機材レポート

手軽な広角単焦点レンズを持って “懐かしの場所” へ『シグマ 19mm F2.8 DN』

OLYMPUS PEN-F+SIGMA 19mm F2.8 DN(撮影:吉森信哉)
「オリンパス PEN-F」ボディに装着した『シグマ 19mm F2.8 DN』。ソニーEマウント用とマイクロフォーサーズ用が発売中。メーカーの希望小売価格は2万4000円(税別)。

 現在、「標準レンズ」と言えば、標準ズームレンズを指すことが多いだろう。自分自身も、マイクロフォーサーズ用ではオリンパスの「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」を常用している。だけど、それはボディがフラッグシップモデル「OM-D E-M1 Mark II」の場合。それ以前から使っている「PEN-F」だと、大口径標準ズームは少々バランスが悪くなる。外観や重量のバランスもそうだが、ボディを持った際のホールド性もイマイチなのよね(三脚使用時に干渉するし)。でもなぁ、開放F値は「F3.5-5.6」とかじゃなくて、もう少し明るい方がイイよなぁ…。

 そこで、PEN-Fボディにマッチする “単焦点の標準レンズ” を探すことにした。…いや、ここでは「標準レンズ」ではなく「常用単焦点レンズ」と言った方がイイかも。一般的に、標準レンズと言えば “50mm相当* 前後” の画角を指すことが多い( * 35mm判換算)。だけど、自分は広角寄りの画角が好きなので、昔から35mmくらいの広角レンズを常用してきた。そう、写真を始めた高校時代からね。

 問題は予算。今回のレンズ購入資金は極めて限られている。「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8」だと実売価格4万円台くらいか。これは無理だなぁ。パナソニック「LUMIX G 20mm/F1.7 II ASPH.」は、もう少し安くて2万円台後半か。う〜ん、一眼レフ用 “50mm F1.8” 並のお安い35mm相当の広角レンズはないもんかねぇ…。

 あったヨ! それは『シグマ 19mm F2.8 DN』。画角は少し狭めの38mm相当だけど、まあヨシ。相当実売価格はおよそ1万5000円。キタッ!!(喜) しかも、ただ安いだけでない。“あらゆる設計要素を最高の光学性能と豊かな表現力に集中して開発。高水準の芸術的表現を叶える” というコンセプトで開発される「Artライン」に属する製品である。1万円台のレンズだけど、何だかワクワクしてきた。これは実写結果も楽しみっ!

OLYMPUS PEN-F+SIGMA 19mm F2.8 DN(撮影:吉森信哉)
付属のフード(LH520−03)を装着した状態。この19mmの鏡筒は、全体的に “つるん” とした印象。「MFリングが見当たらないなぁ」と思ったら、前方の “太めの鏡筒” がMFリングであった。

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OLYMPUS PEN-F+SIGMA 19mm F2.8 DN 作例(撮影:吉森信哉)
今回の “19mm日帰り旅” は、永福町駅からスタート。ここは、かつて住んでいた所の最寄り駅である。オリンパス PEN-F シグマ 19mm F2.8 DN 絞り優先オート F8 1/320秒 WB:オート ISO200

 よく晴れた晩秋の午後。「シグマ 19mm F2.8 DN」を装着したオリンパス PEN-Fを手に、京王井の頭線「永福町駅」に降り立った。ここ永福町は、自分が結婚する前まで、約10年間暮らした場所である。そういえば、ここを訪れるのも久しぶり(数年ぶり)だ。今住んでる所からそう遠くない場所なのに。まあ、昔住んでた場所ってそんなモンかもしれないね…。

 自分が住んでた頃とは違う、新しくて立派な永福町駅の駅舎(というか複合施設)。その屋上には「ふくにわ」と命名された屋上庭園がある。まずは、そこに行ってみよう。そこからの眺めは、特に “絶景” ではないけれど、開放的でとても気持ちがイイ。もちろん、秋晴れの天気のおかげもあるけど、庭園の植物や遠方の風景にレンズを向けるのが楽しい。遠くには、西新宿の高層ビル群も見える。

OLYMPUS PEN-F+SIGMA 19mm F2.8 DN 作例(撮影:吉森信哉)
オリンパス PEN-F シグマ 19mm F2.8 DN 絞り優先オート F8 1/200秒 −0.3補正 WB:晴天 ISO200 5184×3456ピクセル JPEG(※RAW現像データ)

OLYMPUS PEN-F+SIGMA 19mm F2.8 DN 作例(撮影:吉森信哉)
オリンパス PEN-F シグマ 19mm F2.8 DN 絞り優先オート F2.8 1/160秒 +0.7補正 WB:オート ISO200 5184×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

OLYMPUS PEN-F+SIGMA 19mm F2.8 DN(撮影:吉森信哉)
陽気がよければ、時間を忘れてぼ〜っと過ごしたい屋上庭園「ふくにわ」。ベンチも充実! でも、利用時間が「8:00〜19:00」と限られているのが残念。

