機材レポート

“遊びゴコロを大切にした”ワイドズーム機『リコー キャプリオGX100』

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このカメラの外観&機能上のポイントは、着脱式の液晶ビューファインダー。その趣味性と実用性の高さが「広角24ミリからのワイドズーム」を大いに盛り立ててくれる。こういったギミックが「コンパクト機もまだまだ面白いナァ」と思わせてくれるのだ。

 最近のコンパクト機で、ボクが「ココがツマンナイよなぁ~」と思う点は、搭載されるズームレンズの個性が薄いこと。また、倍率ばかりがアピールされていて、そのズームレンジ(画角の範囲)はあまり謳われていないことである。3~4倍より6倍、6倍よりも12倍、12倍よりも18倍…と、より高倍率なズームを有り難がる気持ちもわかる。でもなぁ、「28ミリ相当から500ミリ相当までカバーするカメラが1機種あればイイ」ってモンでもないでしょうよ。

 また、倍率は同じ「3倍ズーム」でも、38~114ミリと28~84ミリとでは、用途や作画効果はかなり変わってくる。そう、一眼レフと同様、コンパクト機も「レンズに特長がないとツマラナイ」と思うのだなー。ちなみに、個人的には「38~114ミリ」あたりの使いやす3倍ズームがいちばん萎える(苦笑)。

 その点、リコーの高品位タイプのモデルは、個性的で刺激的である。先発の「GRデジタル」は、フィルム式のGRと同様「単焦点28ミリ」と潔い。そして、後発の『キャプリオGX100』は、GRよりもワイドな「24~72ミリ」の光学3倍ズームを搭載。もー、これだけでも楽しくなるよね。しかも、描写性能も妥協ナシ。広角端がたかだか38ミリなのにグワンとタル型歪曲収差が目立つカメラが多いなか、超広角に迫る24ミリをカバーしつつ、そういった点もバッチリ補正。さらに、別売のワイドコンバージョンレンズ(DW-6)を装着すると、19ミリの超広角撮影が可能になる。12段階設定できる7枚羽根構成の虹彩絞りとかも心憎い。当然、RAWモード撮影も可能ですがな(JPEG同時記録が可能)。

 ただし、レンズ保護が「キャップ着脱式」というのは痛い。24ミリからの3倍ズームで描写にもこだわった設計だから仕方ないけど、GRデジタルのようにバリア式が採用できたら、もっと軽快で使いやすいカメラに仕上がったはず。個人的には、24~48ミリの2倍ズームや、24ミリと50ミリの2焦点式などでもイイから、なんとかバリア式は採用して欲しかった。

 …とまあ、不満点もあるけど、24ミリの広角撮影は楽しいし、レンズ以外も楽しい点がいろいろある。アクセサリーシュー部を利用して装着する「着脱式液晶ビューファインダー」が付属するのも楽しいね。実際に装着して撮影してみる…。楽しい、楽しすぎるよ!! 現在、こんなコトを考案して製品化しちゃうメーカーって、たぶんリコーだけ(笑)。

 1200万画素、光学式手ブレ補正、高感度、顔認識。こういったトレンド機能は押さえてるけど、レンズは38~114ミリの3倍ズーム…。そんな平凡な高機能モデルよりも100倍は楽しいと思うね、キャプリオGX100のような“遊びゴコロを大切にしたモデル”は!

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望遠側でも4㌢まで寄れ、広角側なら1㌢まで寄れる。めいっぱいまで寄るケースは少ないが、その“余裕のマクロ性能”が作画意欲を高めてくれるんだよねー。 ◆リコー キャプリオGX100 24ミリ相当で撮影 Pモード f7.2 1/800秒 -0.3補正 ISO100 RAW