機材レポート

実写レビュー!「M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO」と2倍テレコンでミサゴのダイブを手持ち撮影

M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO 実写レビュー
OM SYSTEM OM-1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO マニュアル F7.1 1/3200秒 ISO500 WB : オート M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20使用 35mm判換算800mm相当

2025年9月27日に発売となったOM SYSTEMの大口径超望遠ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO」(受注生産)。ズーム全域で開放F値2.8なので、ISO感度を抑えながら速いシャッター速度での撮影が可能。35mm判換算で100〜400mm相当という幅広い焦点距離をカバーします。さらに、2倍テレコンバーター「MC-20」を併用すれば、35mm判換算800mm相当の超望遠をF5.6の明るさで撮影できるということで、まさに野鳥撮影にもってこいのレンズです。

M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO 実写レビュー
カメラボディは「OM-1 Mark II」、「M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO」に「MC-20」を装着。

11月の中旬に野鳥撮影愛好家の方から、ミサゴが落ちアユを狙って川にダイブするという情報を聞き、「M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO」を携えて、神奈川県のとある河川敷にやってきました。カメラボディは「OM-1 Mark II」をお借りしました。ボディ側と合わせて最大7.0段 (CIPA規格準拠) の5軸シンクロ手ぶれ補正が効くということで、今回は超望遠で35mm判換算800mm相当の手持ち撮影に挑戦しました。ブレのほうは全く心配ないのですが、動きの速い野鳥を800mmの画角に捉えるのはかなり慣れが必要です。

M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO 実写レビュー

野鳥撮影に必携の双眼鏡

M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO 実写レビュー

野鳥撮影に行くと、必ずといっていいほど野鳥撮影愛好家の皆さんは双眼鏡を首から下げています。慣れていないと、鳴き声はすれども姿を見つけられないことも多々あります。そこで今回は、ビクセンの8倍双眼鏡「APEX J HR8×32WP (W)」をお借りしました。こちらは対物レンズ有効径32mm、倍率8倍の防水タイプの双眼鏡で、見掛視界60.9°(旧JIS規格67.2°) の広角になっています。広い視野の中から動きモノを探すのに最適で、小さな野鳥を見つけるのにも役立ちました。接眼レンズも大きく、さっと構えて覗き込む際にとても使いやすかったです。

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まずはサギなどの野鳥で準備運動

朝7時ごろに河川敷に到着すると、すでにミサゴのダイブを狙うカメラマンがポイントに集まっており、どうやらそのあたりにダイブしそうということで、その近くに撮影場所を確保しました。ミサゴが飛来するまでにまだ時間があるので、設定の確認です。

被写体検出は「鳥」にします。AFは被写体を追従してくれる「コンティニュアスAF+MF」に。決定的チャンスを逃したくないので、シャッター半押し状態からシャッターを切るまでの間を遡って記録する「プロキャプチャー SH2」(約50コマ/秒) にしました。ただ、ずっとこの設定で撮影すると撮影枚数がとんでもないことになるので、とまっている野鳥などでは、「連写」(10コマ/秒) にして使い分けました。

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被写体検出性能はというと、対岸にいるアオサギや飛び回るカモメなどを狙ってみましたが、しっかりと認識し追従し続けてくれました。白い建物をバックにした白い羽の野鳥も、逃すことなく追従してくれました。いつ飛来するかわからないミサゴに気を配りつつ、落ちアユを狙って集まってくるサギ類やほかの野鳥で準備運動です。

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コサギの捕食シーンも逃さず捉えました。

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OM SYSTEM OM-1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO マニュアル F5.6 1/3200秒 ISO400 WB : オート M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20使用 35mm判換算485mm相当

 

ハクセキレイのような小さな個体もしっかり認識。

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OM SYSTEM OM-1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO マニュアル F8 1/3200秒 ISO640 WB : オート M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20使用 35mm判換算800mm相当

ミサゴが上空に飛来! 果たして…

M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO 実写レビュー
OM SYSTEM OM-1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO マニュアル F7.1 1/3200秒 ISO500 WB : オート M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20使用 35mm判換算800mm相当

午前8時を過ぎたころ、カメラマンたちが一斉にカメラを構え始めます。ミサゴが川の上空に飛んできました。透明度の高い川なので、上空からでもアユの存在を認識できるのでしょう。狙いを定めるかのようにゆっくりと上空を何度も旋回します。

皆、固唾をのんで川面に向かって急降下するのを待ちます。それは一瞬の出来事です。カワセミのようにくちばしから飛び込むのではなく、鋭い爪を獲物に向け、脚をピンとを伸ばした独特のスタイルで飛び込んでいきます。カメラマンたちはその動きに合わせてカメラを振り、シャッターを切ります。

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獲物に向かって降下するシーンを「プロキャプチャー SH2」で撮影。
OM SYSTEM OM-1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO マニュアル F6.3 1/4000秒 ISO500 WB : オート M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20使用 35mm判換算800mm相当

 

さしものミサゴも捕獲率は100%とはいかないようで、アユをキャッチできないダイブもあり、カメラマンたちからはがっかりした声も漏れます。ミサゴにとってはそんなことはもちろん関係なく、生きるための捕食なので何度かダイブを試みます。それでもキャッチできないこともありそのまま飛び去っていってしまいました。

またしばらく待ちの時間が続きます。待っている間、撮った写真を確認したり、カメラマン同志で話をしたり、写真を見せ合ったり、軽食を食べたり、そんな時間も野鳥撮影の楽しみなんだと思います。

1時間ほど経ったでしょうか、再びミサゴが飛来し、周囲がザワつきます。

M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO 実写レビュー
アユをキャッチして飛び上がる瞬間を「プロキャプチャー SH2」で撮影。
OM SYSTEM OM-1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO マニュアル F7.1 1/2000秒 ISO500 WB : オート M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20使用 35mm判換算800mm相当

見事にアユをキャッチ! その瞬間をなんとか捉えることができました。獲物を狙ってゆっくりと旋回する動きから飛び込む動作の切り替えが一瞬で、降下のスピードについていくのが大変でした。でも画角に収めさえすればAFがしっかり追従してくれるので、まずは35mm判換算400mm相当程度でミサゴを捉えておいて、捕獲の姿勢に入るところで35mm判換算800mm相当までズームするという流れで撮っていました。手持ちで手ブレ補正が効いているからこそ、できたことかもしれません。

M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO 実写レビュー
アユをしっかりと掴んで飛び立ってゆくミサゴ。
OM SYSTEM OM-1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO マニュアル F7.1 1/2000秒 ISO500 WB : オート M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20使用 35mm判換算800mm相当

 

その後もミサゴは1時間に1回くらいのペースで飛来しては、アユを狙ってダイブを繰り返しました。13時ごろまで撮影したのですが、8回ほどダイブを撮影するチャンスがあったでしょうか。今回の撮影では天候に恵まれたので少し絞ったりもしましたが、野鳥撮影は森の中の薄暗い環境も多く、2倍テレコンバーターを付けてもF5.6という明るさは、クリアに撮影できる被写体を広げてくれます。マイクロフォーサーズ規格ならではの機動力とそれを引き出せるレンズは、どんどん持って歩きたくなる組み合わせでした。