機材レポート

まさかのレース中止…超望遠ズームレンズ「LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.」波乱のサーキット実写レポート

2025年11月20日にパナソニックより発売されるLマウントの超望遠ズームレンズ「LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.」。“超望遠好き”&“連写機好き” の筆者としては、ぜひその写りをサーキットで試すべく、2025年10月12日に富士スピードウェイで行われた「2025年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第10戦」に持ち込んで実写しました。

LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. サーキット実写レポート

 

ボディは「LUMIX S1II」を使用しています。「LUMIX S1II」のAF追従および連写性能はこちらの記事でレポートしていますので、今回は新レンズ「LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.」についてレポートします。

また、スーパーフォーミュラにはCAPA「流し撮りGP」の応援ドライバー、佐藤蓮選手 (PONOS NAKAJIMA RACING)、三宅淳詞選手 (ThreeBond Racing) も参戦していますので、彼らの活躍も追いたいと思います。レース以外のピットウォークなどのイベントも、本レンズが写っている写真以外はすべて「LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.」で撮影しています。

予選アタックでさっそく実写

LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. サーキット実写レポート

今シーズンのスーパーフォーミュラは週末2レース制となっていて、土曜日も日曜日も決勝レースが行われます。そのため、午前に予選があり、午後には決勝レースが行われるというスケジュール。予選は、サーキットでマシン撮りを楽しもうと思った場合、本レンズでどのくらいの距離感で撮影できるのかが伝わるよう、一般観戦エリアからマシンを撮影してみることに。たくさんのカメラマンがカメラを構えるコカ・コーラコーナーから狙ってみることにしました。

LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. サーキット実写レポート
ポジション的にはこんな感じで、引きで撮るとコカ・コーラの赤い看板とマシンを一緒に撮影することができます。
LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. サーキット実写レポート
500mm側までズームするとこのような感じになります。

実写作例

100mmで撮影するとコカ・コーラ看板も全体が入って、その下をマシンが疾走していく絵になります。マシンはやや小さく、手前の金網も入っています。これが500mmまで寄れるとマシンを画角いっぱいに捉えることができて迫力が出ます。その分、マシンを画角におさめるのは難しくなりますが、流し撮りがしっかり決まれば、優れた描写性能でヘルメットからマシンのすみずみまで鮮明に捉えることができます。

ちなみに、ボディで認識する被写体は「車」を選択。被写体の部位は横流しだったので、「全体 (車全体認識)」を選択しています。O.I.S.モードは、MODE1が通常撮影時のモード、MODE2は流し撮りに適した手ブレ補正モードで、自動で流し撮りの方向を検出して補正してくれるので、MODE2に設定して撮影を行いました。

LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. サーキット実写レポート
LUMIX S1II LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. 100mm シャッター優先AE (S) F5.6 1/160秒 ISO100 WB : オート
LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. サーキット実写レポート
LUMIX S1II LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. 500mm シャッター優先AE (S) F7.1 1/250秒 ISO100 WB : オート

徐々に霧で覆われ始めたQ2

Q1が終わって上位12台でタイムを競うQ2。いよいよこれで決勝レースのグリッド (スタート位置) が決まります。Q1の2組目が終わってからQ2まではあまり時間がないので、大きな撮影ポイントの移動はできません。コーナー側に少し移動してマシンを正面から捉えることにしました。

LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. サーキット実写レポート

実写作例

こちらもまずは100mmから。下の写真左奥が1コーナーの出口方向で、そこから2コーナーをまわって、コカ・コーラコーナーへの進入まで全体が入ります。正面からなので流さずシャッタースピードを上げてしっかり止めて撮ってみました。

LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. サーキット実写レポート
LUMIX S1II LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. 100mm シャッター優先AE (S) F5 1/640秒 ISO160 WB : オート

500mmで撮影すると、コース幅いっぱいに捉える感じになります。スタートのシーンではマシンが連なってレースの雰囲気が伝わる写真になりますね。空が霧で覆われ始めていますが、すみずみまでしっかりと描写できています。

LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. サーキット実写レポート
LUMIX S1II LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. 500mm シャッター優先AE(S) F7.1 1/500秒 ISO125 WB : オート

