機材レポート

“1枚入魂”のドキドキ感がたまらない! 伝統のISO400フィルム「FUJIFILM 400」実写レビュー

FUJIFILM 400 実写レビュー
「FUJIFILM 400」で撮影。抜けるような青空と木の緑が見事に再現された。建物のレンガも解像力が高く、撮影時の印象に近い仕上がりだ。しかもISO400にしては粒子が細かく、ザラつきが少ないうえ、フィルムらしい味わいのある写真に仕上がった。
ライカ R6 SUPER-ANGULON-R 21mm F4 絞りF8 1/1000秒 FUJIFILM 400

昔ながらの写真、フィルム写真に魅了される人が最近増えている。以前は「フィルム写真ブーム」と呼ばれたこともあったが、今では写真表現のひとつとして確立されている。

そこにはデジタルとは異なる、フィルムならではの楽しさがあるからだ。デジタルは鮮やかで解像力の高いきれいな写真を、誰もが手軽に撮ることができる。とても素晴らしいことだが、写真の表現や楽しみ方はそれだけではない。そこにフィルム写真の魅力が存在する。

フィルムでしか再現できないものがある

4000万画素や6000万画素が当たり前のデジタル写真は、もはや肉眼を超える高精細な世界が堪能できる。それに対し一般的なフィルムである「35mm判」は、画面サイズこそ35mmフルサイズ機と同じだが、そこまでの解像力はない。しかも拡大するとフィルム特有の粒子が見えてくる。

しかし、その高すぎない解像力や粒状感、カラーネガフィルムならではの発色や階調が人の目に優しく感じられ、味わいや深みとなっている。これはデジタルではなかなか表現できないものだ。

FUJIFILM 400 実写レビュー
テラス席でハンバーガーのランチ。トマトやレタスの新鮮さが伝わってくる写真が撮れた。ボケた部分の粒状感がフィルムらしい。何気ないテーブルフォトも、フィルムで撮るとデジタルとは異なる雰囲気の写真が楽しめる。
ライカ R6 SUMMICRON-R 50mm F2 絞りF2 1/1000秒 FUJIFILM 400

フィルム写真ならではの“儀式”が気持ちを高める

フィルムには「撮影する楽しさ」もある。カメラにフィルムを装填し、限られた36枚を意識しながら1枚1枚と巻き上げて撮るのは、デジタルカメラで高速連写するのとはまったく違うリズムだ。

被写体やシャッターチャンスを見極めて、ここぞという瞬間にシャッターを切る。しかも現像するまでは結果がわからない。「タイミング良く撮れているだろうか」「ピントは合っているだろうか」「構図は大丈夫かな」など、仕上がるまでのワクワク感、ドキドキ感もフィルムならではだ。

FUJIFILM 400 実写レビュー
「FUJIFILM 400」をパッケージから出して、愛用のフィルム一眼レフカメラに装填する。デジタルカメラにはない作業だ。面倒そうだと思われるかもしれないが、それもフィルムの楽しさのひとつ。この儀式により「今からフィルムで写真を撮る」という気持ちのスイッチが入る。

そして、撮影を終えたらフィルムを巻き戻す。もし巻き戻さずカメラの裏ブタを開けたら感光してしまい、光が当たったところは像がまったく出てこない。こうした「作法」があるのも、フィルムで写真を撮る魅力だ。

「1枚入魂」で撮られたフィルム写真は、デジタルとは異なる「作品」としての魅力に溢れている。もちろんデジタルデータ化すればSNSなどで公開もできるし、プリントすれば作品を手に持つ喜びも味わえる。フィルムだからこその写真の世界を大いに楽しもう。

FUJIFILM 400 実写レビュー
ショッピングストリートで古いスクーターを見つけた。画面奥に歩いている人を入れて、広角レンズでとっさにシャッターを切る。白い壁や路面の階調が豊かで、滑らかなトーンが得られた。「FUJIFILM 400」の画質の高さが伝わる写真だ。
ライカ R6 ELMARIT-R 35mm F2.8 絞りF8 1/500秒 FUJIFILM 400

伝統を今に受け継ぐカラーネガフィルム「FUJIFILM 400」

富士フイルムのISO400カラーネガフィルムの歴史は長い。1976年に発表された「フジカラーF-II400」から始まる。これは一般用カラーネガフィルムとしては世界初のISO400 (当時はASA400) だ。

その後も富士フイルムのISO400カラーネガフィルムは、モデルチェンジをしながら進化。偏りがない色調と豊かな階調、高感度ながら微粒子という特長は多くの写真ファンの心を掴み、圧倒的な人気を誇った。数あるカラーネガフィルムの中で富士フイルムのISO400は、最もポピュラーなフィルムと言えた存在だった。その伝統を今に受け継いでいるのが「FUJIFILM 400」だ。