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OLYMPUS PEN-F+SIGMA 19mm F2.8 DN 作例(撮影:吉森信哉)
永福町の駅前にある人気ラーメン店。この一角の景色は、昔と変わらないなぁ。オリンパス PEN-F シグマ 19mm F2.8 DN 絞り優先オート F5.6 1/200秒 WB:オート ISO200

 永福町駅から「井ノ頭通り」を吉祥寺方面に向かって歩き出す。永福町駅とは違って、この沿道風景は昔とあまり変わってない…ような気がする。赤みを帯びた夕方の光のせいか、何となく郷愁を覚えてしまうなぁ。途中から、交差する「荒玉水道道路」を右折。これは、かつての “帰宅ルート” だが、今回の目的地は、その先にある「大宮八幡宮」である。

 「シグマ 19mm F2.8 DN」は特に薄型の設計ではないし、開放F値も極めて平凡。だけど、この “38mm相当で開放F2.8” という仕様に、何となく親近感を覚えてしまう。これって、かつてコンパクトカメラ(フィルム)でお馴染みの数値だからね。そのため、目の前の風景や近くにあるモノを切り取る際に、特に違和感なく作画に入っていけそうな気がする。また、最短撮影撮影距離が「20cm」と短めなのも心強い。そう、この後に訪れる「大宮八幡宮」の境内とかでね。

OLYMPUS PEN-F+SIGMA 19mm F2.8 DN 作例(撮影:吉森信哉)
オリンパス PEN-F シグマ 19mm F2.8 DN 絞り優先オート F8 1/80秒 −0.7補正 WB:オート ISO200 5184×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

OLYMPUS PEN-F+SIGMA 19mm F2.8 DN 作例(撮影:吉森信哉)
オリンパス PEN-F シグマ 19mm F2.8 DN 絞り優先オート F8 1/800秒 WB:オート ISO200 5184×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

OLYMPUS PEN-F+SIGMA 19mm F2.8 DN 作例(撮影:吉森信哉)
井ノ頭通りから荒玉水道道路に入った所。この少し先に、かつて住んでいた建物がある。オリンパス PEN-F シグマ 19mm F2.8 DN 絞り優先オート F8 1/60秒 WB:オート ISO200

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OLYMPUS PEN-F+SIGMA 19mm F2.8 DN 作例(撮影:吉森信哉)
大宮八幡宮の表参道にて(二之鳥居前)。日没前の時間だったが、周囲は薄暗くて厳かな雰囲気に包まれていた。オリンパス PEN-F シグマ 19mm F2.8 DN 絞り優先オート F2.8 1/30秒 WB:曇天 ISO800

 荒玉水道道路を進むと、方南通りと交差する「大宮八幡前」交差点に出る。そこから、近くの和田堀公園に通じる通りに入ると、数十m先に「大宮八幡宮」の表参道入口がある。

 自分は、神社仏閣の風景や雰囲気が好きなので、永福町に住んでいた頃には、よくこの「大宮八幡宮」を訪れていた(近所だったからね)。そして、四季折々の参道や境内の写真を撮っていた。そうそう、この季節は境内の “色づいたイチョウ” が綺麗なんだよねぇ…って、まだ青々してるよ(苦笑)。だけど、境内には菊花展の展示があったり、提灯が灯り始める時間帯だったりして、なかなか良い雰囲気である。

OLYMPUS PEN-F+SIGMA 19mm F2.8 DN 作例(撮影:吉森信哉)
オリンパス PEN-F シグマ 19mm F2.8 DN 絞り優先オート F4 1/60秒 WB:晴天日陰 ISO500 5184×3456ピクセル JPEG(※RAW現像データ)

OLYMPUS PEN-F+SIGMA 19mm F2.8 DN 作例(撮影:吉森信哉)
オリンパス PEN-F シグマ 19mm F2.8 DN 絞り優先オート F2.8 1/13秒 WB:オート ISO800 5184×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

OLYMPUS PEN-F+SIGMA 19mm F2.8 DN 作例(撮影:吉森信哉)
オリンパス PEN-F シグマ 19mm F2.8 DN 絞り優先オート F2.8 1/13秒 −0.7補正 WB:オート ISO800 5184×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

OLYMPUS PEN-F+SIGMA 19mm F2.8 DN 作例(撮影:吉森信哉)
オリンパス PEN-F シグマ 19mm F2.8 DN 絞り優先オート F2.8 1/20秒 −1.0補正 WB:オート ISO800 5184×3456ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

 「シグマ 19mm F2.8 DN」の短い最短撮影距離を意識して、近くのナンテンの実や、展示中の菊花に接近する。また、提灯や灯籠の光を生かした画面構成を考える…。そんな事をしていたら、いつの間にか夜の帳が下りてきた。はいっ、これにて今回の “19mm日帰り旅” 無事終了!! 今度は、もう少し境内のイチョウが色づいた頃に来てみようかな。

OLYMPUS PEN-F+SIGMA 19mm F2.8 DN(撮影:吉森信哉)
「38mm相当のレンズ1本で大丈夫かいな?」…と、出かける前は少し心配だった。でも、実際に出かけてみたら、意外と大丈夫だった。