機材レポート

富士フイルム X-E5 実写レビュー! フィルムカメラの使い心地と最新機能を融合した“スナップカメラ”

第5世代の裏面照射型約4020万画素X-Trans CMOS 5 HRセンサーと、画像処理エンジンX-Processor 5をコンパクトボディに詰め込んだ「X-E5」が富士フイルムから発表された。

富士フイルム X-E5 実写レビュー

 

前モデルの「X-E4」は2021年2月に発売され、当時の半導体不足の影響もあってか、発売当初から品薄状態が続き、翌年9月ごろに生産終了。その後も人気は衰えず、中古市場では高値で取り引きされていた。

「X-E5」は新たにカメラ内手ブレ補正機能を搭載しながら、サイズはX-E4とほぼ同等。Xシリーズとして初めて、アルミ切削加工のトッププレートを採用し、高品位かつダイヤル類の操作性も向上している。

富士フイルム X-E5 実写レビュー
フィルム時代のカメラのような新ビューモード「クラシック」を新搭載。画面下に撮影情報、画面右に指針式の露出計が表示され、ファインダーをのぞいたまま撮影に集中できる。

手ブレ補正効果は中央7段、周辺6段。強力なボディ内手ブレ補正機能により、夜景も手持ちで狙える。ファインダー像が安定するので、撮影していて気持ちがいい。

富士フイルム X-E5 実写レビュー
富士フイルム X-E5 XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR 絞り優先オート F5 1/4秒 ISO1600 WB : オート フィルムシミュレーション : Velvia/ビビッド 26mm

 

ボディ単体と新開発の「XF23mmF2.8 R WR」をセットにしたレンズキットが用意され、2025年8月に発売される。「XF23mmF2.8 R WR」は全長わずか23mm、質量約90gのパンケーキスタイルで、「X-E5」に似合う常用レンズ。11枚羽根の円形絞りを採用し、ボケ味にもこだわっている。

XF23mmF2.8 R WR

絞り開放でアガパンサスの花に迫る。新レンズは軽量コンパクトでありながら、「X-E5」の解像性能を引き出し、ボケもキレイ。防塵・防滴・−10℃の耐低温構造を採用している。

富士フイルム X-E5 実写レビュー
富士フイルムX-E5 XF23mmF2.8 R WR 絞り優先オート F2.8 1/640秒 +0.3補正 ISO125 WB : オート フィルムシミュレーション : Velvia/ビビッド

 

実際に撮影してみると、独自のカラーフィルターを採用したX-Trans CMOS 5 HRセンサーによる解像性能が優秀で、富士フイルムらしい色再現も好印象。強力なボディ内手ブレ補正機能を搭載し、室内や夜景も手持ちで撮影できる。

「X-T5」などと同じ4020万画素の高画素センサーを搭載し、解像性能が高い。拡大して見ると建物の手すりや窓枠がシャープに再現され、行き交う人の姿も確認できる。

富士フイルム X-E5 実写レビュー
富士フイルム X-E5 XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR 絞り優先オート F5.6 1/450秒 ISO125 WB : オート フィルムシミュレーション : Velvia/ビビッド 42mm

ライトアップされた客船をISO6400で撮影。APS-Cサイズの高画素モデルのため、高感度画質が気になるが、スナップなら十分使える画質だ。

富士フイルム X-E5 実写レビュー
富士フイルム X-E5 XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR 絞り優先オート F7.1 1/25秒 -1補正 ISO6400 WB : オート フィルムシミュレーション : Velvia/ビビッド 43mm

 

人気のフィルムシミュレーションは最新の「REALA ACE」を含む全20種類。カメラ左上部にフィルムシミュレーションダイヤルを装備し、操作性もいい。

富士フイルム X-E5 実写レビュー
窓付きのフィルムシミュレーションダイヤルを装備。FS1-FS3のポジションには好みのフィルムシミュレーションと画質設定をFSレシピとして保存でき、直感的に切り替えられる。

フィルムシミュレーションを最新の「REALA ACE」に設定。ハイライトが明るく、シャドー部がソフトになり、落ち着いた雰囲気の写真に仕上がった。

富士フイルム X-E5 実写レビュー
富士フイルム X-E5 XF23mmF2.8 R WR 絞り優先オート F3.6 1/75秒 ISO125 WB : オート フィルムシミュレーション : REALA ACE

 

AFは最新の予測アルゴリズムを採用し、動体への追従性能が向上。コントラストが低い環境下にも強く、夜の撮影でもAFが迷うことはほとんどなかった。また、AI技術を用いた被写体検出AFを搭載し、人物の顔や瞳に加え、動物・鳥・車・バイク・自転車・飛行機・電車を設定可能。昆虫やドローンも検出できる。

フィルム時代のシンプルなファインダー表示モード「クラシック」や、アスペクト比に応じて撮影範囲外を半透明やラインで表示する「サラウンドビュー」機能が搭載され、往年のフィルムカメラの使い心地と最新のデジタル機能を融合している。常に持ち歩きたいスナップカメラだ。

FUJIFILM X-E5

発売日 2025年8月
価格 オープン価格
※市場想定価格 : ボディ 246,400円前後、XF23mmレンズキット 281,600円前後 (いずれも税込)

主な仕様

カラー シルバー、ブラック
有効画素数 約4020万画素
撮像素子 23.5×15.7mm (APS-Cサイズ) X-Trans CMOS 5 HRセンサー (裏面照射型)
マウント 富士フイルムXマウント
ISO感度 ISO 125~12800 (拡張 ISO 64 / 80 / 100 / 25600 / 51200)
ファインダー 0.39型 約236万ドット 有機ELファインダー (倍率 0.62倍 / アイセンサー付き)
画像モニター 3.0型 約104万ドット チルト式タッチパネル付きTFTカラー液晶モニター
記録媒体 SD/SDHC/SDXCメモリーカード (UHS-I/II、ビデオスピードクラスV90対応)
幅×高さ×奥行き 124.9×72.9×39.1mm (最薄部奥行き 33mm)
質量 約396g (本体のみ) / 約445g (バッテリー、メモリーカードを含む)
付属品 充電式バッテリー NP-W126S (リチウムイオンタイプ)、ヘッドホン用アダプター、ショルダーストラップ、ストラップリング取り付け補助具、ボディキャップ

フジノンレンズ XF23mmF2.8 R WR

発売日 2025年12月
価格 オープン価格

主な仕様

マウント 富士フイルムXマウント
焦点距離 23mm (35mm判換算35mm相当)
開放絞り F2.8
最小絞り F16
画角 (対角) 63.4°
レンズ構成 6群8枚 (非球面レンズ2枚)
絞り羽根枚数 11枚 (円形絞り)
最短撮影距離 0.2m
最大撮影倍率 0.15倍
フィルター径 φ39mm
最大径×長さ φ61.8×23mm
質量 約90g
付属品 レンズフロントキャップ FLCP-39 II、レンズリアキャップ RLCP-001、レンズフード LH-XF27、レンズフードキャップ LHCP-27、ラッピングクロス

 

〈文〉北井保孝