機材レポート

深掘りレビュー! ソニー「α7 V」の強みと弱みは? 他機種とガチ比較で画質を徹底検証

チェック③ エクステンデッドRAW

無料の純正ソフトで利用できる自然な画素数拡大とノイズリダクション

「α7 V」(および「α1 II」) は、ソニー純正のRAW現像ソフト「Imaging Edge Desktop」の「エクステンデッドRAW処理」に対応している。エクステンデッドRAWには、画素数を4倍に補間拡大する「エクステンデットHi-Res」と、細部の解像を保ちつつ高度なノイズリダクションを行う「エクステンデッドNR」の2種類があり、いずれもディープラーニングを活用した画像処理により、1枚のRAWからより高画質な画像を生成できる。

α7 V 深掘りレビュー【画質編】
Imaging Edge Desktop

似たような機能を持つ汎用ソフトもあるが、「Imaging Edge Desktop」は無償で使えるので余計な出費を抑えることができる。また、汎用ソフトに比べると比較的処理が速く、カメラメーカーが作る純正ソフトだけあって、解像感を高めようと不自然な書き足しがない。あくまで被写体本来のディテールを忠実に引き出してくれるのが特徴だ。

「Imaging Edge Desktop」の「Viewer」で、「α7 V」のRAW (.ARW) データを選択し、右クリックで表示されるコンテキストメニューの「エクステンデッドRAW処理」から「エクステンデッドHi-Res」か「エクステンデッドNR」を選ぶ。後は、画質調整で、ノイズリダクション強度[標準/強]とディテール[1~5]のパラメータを指定し、保存先と保存形式を確認後、実行ボタンを押すだけのカンタン処理だ。

画質調整のパラメータ設定は10通りあるが、個人的には、ノイズリダクション強度 [標準] + ディテール [2] がおすすめ。ディテール [5] が、最もディテールが鮮明になるが、かなりノイズも目立つようになる。そこまでディテールを重視しない被写体であればディテール [1] で大丈夫だが、撮って出しJPEGよりもノイズは減るものの、細部が少し甘く感じるかも。このあたりは何度か試してみて、自分にとって好みの設定を見いだすのがいいだろう。

α7 V 深掘りレビュー【画質編】
エクステンデッドRAWの調整画面

エクステンデッドHi-Res

「エクステンデッドHi-Res」は、「α7 V」の約3300万画素を4倍の約1億3200万画素に補間拡大して出力できる機能。超望遠レンズでも大きく撮れない野鳥などを補間拡大後、トリミングするといった活用法が考えられるが、あくまで元データが「小さくても鮮明に写っている」ことが大前提。

似たような機能を持つ汎用ソフトには、ボケていたりブレている画像をより鮮明に修正してくれる製品もある。だがそれらは、AIを利用して足りない情報を推定して描き足しているので、実際の被写体とは異なるディテールになったり、存在しないアーティファクトが出現するなどの副作用もある。

「エクステンデッドHi-Res」は、あくまでオリジナルの被写体が持つディテールをできるだけ忠実に補間して拡大してくれる。パッと見た目の解像感は市販ソフトが上かもしれないが、写真として細部の破綻がほとんどないのが特徴だ。

■ハイレゾ効果比較

α7 V 深掘りレビュー【画質編】
エクステンデッドHi-Res 使用
α7 V 深掘りレビュー【画質編】
エクステンデッドHi-Res 未使用

エクステンデッドNR

カメラの撮影メニューで高感度ノイズ低減を [標準] から [低] または [切] にすれば細部の解像がつぶれにくくなるが、当然、ノイズが目立ちやすくなる。それは「エクステンデッドNR」も同様だが、撮って出しJPEGよりも超高感度域で、ノイズを低減しつつもある程度の解像を保てるのが特徴だ。

α7 V 深掘りレビュー【画質編】
エクステンデッドNR作例 ISO40000

ISO25600とISO51200で撮影したJPEG画像と同時記録したRAW画像に「エクステンデッドNR」を施し、撮って出しJPEGと比較してみた。画像調整は、ノイズリダクション強度 [標準] + ディテール [2] に設定している。

■エクステンデッドNR ISO25600

α7 V 深掘りレビュー【画質編】
エクステンデッドNR 使用
α7 V 深掘りレビュー【画質編】
エクステンデッドNR 未使用

ISO25600では、撮って出しJPEGよりもノイズは少なくなっているものの、羽根のもっとも細かい部分は撮って出しJPEGよりも不鮮明。ただ、それよりも少し大まかなディテールはむしろエッジが際立って、全体の解像感は向上して見える。

■エクステンデッドNR ISO51200

α7 V 深掘りレビュー【画質編】
エクステンデッドNR 使用
α7 V 深掘りレビュー【画質編】
エクステンデッドNR 未使用

ISO51200では、その傾向がさらに顕著になる。撮って出しJPEGでは羽根全体がベタッとツブレているが、「エクステンデッドNR」は羽根の大まかなエッジがしっかり残っている。最も細かい模様はツブレているが、大きな模様のエッジが残っていることで、本来のディテールは損なわれているものの、パッと見たときの解像感はISO51200とは思えないほどのクオリティだ。無料で使えるソフトでこれだけの効果が得られるなら、活用しないのは損だろう。

α7 V 深掘りレビュー【画質編】
エクステンデッドNR作例 ISO32000
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