機材レポート

新型の中望遠マクロレンズで、高尾山周辺の “紅葉” を撮る!『タムロン SP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD』

タムロン SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 USD(Model F017)
先行発売の35ミリと45ミリで提唱された “新SPシリーズ” のデザインコンセプト。当然、この『タムロン SP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)』にも、そのコンセプトが息づいている。適度に曲線を用いた金属製鏡筒のフォルムや質感がイイ感じ!

高尾山口駅(撮影:吉森信哉)
京王線(高尾線)の終点、高尾山口駅。そのホームの先には、色づいた木々に彩られる山並が見えた。

 花の撮影を得意とする自分にとって、中望遠のマクロレンズは “必須アイテム” と言える。そんなボクが今夏以降に使用しているのが、タムロンSPシリーズの新型モデル『タムロン SP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)』である。…という話は、前々回のこのブログで紹介したよね。さあ、今回はそこで予告したとおり “秋本番” って感じの紅葉写真をお見せしますヨ!!

 単純に紅葉や黄葉を見たい(撮りたい)のなら、街中でも近所の公園でもOK! だけどなぁ。それじゃあ、いまいちテンション上がらないよなぁ(笑)。ということで、世間一般に “紅葉の名所” と呼ばれる場所に行くことにした。まあ、あまり遠くない所に、ね。

 ボクは京王線沿線に住んでいるので、あまり遠くない紅葉の名所と言えば、やっぱり「高尾山」になるかな。そうね、高尾山がイイかも。しばらく行ってないし。…ただし、近年の高尾山は観光客の数がハンパなく多いので、その点がちょっと心配だけど。

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タムロン SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 USD(Model F017)
専用(付属)の丸型フード「HF017」を装着。レンズ本体との “一体感” があってイイ感じ。

 紅葉の見頃を迎えた11月中旬の週末、ボクは京王線(高尾線)の終点「高尾山口(※たかおさんぐち)駅」にやってきた。まあ、紅葉時季の高尾山って、それこそ “一年で最も混む頃” だから、ある程度の人出は覚悟してましたよ。ええ、ある程度はね。だけど、実際はその覚悟を上回る人出!! だった。ヒド過ぎ(苦笑)。高尾山口駅の改札からケーブルカーやリフトの駅にかけて(300m台の距離)、ラッシュ時の駅かよとツッコミたくなるほどの混雑ぶり。でもって、ケーブルカーやリフトの駅での順番待ちの列の長さもハンパない! う〜ん、これは山に登るのは諦めた方が賢明かも…。

 ということで、人の流れや人混みを避けながら、駅周辺の紅葉を撮り歩く事にした。

 太陽の光を浴びて輝く “眩しい紅葉” もあれば、日陰に佇む “薄暗い紅葉” もある。また、離れた位置から木全体や枝を写し込む場合もあれば、特定の “一葉” に接近してアップに写す場合もある。そう、ひとくちに「紅葉の撮影」と言っても、アプローチは様々なのよね。そこで威力を発揮するのが、手ブレ補正機構「VC」である。当然、木全体や枝がシャープに写せるし、今回のモデル(F017)はシフトブレ補正にも対応しているのでマクロ域の撮影にも強い。これは有り難いねー。

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タムロン SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 USD(Model F017)作例(撮影:吉森信哉)
道路脇を流れる渓流を、低速シャッターで手持ち撮影。3600万画素の一眼レフで “90ミリ・1/8秒” という、かなりムチャな条件である。しかし、手ブレ補正機構「VC」の効果により、予想以上の確率で手ブレのないカットが撮影できた。ちなみに、「VC」オフで撮影したカットは、すべて手ブレを起こした。
◆ニコン D800 タムロン SP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD シャッター優先オート F9 1/8秒 −0.7補正 WB:晴天 ISO100 7360×4912ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

  • タムロン SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 USD(Model F017)

    VC:OFF

  • タムロン SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 USD(Model F017)

