【そのほかの進化点】7Kオープンゲート記録など動画はてんこ盛りの進化だ
「EOS R6 Mark III」の動画に関する主な進化ポイントは、「7K30pオープンゲート記録 (RAW/MP4)」や「4K 120p」「スロー&ファストモーション動画モード」「被写体追尾IS」の搭載だ。また「ショックレスWB」や「AWBレスポンス」「AWBホールド」といった動画撮影時のホワイトバランス追従性特性を柔軟に変えられる機能や、カラーグレーディング前提の「カスタムピクチャー」、14種類の「カラーフィルター」といった動画向けの画作り機能も追加。このほか、AFでのフォーカス送りで合焦直前に緩やかに減速できるフォーカス加減速アルゴリズムが搭載されたほか、動画記録中の水準器表示や拡大表示といった撮影補助機能も充実。左肩のタリーランプで、録画中か否か、撮影される側がすぐわかるのも便利だ。
想定ターゲットは静止画メインのユーザーではあるが、CINEMA EOSを所有するような本格的な動画ユーザーのサブ機としても十分通用する機能と性能を備えている。
EOS R6 Mark III チェックまとめ
先代の「EOS R6 Mark II」が発売された当時は、主に被写体認識AFの認識性能が注目されていた。でもそれだけでなく、どのAFエリアモードからも認識した被写体を画面全域でトラッキングできる新しいAF撮影スタイルこそが、エポックメイキングのポイントだったことがわかる。しかも、最高約40コマ/秒でRAW記録も可能という、フルサイズミラーレスのスタンダードモデルとしては最強のAFと連写性能を有していた。
ただ、約40コマ/秒という連写スピードの速さに、バッファメモリの容量やUHS-II SDXCカードの書き込みスピードが力不足だったのも否めない。調子に乗って高速連写しまくると、アッという間にバッファフルになり、最も撮りたかった瞬間を撮り逃すという憂き目に遭うこともしばしば。ストイックな連写を心がける必要があった。
しかし、「EOS R6 Mark III」はバッファメモリが増え、連続撮影可能コマ数がほぼ倍増。レリーズ直前の最大20コマ前まで遡って記録できるプリ撮影にも対応し、約40コマ/秒でも連写が詰まりにくくなっているのが最大の強み。V90のUHS-IIカードよりも大容量でコスパが高いCFexpress Type Bカードが使えるので、カードの残容量を気にしながら節約連写する必要もなしだ。
上位機種に採用されている積層センサーやDIGIC Acceleratorといったサプライズはなかったものの、画素数が約3250万画素に増えても、普段積極的に使用できるISO25600以下の感度域では、画質の低下はほとんど感じないし、ローリングシャッター歪みも同程度。認識した被写体へのトラッキング性能も従来よりも粘り強くなっていて、ピントが合う率も高くなった印象だ。
とはいえ、「EOS R6 Mark II」との実売価格差は約10万円。しかも、「EOS R6 Mark II」は「冬のキャッシュバック2025」で3万円還元されることを考えると、約3250万画素の画素数や連続撮影可能コマ数、プリ撮影といった機能を必要としなければ、「EOS R6 Mark III」発売後も併売される「EOS R6 Mark II」の高コスパは魅力大だ。コスパを取るか、より高い性能を取るか? この冬にキヤノンのミドルクラス購入を考えている人にとっては、楽しくも悩ましい選択を迫られることになりそうだ。
キヤノン EOS R6 Mark III 主な仕様

有効画素数 最大約3250万画素
撮像素子 35mmフルサイズCMOSセンサー
マウント キヤノンRFマウント
AF方式 デュアルピクセル CMOS AF II
AFエリア分割数 最大1053分割
被写体検出 自動、人物、動物 (犬 / 猫 / 鳥 / 馬)、乗り物 (モータースポーツ〈車・バイク〉/ 飛行機 / 列車)
ISO感度 静止画撮影時 ISO100~64000 (拡張 ISO50、ISO102400)、動画撮影時 ISO100~25600相当 (拡張 ISO102400)
シャッター速度 メカシャッター 電子先幕 1/8000~30秒、電子シャッター 1/16000~30秒、バルブ
高速連続撮影速度 メカシャッター 電子先幕時 約12コマ/秒、電子シャッター時 約40コマ/秒、
ファインダー 0.5型 約369万ドット 電子ビューファインダー (倍率 約0.76倍)
液晶モニター 3.0型 約162万ドット バリアングル液晶モニター
手ブレ補正 ボディ内5軸手ブレ補正 中央8.5段、周辺7.5段
※CIPA2024規格準拠、ピッチ / ヨー / ロール補正性能、RF24-105mm F2.8 L IS USM Z (f=105mm) 使用、協調補正時
カードスロット CFexpress Type B、SD (UHS-II対応) のデュアルカードスロット
幅×高さ×奥行き 約138.4×98.4×88.4mm
質量 約699g (バッテリー、CFexpressカードを含む) / 約609g (本体のみ)
付属品 バッテリーチャージャー LC-E6、バッテリーパック LP-E6P、ストラップ ER-EOSR6 MarkIII、シューカバー ER-SC2