伊達淳一のレンズパラダイス『CAPA』2024年7月号 アザーショット【前編】
色収差が極めて少ない、浅い被写界深度のマクロ写真が楽しめるニコンの中望遠マクロレンズ「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」と、最近のハイエンドスマートフォンに引けを取らない広角から超望遠400mmまでを1本でカバーする高倍率ズームレンズ「NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR」。今回は、この個性的な描写が楽しめるフルサイズZマウントレンズ2本をチェックする。
前編では「NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S」の描写力を実写作例で検証する。
伊達淳一カメラマンがさまざまなレンズを使い倒しレビューする『CAPA』の人気連載「レンズパラダイス」。本記事では2024年7月号の「レンズパラダイス」に掲載しきれなかったアザーショットとインプレッションを紹介します。
- NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S 実写チェック
- NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR 実写チェック
NIKKOR Z MC 105mm f/2.8 VR S
[マウント] ニコンZマウント [最大径×長さ] 約φ85×140mm [重さ] 約630g [レンズ構成] 11群16枚 [最短撮影距離] 0.29m [最大撮影倍率] 1倍 [絞り羽根枚数] 9枚 [フィルター径] φ62mm
参考価格 143,000円 (税込)
8つあるクモの目が確認できる
オルレアの花びらにいた小さなクモをクローズアップ。撮影倍率が1/2倍を超える絞り開放撮影で被写界深度は極めて浅いが、クモの目が8つある (左上の目は少し隠れ気味だが…) ことが確認できる。白い花びらの前後のボケも色付きがなく、雑味のないクリアなボケだ。
シベの先にピントを合わせ花の一部をクローズアップ
ハイビスカスのように、しべが長く突き出している花はどこにピントを合わせるべきか悩んでしまうが、この写真は先端の雌しべにピントを合わせ、花の一部分だけをクローズアップしてみた。赤いハイビスカスの花びらと中心の緑が大きくぼけて非常に美しいグラデーションに。
両性花の花粉の粒までしっかり解像
葉っぱを大きくぼかした緑の背景に、緑の補色にあたる赤紫色のガクアジサイの花を俯瞰気味で撮影。絞り開放から解像とコントラストが高く、フラットな光線状況にもかかわらず、メリハリの効いた仕上がりだ。中央の両性花の花粉までしっかりと解像できている。
毛の1本1本までシャープに再現
花の蜜を求めて飛び回るミツバチをシングルポイントAF、AF-Cで連写。もう少しアップで写したかったが、この撮影距離でもハチの目の周りの細かな毛の1本1本まで解像している。前後の草のボケも、コントラストが高い割に必要以上に騒がしくならず、自然なボケ味だ。
口径食は平均的でボケの色付きも見られない
Zレンズに対する期待値が高すぎることもあって、ポートレート撮影距離の玉ボケがややグルグルぼけになりやすいという口コミも散見されるが、絞り開放時の口径食はこの程度で、中望遠マクロとしては平均的なレベル。ボケの輪郭に目立った縁取りや色付きもない。
後編では「NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR」の描写力をチェックします。
本記事で紹介した以外の実写作例と詳しい解説は『CAPA』2024年7月号でご覧ください。
※参考価格は記事公開時点の量販店価格です。