    VC:ON

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タムロン SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 USD(Model F017)作例(撮影:吉森信哉)
日陰にあった紅葉だが、背後にある明くて鮮やかな紅葉によって “光を感じる写真” に仕上がった。
◆ニコン D800 タムロン SP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD 絞り優先オート F3.5 1/100秒 +1.3補正 WB:晴天 ISO250 7360×4912ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

タムロン SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 USD(Model F017)作例(撮影:吉森信哉)
 “シフトブレ補正対応” の効果を実感した場面。
◆ニコン D800 タムロン SP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD 絞り優先オート F5.6 1/30秒 −0.3補正 WB:オート1 ISO400 7360×4912ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

タムロン SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 USD(Model F017)作例(撮影:吉森信哉)
光学性能と手ブレ補正機能。その両方の性能や効果が求められるシーンと言える。
◆ニコン D800 タムロン SP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD 絞り優先オート F3.5 1/100秒 −1補正 WB:晴天 ISO400 7360×4912ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

タムロン SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 USD(Model F017)作例(撮影:吉森信哉)
人混みを避けて、田畑脇の畦道を歩く。そこで見かけた赤い実をつけた「イヌタデ」をクローズアップ。一般的な紅葉(または黄葉)だけでなく、こういった雑草のマクロ撮影も味わい深い。
◆ニコン D800 タムロン SP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD 絞り優先オート F4 1/100秒 WB:晴天 ISO100 7360×4912ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

タムロン SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 USD(Model F017)作例(撮影:吉森信哉)
紅葉の枝に絡まるイチョウの葉をクローズアップ。 “赤と黄” の色の対比が美しい。
◆ニコン D800 タムロン SP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD 絞り優先オート F4.2 1/125秒 +0.7補正 WB:晴天 ISO100 7360×4912ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

タムロン SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 USD(Model F017)作例(撮影:吉森信哉)
高尾山口駅近くの広場にて。枝の紅葉(黄葉?)だけでなく、背景ボケの美しさも印象的。
◆ニコン D800 タムロン SP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD 絞り優先オート F3.5 1/100秒 WB:晴天 ISO180 4912×7360ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

タムロン SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 USD(Model F017)作例(撮影:吉森信哉)
高尾山駅…の改札前のイチョウ。その濃密な黄葉を、90ミリの画角で切り取った。
◆ニコン D800 タムロン SP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD 絞り優先オート F5.6 1/80秒 WB:晴天 ISO400 7360×4912ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

 高倍率タイプも含め、数多く発売されているズームレンズを使用すれば、少ないレンズ数で幅広い画角をカバーすることができる。だけど、画角変化だけが交換レンズ選びのポイントじゃない。開放F値の明るさ、最大撮影倍率の高さ。そして、より高品位な描写が得られる光学性能。そういった要素も、交換レンズを選ぶ際のポイントになるだろう。

 比較するズームレンズにもよるが、開放F値が2.8のマクロレンズだと、これらの要素をすべて満たしてくれる。だから、焦点距離がズームレンズと被っていても、存在感や利用価値は下がらない。特に、桜や紅葉のような限られた時季しか撮影できない被写体だと、できるだけ高品位な描写で残したい(記録したい)もの。

 従来モデル(F004)から光学性能や操作性に定評があったタムロンのSP90ミリマクロレンズ。その基本性能や仕様を継承しつつ、手ブレ補正機構「VC」はシフトブレ補正対応に進化。さらに、外観の高級感(材質やデザイン)も大幅にアップ! そんな『タムロン SP90ミリ F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD Model F017』は、現在発売されている “フルサイズ対応の中望遠AFマクロレンズ” の中でも、かなり魅力的な製品だと思うヨ。

タムロン SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 USD(Model F017)
今回使用したボディは、35ミリ判フルサイズのニコン D800。…だけど、APS-CサイズのD7200と組み合わせて “135ミリ相当” の望遠マクロレンズとして使用するのもイイかも。