思い切って上げて撮影したが、ノイズの発生はかなり抑えられていた。レタッチで少しの処理を加えれば、画像を大きくトリミングしてもキレイに仕上げられる。夜の撮影がもっと自由になる予感!

キヤノン EOS R8 実写レビュー
トリミング前の画像。観覧車に乗る2人の表情が見えづらかった。

矢印

キヤノン EOS R8 実写レビュー
キヤノン EOS R8 RF50mm F1.8 STM 絞りF2 1/200秒 ISO3200 WB : オート

スナップ撮影の悩みを解決する理想の一台

今回掲載した作例も、実は「EOS R8」の高画質にかなり助けられている。特に暗い場所では、ISO感度を高くしても画像がノイズでつぶれず、三脚を使わなくても済むので、夜の撮影の自由度がかなり上がった。「EOS R8」は、「高画質・高性能」か「重さ」か、どちらか選ばなくてはいけなかった私の悩みを、1台で解決してくれた、お出掛けがより楽しくなるカメラだ。

キヤノン EOS R8

キヤノン EOS R8 実写レビュー

発売日 2023年4月14日
参考価格 ボディ 264,000円、RF24-50 IS STM レンズキット が293,700円 (ともに税込)

有効画素数 約2420万画素
撮像素子 フルサイズCMOS センサー
マウント キヤノンRFマウント
ISO感度 (静止画撮影時) 常用 ISO 100~102400 (拡張 ISO 50相当、ISO 204800相当)
シャッター速度 (静止画撮影時) 電子先幕時 1/4000~30秒、電子シャッター時 1/16000秒、1/8000秒~30秒、バルブ
ファインダー 0.39型 約236万ドット OLEDカラー電子ビューファインダー
画像モニター 3.0型 約162万ドット バリアングル液晶モニター (静電容量方式タッチパネル)
記録媒体 SD/SDHC/SDXC メモリーカード (UHS-II・UHS-I・UHSスピードクラス・SDスピードクラス対応)
幅×高さ×奥行き 約132.5×86.1×70.0mm
質量 約414g (本体のみ)
付属品 バッテリーチャージャー LC-E17、バッテリーパック LP-E17、ストラップ ER-EOSR8、アクセサリーシューカバー ER-SC2

※参考価格は記事公開時点の量販店価格です。

 

オカダキサラ

オカダキサラ

1988年、東京生まれ。2010年に武蔵野美術大学映像学部を卒業。2012年に東京綜合写真専門学校の研究科を卒業。「街が見逃した、奇跡の現場」をテーマにスナップ写真を発表している。
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〈協力〉キヤノンマーケティングジャパン株式会社