DJI の進撃が止まらない。コンパクトな「DJI Neo」に続いて、より撮影用に的を絞った新コンセプトのエントリードローン「DJI FLIP」が誕生した。
- DJI FLIP
- 離陸重量 約249g
- 大きさ [折りたたんだ状態] 長さ136×幅62×高さ165mm [展開時] 長さ233×幅280×高さ79mm
Miniより扱いやすくNeoよりカメラが高性能
「DJI Neo」に続いて、さらに撮影用をうたったドローン「DJI FLIP」が発売された。「NeoのシンプルさとMiniシリーズの優れた撮影機能を組み合わせた機体」というメーカーの説明は言い得て妙。実際に撮影してみて、「DJI Mini 4 Pro」のカメラ性能と同等、またはそれ以上に優れている、と感じることができた。

安全性の高い全周保護プロペラガードを装備
「Neo」や「Avata 2」に続き、機体は全周保護プロペラガード装備となった。エントリー機がこのような安全仕様になったのは非常に好ましい。なお、手のひら離陸・着陸が可能だが、テストしたところガードの厚みが薄いので、中に指が入らぬよう注意したい。

新しい折りたたみ方式で、飛行前の準備がスピーディーに
「Mini 4 Pro」などプロペラガードのない機体のほうが小さく折りたためるが、展開しプロペラガードをいちいち付けるのは地味に面倒な作業。ガード付きで、展開して直ぐに飛ばせる、たためるのは大きなメリットだ。
「Neo」より大型化した機体は、屋外で風などを受けてもNeoとは比較にならない安定感があり、それでいてコンパクトなサイズを新しいデザインの中で実現している。過信は禁物だが、下方にビジョンセンサーと赤外線センサー、前方には3D TOFセンサーを備えているので、ある程度の障害物検知 (ストップのみで回避機能はない) は備えている。テストしたところ、障害物まで前方1m程度でしっかり停止してくれた。

Neoよりも本格的なサイズ
「Neo」(左) と比べると大型化しているが、「Neo」が小さすぎるだけでFLIPも十分に小型だ。この大きさにより、余裕のある飛行安定性を手に入れ、最大飛行時間も31分と実用的となった。離陸重量は「Neo」の約135gに対して249gだ。

1/1.3型CMOSセンサーを3軸ジンバルに搭載
レンズの焦点距離は24mm相当で絞りF1.7。デュアルネイティブISOに対応した低ノイズのセンサーを搭載。「Neo」や「Avata 2」が2軸なのに対して、このサイズの機体で3軸ジンバルを採用したことで安定した高品質な撮影ができる。
全周プロペラガードの影響なのか、さすがにMini系の機体よりは風に弱い印象だ。風に流されたり、強めの向かい風では思うように進まなかったりする場合がある。ただし、航空局標準マニュアルでは風速5m/s以上の状態では飛行させない、となっているのでこの範囲内では十分な性能がある。
今回はレビューのために、複雑な地層が積み重なり撮影が比較的難しそうな場所を選んだが、地形のディテールはしっかり再現され、輝度差の多いハイコントラストな撮影も的確にこなしてくれた。空撮を始めるのに最適なドローンとしてオススメしたい。
4800万画素の静止画撮影が可能
静止画撮影はクアッドベイヤーセンサーで1200万と4800万画素撮影を切り替えできる。このセンサーを生かし、デジタルズームでも解像度を落とさず1200万画素で撮影が可能。作例は1200万画素、JPEGで撮影した。RAW (DNG)に対応し、「Adobe Lightroom」などで現像可能。
「Mini 4 Pro」に匹敵する4K60p、HDR動画
Vlogドローンと名打ってるだけあり画質は特筆もの。また、10-bit D-Log Mにも対応し、カラーグレーディングを含めた本格的な撮影・編集にも対応可能だ。

女性でも簡単に操作できる
コントローラーからの操縦に加え、スマート撮影モードで「ドローニー」や「サークル」など、本来なら高い操縦スキルの必要な計6つの撮影を、ボタンひとつで行なうことができる。ただし、特定飛行※の場合は、常にスマートフォンなどを接続し操作介入ができる形態とする必要がある。
※特定飛行=目視外飛行 (機体を目視しない飛行)、人・物件から30m未満の飛行などを指す。
製品ラインアップは3つ
自分のレベルに合わせた3種類のラインアップから選ぶことができる。「RC-N3 付属」と「RC 2 付属」の違いはコントローラーの種類。一番安い「RC-N3 付属」はコントローラーにスマートフォンを接続するタイプ。対して「RC 2 付属」はモニター付きのコントローラーとなる。モニターは700ニトの明るさを維持でき、太陽の下でも安定して映像を表示する。
DJI FLIP [DJI RC-N3 付属] [DJI RC 2 付属]
最小限のセットは、コントローラーの種類で選択できる。バッテリーが1個付属する。


DJI FLIP Fly More コンボ
オススメは必要なものがセットされた「Fly More コンボ」。「DJI RC 2」コントローラーにバッテリーが3個、バッテリー充電ハブ、専用バッグなどが揃っている。


便利なパラレル充電ハブ
70分で2つのバッテリーを充電可能。予備バッテリーが2本以上あれば「DJI 65W ポータブル充電器」などと併用し、バッテリーを充電・交換しながら、ほぼ飛ばしっぱなしにできる。
注意
本機は100g以上の機体であるため、飛行には機体登録および登録番号の貼付が必須となる。また、特定飛行を行なう場合は国土交通省の承認が必要。特定飛行時は常に緊急停止できるようスマートフォンまたは送信機を接続し、自動飛行中の操作介入ができる形態とする必要がある。