CP+2025で、シグマの山木和人社長から開発中というアナウンスがあった35mmF1.2のII型「Sigma 35mm F1.2 DG II | Art」。いつ出るのかと期待していた人も多いと思うが、およそ半年経って2025年9月25日に発売された。
2019年発売の初代は僕も愛用しているが、素晴らしい写りと引き換えにフィルター径は82mmと巨大。Lマウントで1090gという重さもあり、持ち出すには気合いや覚悟が必要だった。それがII型ではフィルター径72mm、755gと3割ほどダイエットに成功。すでに発売されている「50mm F1.2 DG DN | Art」と最大径は81mmで同じ。長さが2.6mm長いだけで、見た目はほとんど同じだ。決して小型軽量とはいえないが、持ち出すのに躊躇するレベルではないと思う。

描写に関しては初代も非常に高いレベルにあるが、II型はさらに向上させているという。絞り開放からピントの合った部分はシャープに解像。そこからのボケ足がすばらしく、大口径ならではの立体感が得られる。光を包み込むような繊細さもあり、ポートレートはもちろん、小型軽量化によってスナップや風景でも撮影が楽しくなりそうだ。ちなみに最短撮影距離も初代の30cmから、28cmに短縮されている。たかが2cmだが、作画に与える影響は大きいはずだ。

また、大きく変わったのがAF。初代はHSM (超音波) モーターで駆動していたが、II型はリニアモーターHLAをデュアルで搭載。2つのフォーカス群をすばやく動かしている。初代はフォーカス群を “よっこらしょ” と動かしているのがレンズ越しに伝わってきたが、II型はとてもスムーズだ。初代の大きさや重さに購入をためらっていた人は、検討に値するレンズだろう。

実写作例
絞り開放からシャープな描写
ドアのロゴにピントを合わせたが、絞り開放とは思えないほどシャープ。車体の質感もしっかりと再現している。

追従性に優れたAFとボケ味で奥行き感のあるスナップに
AFがとても高速で、コンティニュアスでは動く被写体もしっかりと追従。大口径ならではボケ味や、それが生み出す奥行き感をスナップで生かしたくなる。

絞り込んだときの解像感はすさまじい
絞ったときの解像感はすさまじく、ワンサイズ上のフォーマットで撮影したような印象すらある。

逆光でも高い光学性能
フードでかろうじて太陽を遮った場面。試しにフードを外すとわずかにフレアが生じたが、シグマ製品だけあって耐逆光性は高い。

光量が少ないシーンで本領発揮
アクリル越しに撮影したが、大口径だと汚れや傷も目立たなくなる。ブレーキハンドルの根本にピントに合わせたが、光が十分にある場面よりも、こうした柔らかい間接光のほうがこのレンズの凄みが感じられる。
