伊達淳一のレンズパラダイス『CAPA』2024年4月号 アザーショット【前編】
広角から標準域をカバーする開放F4通しの「タムロン 17-50mm F/4 Di III VXD」と、フルサイズミラーレス用の大口径F2.8望遠ズームとしては世界最小・最軽量の「タムロン 70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」。どちらも最短撮影距離が短く、開放F値も明るいので、ダブルズームとして組めば超望遠を必要とするシーン以外を幅広くカバーできる。今回はこの2本のズームレンズをチェックしてみた。
前編では「17-50mm F/4 Di III VXD」の描写性能を実写作例で検証する。
伊達淳一カメラマンがさまざまなレンズを使い倒しレビューする『CAPA』の人気連載「レンズパラダイス」。本記事では2024年4月号の「レンズパラダイス」に掲載しきれなかったアザーショットとインプレッションを紹介します。
- タムロン 17-50mm F/4 Di III VXD 実写チェック
- タムロン 70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 実写チェック
タムロン 17-50mm F/4 Di III VXD
[マウント] ソニーEマウント [最大径×長さ] φ74.8×114.4mm [重さ] 460g [レンズ構成] 13群15枚 [最短撮影距離] ワイド端 0.19m、テレ端 0.3m [最大撮影倍率] ワイド端 約0.22倍、テレ端 約0.26倍 [絞り羽根枚数] 9枚 [フィルター径] φ67mm
参考価格 99,000円 (税込)
周辺部を除けば絞り開放から安定した解像が得られる
広角域から標準域までカバーする新世代のズームで、このカットはワイド端絞り開放で撮影したもの。縦位置で撮影すれば、日本丸と横浜ランドマークタワーの両方を画面に収められる。画面下1/3の領域は被写界深度から微妙に外れているので解像が緩くなっているが、それ以外の遠景は、6100万画素の「α7R V」でも絞り開放から安定した解像が得られている。
F11まで絞ると細部まできっちり再現
テレ端の50mmで、満開の寒桜に代々木のドコモタワーを絡めて新宿らしさを演出。寒桜のやや奥にピントを合わせ、F11までしっかり絞ることでドコモタワーまで被写界深度内に収めることができた。寒桜の花やビルの壁面の細かな模様まできっちり再現できている。
階調再現はなめらかで背後のボケ味も自然
手前の寒桜をズーム中域でクローズアップ撮影しつつ、奥の寒桜をフワッとぼかしてみた。直射日光で照らされているが、レンズのコントラストが必要以上に高くはないので、カリカリになりすぎず、ハイライトのトーンもなめらかに再現されている。ボケ味も自然だ。
微ボケにおいても不自然な色付きやにじみは感じられない
昼食で食べたグルメバーガー。バンズやパティに反射した光のボケを見ても、輪線が目立ったり、不自然な色付きは少なく、非球面を使ったズームのボケとしては素直な部類。テレ端開放の近接撮影でもピント面の解像はしっかりしており、それでいて後ボケはにじむように柔らかいのが魅力だ。
厳しい条件でなければゴースト・フレアは発生しにくい
タムロンの広角ズームとしては逆光耐性は優秀な部類。極めて厳しい条件では淡いゴーストと周辺に虹色アークのフレアが出ることもあるが、通常の逆光シーンであればゴーストはほぼ気にならないレベルで、フレアでシャドーが黒浮きすることもない。光条もF11前後まで絞れば、それなりに伸びる。
後編では「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」の描写力をチェックします。
本記事で紹介した以外の実写作例と詳しい解説は『CAPA』2024年4月号でご覧ください。
※参考価格は記事公開時点の量販店価格です。