航空機や野鳥撮影に適した焦点域と機動性を両立するニコンの超望遠ズームレンズ「NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR」が発売された。5.5段の手ブレ補正機能により手持ちで撮影できる。この新ズームに「Z 8」を組み合わせ、実力を検証した。
高速AF+手ブレ補正で超望遠域が手持ちで狙える
多くのZユーザーが待ち望んでいた超望遠ズームが登場した。望遠から超望遠まで自在に焦点距離を変えられ、ステッピングモーターによる高速AFが特徴。さらに補正効果5.5段の手ブレ補正機能も搭載しているので、超望遠域の手持ち撮影も心強い。
肝心の描写性能は高い解像性能を持っており、画面の隅々まで高精細。強い光源がある場合も、フレアやゴーストの発生は気にならず、夕刻や夜間の航空機撮影にも威力を発揮しそうだ。
狙いどおりの構図で細部まで鮮明に描写
千歳基地から離陸するC-130H輸送機を撮影。湿度が高い日で、プロペラの後方に円を描くヴェイパーが動感を強調してくれた。超望遠域の焦点距離を自在に変えながら撮影できるのが、このレンズの大きな利点といえる。
構えやすく、ズーム操作もスピーディー
全長は315.5mmとやや長めなものの、重心位置が手前気味で構えやすい。ズーミングによる全長変化のないインターナルズーム機構を採用し、ズームリングの操作角が70°に抑えられているのもいい。
テレコン装着で1200mmまでカバー
テレコンによる撮影も行なってみた。2倍テレコンでは1200mm相当時にF13となり撮影環境を選ぶのは否めないが、360〜1200mm相当の超望遠ズームと考えると、焦点距離の自由度は特筆ものだ。航空祭の機動飛行や野鳥撮影など、600mmでは物足りないユーザーにもおすすめしたい。
ルピナスから飛び立つホオジロをキャッチ
2倍テレコンを装着し、ルピナスの花から飛び立つホオジロの飛翔シーンを撮影。以前は、ズームレンズに2倍テレコンは無理があると考えていたが、ニッコールZになりテレコン使用時の性能が大幅にアップしているのを実感した。
テレコン使用時の保持バランスは良好
Zマウント用のテレコンはFマウント用に比べ、厚みがだいぶ薄くなり、全長の変化による保持バランスへの影響が少ない。防塵・防滴に配慮した設計で、フィールド撮影も安心だ。
6枚のEDレンズで超望遠の画質を追求
EDレンズ6枚を使用し、色収差を良好に補正。最短撮影距離が短く、近くの被写体も撮影可能。レンズ最前面には汚れが付きにくく、汚れても簡単に拭き取れるフッ素コートを施している。
ニコン NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR
発売日 2023年8月31日
参考価格 249,700円 (税込)
レンズ構成 17群25枚
絞り羽根枚数 9枚 (円形絞り)
最短撮影距離 1.3m (180mm時) 〜2.4m (600mm時)
最大撮影倍率 0.25倍
フィルター径 95mm
最大径×長さ 約φ110×315.5mm
質量 約2140g (三脚座リングを含む)
※参考価格は記事公開時点の量販店価格です。