CP+2023で参考出品された「フォクトレンダー ULTRON 27mm F2」がついに登場。富士フイルムXマウント専用の大口径MF標準レンズだ。その実力を紹介しよう。
所有欲と撮影欲を満たす総金属製の高品位レンズ
このレンズと否が応でも比べたくなるのが、富士フイルム純正の「XF27mmF2.8 R WR」だろう。ともに同じ焦点距離を持ち、パンケーキスタイルを採用しているからだ。
ただし、両者のコンセプトは明確に違い、「ULTRON 27mm F2」は1段分明るく、滑らかなMF操作と極めて質感の高い総金属製の鏡筒が特徴だ。モノとしての所有感や操作する喜びは、本レンズの得意とするところである。
距離指標が目測スナップをアシスト
鏡筒には被写界深度目盛り、フォーカスリングにはしっかりと距離指標が記され、MFレンズらしいデザインだ。レンズの薄さを損なわないドーム型の金属製ねじ込みフードが付属する。
充実したカメラ機能がそのまま使える
カメラとレンズの間で電気通信を行なう電子接点を備えている。純正レンズと同様に、Exif情報をはじめフォーカスチェック、ボディ内手ブレ補正、パララックス補正などに対応する。
メカニカルなマニュアル操作が楽しい
実際に撮影してみると、どこまでも滑らかに回転するフォーカスリングは、MF撮影の楽しさを改めて教えてくれる。また、絞りリングのクリック感は金属製らしい品位があり、レンズの作りの良さを強く感じさせる。
描写性能も高く、このレンズであれば、Xシリーズのきらびやかな絵づくりが、より深く味わえるはずだ。
F8まで絞り込み、画面周辺まで緻密に描写
ピントは画面中央の船に合わせている。絞りはF8。撮影距離を考慮するとパンフォーカスと言ってよいだろう。画面の四隅までしっかり解像しており、色のにじみなども見受けられない。薄型のレンズとは思えない写りである。
ピント位置のキレと滑らかなボケが好印象
珍しいバイクが止まっていたので、カメラを向けてみた。ピント位置はメーカーロゴの部分で、ほぼ最短撮影距離。絞りは開放F2。合焦したところから自然かつ滑らかにぼけていく。開放絞りによる解像感の低下も感じられない。
ミラーレス専用設計のコンパクトモデル
前玉よりも後玉のほうが大きく、ショートバックフォーカス用に設計されたレンズであることがわかる。レンズ構成は4群6枚。そのうちの1枚は、異常部分分散ガラスを使用している。
フォクトレンダー ULTRON 27mm F2 富士フイルムXマウント
発売日 2023年6月14日
希望小売価格 80,300円 (税込)
カラー シルバー、ブラック
焦点距離 27mm (35mm判換算 約40mm相当)
レンズ構成 4群6枚
絞り羽根枚数 10枚
最短撮影距離 0.25m
最大撮影倍率 1:6.7
フィルター径 φ43mm
最大径×長さ φ59.3×23.5mm
質量 120g