FUJIFILM 400 実写レビュー
自然な色調と滑らかな階調を実現した「FUJIFILM 400」。ISO400と使いやすく、カラーネガフィルムの標準と呼べるフィルム。デジタルデータ化とプリント、どちらでもニュートラルでフィルムらしさも持った仕上がりが楽しめる。初心者にもベテランにもおすすめできる。

「FUJIFILM 400」は、単品に加えて2本パックと3本パックも販売されている。単品で買うよりもお得な3本パックは、コスト面で大きなメリット。「フィルムを頻繁に使いたい」「旅行に行くのでフィルムをたくさん持って行きたい」という人におすすめだ。しかも品質が安定している「FUJIFILM 400」。より気軽にフィルム写真が楽しめるようになったのは、長年フィルムに親しんできた筆者個人としても非常にうれしい。

FUJIFILM 400はこちらから購入できます

 

FUJIFILM 400 実写レビュー
フィルム一眼レフで街を撮り歩く。「FUJIFILM 400」は高感度のISO400。明るいところから日陰の場所まで、高速シャッターが切れるのでとても扱いやすい、スナップにピッタリのフィルムだ。撮りたいシーンに出会ったらすぐ反応できる。

自然な色調と豊かな階調、フィルムならではの粒状感が美しい

今回は東京・表参道にある富士フイルム直営の写真店「WONDER PHOTO SHOP (ワンダーフォトショップ)」でフィルム現像と全コマプリント、さらにCD受け取りでのデータ化を行った。ネガとプリントを手にすると、フィルムで写真を撮った実感がわいてくる。

FUJIFILM 400 実写レビュー
今回の注文で受け取ったのがこちら。データはスマートフォンにダウンロードする方法も選べる。1カットは約220万画素で、SNSやハガキサイズ程度のプリントに向く。オプションでA3プリント相当の高解像度スキャンも可能だ。

仕上がったプリントを見ると、「FUJIFILM 400」の「ナチュラルな色合いと滑らかな階調」という説明通りの、見た目に自然な色調だ。とはいえ緑や青はしっかりした色が出て、富士フイルムらしさが感じられる。そしてハイライトからシャドーまでの階調も豊か。カラーネガフィルムらしい滑らかさを持った仕上がりだ。

FUJIFILM 400 実写レビュー
古着店の店先に並ぶ大量のカラフルな服に早春の強い光が当たる。「FUJIFILM 400」は色の偏りがなく、見た目に自然な仕上がりになった。またシャドー部の締まりも良好で、階調もよく出ている。広いラチチュードを持つのがわかる。
ライカ R6 SUMMICRON-R 50mm F2 絞りF11 1/500秒 FUJIFILM 400

また、ISO400としては微粒子なのも好感が持てる。風景やスナップはもちろん、ポートレートやネイチャーなど、被写体を選ばないフィルムという印象を受けた。しかも高感度ISO400なので、屋内や夕景、夜景など暗所の撮影にも活躍する。どんな条件でも安心して使えるのは、カラーネガフィルムの老舗である富士フイルムだからこその強みだ。

FUJIFILM 400 実写レビュー
黄色いパイロンに目が行き、望遠レンズで狙った。手前に植木の緑を前ボケとして入れることで奥行き感を出した。逆光により透明感のある仕上がりになった。「FUJIFILM 400」は、どんな光でも期待通りの写りをしてくれるのが嬉しい。
ライカR6 ELMARIT-R 135mm F2.8 絞りF4 1/500秒 FUJIFILM 400
FUJIFILM 400 実写レビュー
日が傾き、夕暮れが近づいてきた。葉のハイライトと、背景の店のイルミネーションを意識して撮影。ISO400なので薄暗くても速いシャッターを切ることができた。カラーネガの粒状感が、フィルムらしさと光を感じさせる。
ライカ R6 SUMMICRON-R 50mm F2 絞りF2 1/250秒 FUJIFILM 400

現像と画像データ化をスマホで注文・スマホで受け取り

フィルム写真を「SNSに投稿したい」「遠くの家族や友人と手軽に共有したい」という人は「写ルンです+」に注目だ。なんとスマートフォンから専用アプリで現像注文し、フィルムを宅急便コンパクトに梱包してコンビニから送るだけで、現像された画像データがアプリに届く。仕上がりは約1週間。データは約340万画素だ。

