伊達淳一のレンズパラダイス『CAPA』2024年4月号 アザーショット【後編】
広角から標準域をカバーする開放F4通しの「タムロン 17-50mm F/4 Di III VXD」と、フルサイズミラーレス用の大口径F2.8望遠ズームとしては世界最小・最軽量の「タムロン 70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」。どちらも最短撮影距離が短く、開放F値も明るいので、ダブルズームとして組めば超望遠を必要とするシーン以外を幅広くカバーできる。今回はこの2本のズームレンズをチェックしてみた。
後編では「70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2」の描写性能を実写作例で検証する。
伊達淳一カメラマンがさまざまなレンズを使い倒しレビューする『CAPA』の人気連載「レンズパラダイス」。本記事では2024年4月号の「レンズパラダイス」に掲載しきれなかったアザーショットとインプレッションを紹介します。
- タムロン 17-50mm F/4 Di III VXD 実写チェック
- タムロン 70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2 実写チェック
タムロン 70-180mm F/2.8 Di III VC VXD G2
[マウント] ソニーEマウント [最大径×長さ] φ83×156.5mm [重さ] 855g [レンズ構成] 15群20枚 [最短撮影距離] ワイド端 0.3m、テレ端 0.85m [最大撮影倍率] ワイド端 約0.38倍、テレ端 約0.21倍 [絞り羽根枚数] 9枚 [フィルター径] φ67mm
参考価格 165,000円 (税込)
撮影距離が近ければ解像は高くにじみも少ない
テレコンは装着できないので野鳥撮影には非力だが、梅や桜の季節ならメジロくらいはかろうじて撮影できる。撮影距離が短いこともあるが、メジロの目の周りの羽もクッキリ解像していて、ハイライトのにじみや色浮きもなし。AF-Cならフォーカス駆動も高速だ。
前モデルよりも寄れて、にじみや乱れは感じない
初代70-180mm F2.8に比べ、AF撮影時の最短撮影距離がワイド端で85cmから30cmと大幅に短縮し、近接撮影時の周辺画質も向上。このカットはワイド端の最短撮影距離付近で撮影しているが、白い花びらのにじみは少なく、黄色のシベも解像の乱れは少なめだ。
絞り開放でも周辺解像は高い
CP+2024の3日目に向かう途中、日本丸で帆のメンテナンスをしているのに気づき、テレ端開放でマストとそこで作業している人たちを切り取ってみた。初代よりも像の平面性や周辺解像が向上していて、絞り開放でも帆の細かな布目やシワまでしっかり解像できている。
フィルター径67mmのレンズにしては口径食は少なめ
テレ端で河津桜を切り取り、後方の樹の葉っぱに反射している光を絞り開放で玉ボケにしてみた。小型軽量を重視したレンズで、フィルター径は67mmとF2.8の望遠ズームとしては小径ではあるが、ぐるぐるボケになるほど口径食は大きくはない。
微ボケはうるさくならず色付きも見られない
開放F2.8と明るいので、特にテレ端で撮影距離が短い場合は被写界深度が非常に浅くなり、ピントを合わせた前後をフワッと大きくぼかせるのが魅力。前後の微ボケもそれほどうるさくなく、軸上色収差も少ないので色付きがなくスッキリぼけている。
本記事で紹介した以外の実写作例と詳しい解説は『CAPA』2024年4月号でご覧ください。
※参考価格は記事公開時点の量販店価格です。