コンパクトでオールマイティーな「キヤノン EOS R6 Mark III」が登場。その進化を体感するため、EOS R6シリーズを愛用してきた鉄道写真家の村上悠太さんが、紅葉が色づく東北に向かった。

約3250万画素に高画素化しながら約40コマ/秒の連写を実現
岩手山の麓、色づいたカラマツに見守られ、さらに北を目指す「はやぶさ」を最速の約40コマ/秒で狙った。車両の先端を意図した位置に配置できただけでなく、3000万画素を超えた「EOS R6 Mark III」ではその場の空気感までも伝えてくれた。

約3250万画素の高画質で繊細な描写も得意
上の写真の撮影から約3週間後に再び北東北を目指した。この日は青森県で今シーズン初の積雪を観測。紅葉残るカラマツに粉砂糖のような雪が舞い降りた。繊細な描写を求めたいシーンだが、ここで力を発揮するのが今回の進化だ。

運転台の窓を捉え続けたAFの被写体検出機能
先代の「EOS R6 Mark II」で初搭載された「乗り物優先」の鉄道検出。約3年の時を経て、「EOS R6 Mark III」ではアルゴリズムを最適化し、より正確かつ迅速なトラッキングを行なう。かつては独自のノウハウが求められたこうした構図も、もはや身近な存在だ。

約0.5秒さかのぼれるプリ連続撮影は鉄道に最適
新幹線の接近が見渡せず、チャンスはまさに一瞬。シャッターボタンを半押し続けているだけで、全押しから約0.5秒さかのぼれるプリ連続撮影は心強い。高速の新幹線を真横から狙ったが、電子シャッター特有の歪みも気にならない。


バッファが2倍に強化され、欲しいシーンを逃さない
連写速度が高速化する昨今のミラーレスカメラにとって欠かせないスペックが、連続撮影可能枚数。スペック上では150枚だが、実測値でも約40コマ/秒の最高速連写設定かつRAW+JPEG Lファインで138枚、つまり3秒以上撮影を続けることができた。

列車の接近に焦ってやや手前から連写を始めると、「EOS R6 Mark II」ではバッファが尽き、肝心の瞬間を逃すことが時折あった。一方、「EOS R6 Mark III」なら同じ地点から撮影を開始しても、車両が過ぎ去ってもしばらく撮影ができた。




高画素化しても優秀なノイズ性能。有料アプリ「NniP」でさらに向上可能
EOS R6シリーズの魅力である高感度特性は、高画素化した「EOS R6 Mark III」でもしっかり踏襲。カメラ単体でもノイズレスでシャープな画像が得られる。有料PC アプリ「Neural network Image Processing Tool」を使用すれば、格段に美しい画像がRAW画像から生成できる。

コンパクトなボディに凝縮された確実な進化
スナップシーンから風景的な情景など、あらゆるシーンに対応できるオールラウンダーなEOS R6シリーズは僕の撮影スタイルにマッチしており、これまでも「EOS R6」「EOS R6 Mark II」と愛用してきた。鉄道写真に欠かせない高速連写性能、運転席をスポット検出する被写体検出をはじめ、EOS R5シリーズより画素数を抑えることで高感度特性もよく、そのどれもが鉄道撮影をより手軽に美しく、そしてカメラを持つ楽しみを実感させてくれてきた。
そのR6が進化を遂げた。待望の「EOS R6 Mark III」では有効画素数が約3250万画素に向上し、解像感がさらにブラッシュアップ。電子シャッターを用いれば最速で40コマ/秒というEOSシリーズ最高水準の連写性能をしっかりと搭載しているほか、「EOS R6 Mark II」と比較して連続撮影可能枚数はほぼ倍増とパワフルになっている。これにより最高速で連写をしても先代以上に画質、連写時間ともに大きな余力を感じるようになった。
動きものを撮影する際に気になる電子シャッターによるローリング歪みは、「EOS R6 Mark II」から若干低減。掲載した写真はすべて電子シャッターで撮影しているが、どのカットも歪みはなく、しっかりと「使える」電子シャッターだと実感していただけるだろう。一般的に高画素化とトレードオフとなる高感度性能については、最高常用ISO感度は64000に変更になったが、R6シリーズ伝統のノイズレスでシャープな描写力を実感。被写体を捉えたら離さないトラッキングAFにも磨きがかかり、頼もしく進化した、相棒の登場を喜びたい。
キヤノン EOS R6 Mark III

有効画素数 最大約3250万画素
撮像素子 35mmフルサイズCMOSセンサー
ISO感度 静止画撮影時 ISO100~64000 (拡張 ISO50、ISO102400)
高速連続撮影速度 メカシャッター 電子先幕時 約12コマ/秒、電子シャッター時 約40コマ/秒
ファインダー 0.5型 約369万ドット OLED (倍率 約0.76倍)
液晶モニター 3.0型 約162万ドット TFTバリアングル液晶モニター
手ブレ補正 ボディ内5軸手ブレ補正 中央8.5段、周辺7.5段
幅×高さ×奥行き 約138.4×98.4×88.4mm
質量 約699g (バッテリー、CFexpressカードを含む)
- 村上悠太 (Yuta Murakami)
- 「鉄道業界を盛り上げたい!」がモットーで、撮影・執筆・イベント出演などなんでもやる鉄道写真家。高校時代に「写真甲子園」に出場。2025年12月19日に、JR東海公式923形ドクターイエロー引退記念写真集『ありがとうT4』を刊行。
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〈協力〉キヤノンマーケティングジャパン株式会社