常用焦点域を広くカバーするAF28~300ミリF3.5-6.3XR Di VCは、キヤノンEOS5Dのような35ミリ判フルサイズ機に装着すると「広角から本格望遠まで、これ1本でOK!!」になる。ちなみに、ズームリングやフォーカスリングの動き・感触は良好!
タムロン初の「手ブレ補正搭載」。しかも、広角から本格望遠までカバーする高倍率ズームということで、そのブレ補正能力がクローズアップされる…であろう『タムロンAF28~300ミリF3.5-6.3XR Di VC / Model A20』。すでに何度か触れてるように、望遠域でファインダー画面がピタッと止まるのは、わかっていても感心するし、望遠撮影での安定感・安心感もグーンと高まる。
…でも、手ブレの心配が少なくなると、次はレンズの描写性能が気になってくる。そう、いくらブレてなくても、光学性能がメロメロだと話にならないからねー。なかでも、一般撮影で多用する28ミリ域と“高倍率ズームの真骨頂”である300ミリ域の描写性能は、特に気になる部分だよネ。使用ボディは、有効画素数1280万画素のフルサイズ機「キヤノンEOS5D」…というシビアな条件で、注目の高倍率ズームは、どんな描写を見せてくれるだろうか? まあ、人によって評価基準は違うだろうし、レンズはボクの私物だし…ということで、チェックの結果は、あくまでも参考までに!
まず、広角28ミリ側の描写だが、周辺部を除く画面の主要部分は、開放F3.5から素晴らしくシャープな描写を見せてくれる。かなり「キレのイイ描写」である。で、周辺部はと言うと、さすがに開放付近はアマさが目立つ。周辺部までピシッとシャープに見せたいなら、F8くらいまで絞りたいところ。まあ、「アマい」と言っても、像が流れたりはしてないので、さほど見苦しくはないけどサ。
望遠300ミリ側も、開放F6.3あたりは少しアマさが見られる。だが、こちらは「周辺部がアマい」といった感じではなく、全体的に少しソフトになる感じ。周辺部とかを見ると、少し色収差っぽさも見られるかなぁ。でも、ソフトさも色収差も、そんなに気になるレベルではない…と思う。F8以上に絞るとソフトっぽい感じはなくなるけど、広角28ミリのような「キレのイイ描写」まではいかない。それでも、事前に予想していたよりは高画質だったヨ。
もしかしたら、メーカーや機種による“特性の差”みたいなモノもあるかもしれないけど、ボクが見たEOS5Dとのマッチングは、なかなか良好だったね。「う~、この焦点域はメロメロだなぁ」というズーム域は見当たらなかったし、絞り値の違いによる「細部のアラ」も、ドカンと拡大してチェックする以外は、そう気にならなかったし…。
数㍍前のシャレた椅子を、300ミリでググッと引き寄せる。絞りは開放だが、周辺光量低下とか“ボケのクセ”などは、そう気にならなかった。 ◆キヤノンEOS5D 300ミリで撮影 Aモード f6.3 1/125秒 WB太陽光 ISO200 JPEG
色鮮やかな大小のカボチャが木箱にゴロゴロ…な場面を、広角28ミリで見下ろすように撮る。手前(画面下部)の端までシャープに見せるため、F11まで絞り込んでみた。 ◆キヤノンEOS5D 28ミリで撮影 Aモード f11 1/60秒 WB太陽光 ISO100 JPEG
背丈の高いパンパスグラスの穂を、望遠端300ミリの画角で切り取る。背後に広がる“黄色の葉”が、画面に彩りを与えてくれる。ボケ描写もイイ感じである。 ◆キヤノンEOS5D 300ミリで撮影 Aモード f8 1/100秒 WB太陽光 ISO100 JPEG