FUJIFILM 400 実写レビュー

アプリでの現像注文から発送までの流れは

  1. 「写ルンです+」専用アプリから注文。
  2. ヤマト運輸の営業所やコンビニで「宅急便コンパクト専用BOX」を購入 (1個70円/税込)。
    ※販売有無や在庫については、直接店舗へ問い合わせを。
  3. ポリケースに入れた撮影済みフィルムを箱に入れてテープで固定。
  4. アプリで発送するコンビニを選択。

あとは、4で選んだコンビニから発送するだけ。とても簡単だ。

FUJIFILM 400 実写レビュー

 

対象製品は「写ルンです」「FUJICOLOR 100」「フジカラー SUPERIA PREMIUM 400」「フジカラー SUPERIA X-TRA 400」「FUJIFILM 400」の5種類。オプションでLサイズプリントや、仕上がり後もアプリからハーフサイズプリントやPhotoZINE (フォトジン) の注文が可能だ。現像されたネガは返却されないので、自分でネガからデジタイズしたい、あるいは大きなプリントを作りたいという人は、写真店に持ち込もう。

FUJIFILM 400 実写レビュー
「FUJIFILM 400」で撮影し、「写ルンです+」で現像とデータ化をした。純正仕上げなので「FUJIFILM 400」の自然な仕上がりがそのままスマートフォンで楽しめる。フィルムは敷居が高いと思っている人でも、これなら手軽に現像注文できる。特にフィルム初心者は、まずは「写ルンです+」でフィルム写真を始めてみよう。
ライカ R6 SUMMICRON-R 50mm F2 絞りF2 1/500秒 FUJIFILM 400

便利なだけが写真を撮る楽しさではない

デジタルカメラは撮影してすぐ結果が見られる。機種によっては高速連写も可能。ISO感度は自由に設定でき、AFは被写体検出も搭載されている。とても便利だ。しかし、便利なだけが写真を撮る楽しさではない。フィルム写真はそうしたデジタルの特徴とはまさに正反対に位置する。撮影しても現像しないと結果はわからない。ISO感度も固定。連写するのではなく一枚一枚じっくり撮影する、などなど。

「フィルム写真」というと、写りの特徴ばかりに目が行きがちだが、デジタルカメラとは異なる撮影リズムにも着目したい。普段はデジタルカメラでバンバンシャッターを切っていても、フィルムカメラに36枚撮りのフィルムを装填して撮影してみると、フィルムで撮る36枚とデジタルで撮る36枚はまったく別物だということに気付くはずだ。

FUJIFILM 400 実写レビュー
ド派手なピンクの服を着たマネキン人形がディスプレイされていた。順光なのでピンクの鮮やかさが一層引き立つ。「FUJIFILM 400」は、しっとり滑らかな階調再現からビビッドな色調の再現まで、幅広い状況に対応できるフィルムだ。
ライカ R6 SUMMICRON-R 50mm F2 絞りF11 1/500秒 FUJIFILM 400

被写体や光とじっくり対峙し、一枚一枚シャッターを切っていくのは、デジタルであっさりシャッターを切るのと時間の流れ方が異なる。フィルムを入れて巻き上げ、シャッターを切り、撮り終えたら巻き戻し、現像が仕上がるまで待つ。決して便利ではない。しかし、そのゆったり流れる時間がフィルムならではの楽しさでもある。現像しないと結果がわからなくても、安定した性能を発揮する「FUJIFILM 400」なら色調も階調も心配なし。あとは思う存分フィルムカメラが持つ撮影リズムを楽しみたい。

「FUJIFILM 400」で、フィルムだからこその仕上がりと、フィルムカメラだからこその撮影スタイルを、ぜひ自分のカメラライフに取り入れてみてほしい。これまで感じてきた写真の魅力が、さらに深まるだろう。

FUJIFILM WONDER PHOTO SHOP (富士フイルム ワンダーフォトショップ)

FUJIFILM 400 実写レビュー

表参道に店舗を構える「WONDER PHOTO SHOP」は、富士フイルムの直営店。フィルムの現像やプリント、データ化のほか、富士フイルムのデジタルカメラ Xシリーズやインスタントカメラ “チェキ” シリーズ、写真用品なども販売している。現像は、その時の状況により変わるが最短90分で仕上がる。写真好きはぜひ訪れたいショップだ。

住所 東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山1F
営業時間 11:00〜19:00 (木曜は17:00まで)
定休日 火曜
TEL 03-6427-9703

 

藤井智弘

藤井智弘 (Tomohiro Fujii)
1968年東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1996年に写真展を開催後、フリー写真家になる。カメラ誌の撮影や執筆を中心に活動し、フィルムに関する記事も多数執筆。作品では国内や海外の街を撮っている。公益社団法人日本写真家協会 (JPS) 会員。
→ WEBサイト→ X→ Instagram

 

 

〈協力〉富士フイルムイメージングシステムズ株式会社