ピットウォークで機動力を実感

LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. サーキット実写レポート
LUMIX S1II LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. 100mm マニュアル (M) F5 1/250秒 ISO640 WB : オート

「LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.」は、LUMIX Sシリーズレンズ最長となる望遠端500mm (5倍ズーム) でありながら、ズームしない状態であれば長さは約196.1mm。質量は約1285g (三脚座を除く) と、携帯性も兼ね備えた超望遠ズームになっています。ピットウォークでは、三脚座を外して手持ちで撮影を行ったので、「LUMIX S1II」の質量約800g (本体、バッテリー、SDメモリーカード1枚を含む) と合わせて約2kgと、決して軽いとは言えませんが、手持ちで撮影できるレベル。

ピットウォークでは、比較的近い距離でピット内のマシンを見ることができたり、選手のサインがもらえたり、レースアンバサダーを撮影できるので、100mmスタートのレンズだと正直長すぎますが、写りを確認するために本レンズでトライしてみました。

実写作例

被写体との距離が近かったため、100mmだとウエストアップになりますが、背景はボケていて被写体がしっかり際立っています。ただボケ過ぎず、チーム名の「REALIZE」が被写体のじゃまにならない程度にわかるので、サーキットの雰囲気を残した写真を撮ることができました。

LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. サーキット実写レポート
LUMIX S1II LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. 100mm マニュアル(M) F5 1/250秒 ISO400 WB : オート

決勝レースは濃霧のため中止に

LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. サーキット実写レポート
※この写真は「LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S.」では撮影していません。

ピットウォークも終わり、いよいよドライバーもチームも決勝に向けてスタートを待つばかりとなったところで、午後になりサーキット周辺の霧が濃くなり始めました。14時5分からスタートに向けたセレモニーが行われる予定でしたが、霧はどんどん濃くなり、ピット側から客席のグランドスタンドも見えなくなってきました。

レース運営側からは、天候の回復を待つべく「10分間のディレイ」が告知され、それが何度も繰り返されましたが、15時35分、サーキットのモニターには「SUPER FORMULA Round10決勝レースは天候の回復が見込めないためこのセッションは開始しません」と表示され、レースは中止となってしまいました。決勝レースでは、コースサイドから新レンズでもっとカッコいい写真を撮ろうと思っていたのに、十分な実写ができなくて消化不良ぎみとなってしまいました。

CAPA「流し撮りGP」応援ドライバーの佐藤蓮選手は、6番グリッドからのスタートで高順位を狙えるチャンスだっただけに残念です。レース中止発表後にミックスゾーン (ドライバーが取材を受ける場所) で、佐藤選手、三宅選手に話をお聞きしました。

佐藤蓮選手

予選もQ2に進んで、いいところにピークを持ってこられればポール争いはできたと思うので、悔しいですね。決勝にはすごく自信があったので、(霧で中止になってしまったのは) 悔しいというか残念ですね。今シーズンはここまでポイントを積み重ねてきているので、次戦の鈴鹿に向けてしっかり準備をしたいと思います。

── ディレイが続いたときはどうしていましたか?

いったん気持ちを緩めて、コースの状況を見ながらコーヒーを飲んでいました。

LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. サーキット実写レポート
ピットウォークでファンのサインに応じる佐藤蓮選手。

三宅淳詞選手

今回、アドバイザーとしてスーパーGTのチームメイトの佐々木大樹選手が来てくれて、今までとは違った見方で意見を出してくれました。今日の予選でも、改善したかったところが改善方向に向かったのかなという印象を持ちました。(霧で中止になって) レースはできなかったのですが、いい週末だったなと思います。次戦に繋げたいですね。

── ディレイが続いたときはどうしていましたか?

霧が濃くて風も吹いていなかったので、いつでもいける準備はしていましたが、観客の皆さんには申し訳ないですけど、心の中では今日は無理かなと思っていました。

LUMIX S 100-500mm F5-7.1 O.I.S. サーキット実写レポート
ハロウィンのかぼちゃを抱きながらサインをする三宅淳詞選手。