機材レポート

巻き上げ感、コマ間隔…高精度さに脱帽大胆で繊細な第3のF 『ニコンF3』・その2

W070720_1
グリップ部に赤いラインは入れるわ、モータードライブは傾けるわ…。と、その大胆さに賛否両論あった「ジョルジェット・ジュージアーロ」デザイン。ハイアイポイントファインダーDE-3を装備した『F3HP』や、ペンタカバーやボディ各所にチタンを採用した『F3/T』といったバリエーションがあった。でも、ボクが好きなのは、アイレベルファインダーDE-2を装備する、シンプルな素の『F3』だね(つまり、自分が買ったタイプ)。

 148.5×96.5×65.5㍉・715㌘。これが『ニコンF3』の大きさ・重さなんだけど、これはフラッグシップ機としては、割とコンパクトな部類に入ると思う。まあ、それまで(’70年代)のフラッグシップ機は、ファインダー内に露出計を組み込んでた関係で、どうしても“頭でっかち”で重いカメラに成らざるを得なかったワケだけど…。F3は「ボディ測光」を採用するため、ファインダー部が小さくできて、全体の重さが抑えられ、見た目にもとても軽快なんだよね。これは、前モデルの「F2アイレベル」に近いボディフォルムで、重さもほとんど同じなんだよね(F2アイレベルの方が5㌘ほど重い)。

 そして、巻き上げレバーを操作して、その軽さ&滑らかさに感心する。フィルム装填の有無による差が小さく、手動巻上げによる連続的な撮影が、実に軽快におこなえるのダッ! ファインダーを覗いたまま構図を保つ撮影スタイルだと、フィルム巻き上げは「分割巻上げ」が便利。でも、小刻みに分割して巻き上げると、コマ間隔のバラツキが心配になってくる。スリーブを見た瞬間にそのバラツキを見つけると、途端にガッカリしちゃうんだよねぇ…。それまでボクは、オリンパスのOM-1や2、キヤノンのF-1やニューF-1やA-1、などを使ってきた。これらのカメラでは、いずれも多少のコマ間隔のバラツキが見られた…。だが、このF3は大丈夫だった。何十本、何百本と手巻きで撮影したけど(小刻み巻上げも加えながら)、気になるコマ間隔のバラツキは皆無だった。いや~、これには感心を通り越して感動したね。そんなカメラは、今までボクが使ったカメラの中では、2台のM型ライカと、このニコンF3だけである。

W070720_2
シャッターボタンと一体化された巻上げレバー。予備角30度、巻き上げ角は140度。その滑らかで確実な作動に、ニコンのカメラ作りの真髄を見た気がする。…その反動(?)か、巻き戻しクランクの方の操作感はダメダメなテイスト(苦笑)。