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フォトグラファーにとって魅力的な機能満載の液晶ディスプレイだ!「BenQ SW271」開発者インタビュー

フォトグラファーからのフィードバックを数多く反映したSW271

── 同じ画像をAdobeRGB、sRGB、モノクロに変えて比較して見ることのできるGamutDuo(ガンマデュオ)の機能が簡単に使えるのは驚きでした。

2台、3台のディスプレイを使って画像を見比べた場合、色が異なって見えることがあります。SW271は同じ画面の中で2つの画像を表示できるので、それぞれにキャリブレーションをする手間がないですし、別のモニターを買う必要もありません。フォトグラファーからこうした機能が必要だという意見が数多く寄せられたことから、搭載することになりました。

 

GamutDuo(ガンマデュオ)
Adobe RGBモードとsRGBモードの異なる色空間のコンテンツ、さらにモノクロ画像を横に並べて同時に表示できるGamutDuo機能。PIP/PBPモードに切り替えるだけのお手軽操作で有効にすることができるというのも便利。

▲Adobe RGB(左)とsRGB(右)を同時表示
▲モノクロ(左)とsRGB(右)を同時表示

 

── モノクロモードでは一瞬で表示がモノクロに切り替わるので、仕上がりをイメージしやすいですよね。

モノクロモードを活用することで、作業時間の短縮にもなります。フォトグラファーのヒアリングで、モノクロで撮影している方が少なくないということでしたし、そういう方には便利な機能だねと評価していただいています。

 

── モノクロモードも3段階あるんですよね。

シャドー部とハイライト部のディテールの再現が異なる3モードを搭載しています。モノクロモードはSW2700PTでもいい反響を得ていました。そのときは1モードだけだったため、ディテールの見え方が違うようなモードを設けてほしいというフィードバックが、フォトグラファーのほうから結構あったようです。

 

モノクロモード
3つの異なるモノクロプリセットを選んで、プレビューすることができるモノクロモード。OSDコントローラーを使えば、ワンクリックで表示をモノクロモードに切り替えることができる。編集する前にモノクロのイメージを確認できるので、作業効率も高まるはずだ。

▲元画像
▲モノクロモード・レベル1で表示
▲モノクロモード・レベル2で表示
▲モノクロモード・レベル3で表示

 

── SW271にはユーザーからのフィードバックが数多く盛り込まれているわけですね。

そうです。BenQではフィードバックを受け入れる環境が整っており、今の機能で足りない部分だったり、さらに求められる機能だったりをダイレクトに教えていただける環境があります。だからユーザーのフィードバックを製品に反映することができるのです。

 

── 色に関しては、日本のマーケットは特殊だとよく言われますが、それについてはどのようにお考えでしょう。

日本のユーザーは、表示装置に求められている水準が非常に高いというのを強く感じます。また日本人の色に対する理解度、ハードウェアキャリブレーションや色の再現性についての知識は、他国と比較すると非常に深いと思います。海外では、プリセットのままで使っている人も少なくありませんが、日本のユーザーは、2週間〜1か月に1回程度キャリブレーションをしている人が多いのです。こうした点も大きな違いだと感じています。

 

── ユーザーからのフィードバックを反映して搭載された機能はほかにもありますか?

SW271では、ベゼルのカラーやモニターの表面の色を黒ではなくグレーっぽい配色を採用してます。これもユーザーの意見を反映したものです。映像を表示したときにベゼルの黒色がうるさく感じたり反射することがあるためです。

 

将来性を見据えたSW271

── MacのThunderbolt対応やUSB Type-C対応など、将来性を見込んだ機能も数多く搭載されていますね。

HDMIケーブルやディスプレイケーブルなど、機器の接続が新しい方向に向かっています。各社のノートパソコンやタブレットでも新しい接続を採用されてきていますし、今後は絶対条件になってくるでしょう。そうした状況を見越しての採用です。

 

SW271のインターフェイス
SW271は、ディスプレイ下部にHDMI端子を2基、USB Type-C端子を1基搭載する。またディスプレイ背面にはSDカードスロットとUSBポートを搭載して、高い拡張性を備えている。

▲ディスプレイ下部のコネクター。
▲ディスプレイ背面のコネクター。
▲USB Type-Cポートにより、対応機器の接続がケーブル1本でできる(電源供給には未対応)。
▲AppleのThunderboltに対応し、ケーブルも同梱されている。

 

── さらに大型のディスプレイを開発する計画はあるのでしょうか?

いろいろな調査の結果、ハードウェアキャリブレーション対応のディスプレイに関しては、35型がもっとも大きなサイズであると理解しています。ですから、これ以上の大型化は必要ないと考えています。サイズが大きくなるほど省スペース化もできませんから。だからというわけではありませんが、24型のハードウェアキャリブレーション対応ディスプレイ SW240を2018年2〜3月ごろのタイミングで投入することを計画しています。

 

── 最後に日本のユーザーに向けてコメントをお願いします。

SW271が、ハードウェアキャリブレーション対応ディスプレイ導入のきっかけになればと思っています。ハードウェアキャリブレーションのできるディスプレイがあって、それが表示する色がスタンダードであり、本来の色であるということを忘れないでください。SW271は間違いなくそれを提供することのできる液晶ディスプレイです。フォトグラファーには正しい色を見る環境を整えていただきたいのです。

 

BenQ SW271 主な仕様


サイズ 27型ワイド(アスペクト比16:9)
パネル IPSパネル(LEDバックライト)
解像度 3840×2160 (4K UHD)
視野角 上下178°/ 左右178°
広色域表示 AdobeRGBカバー率99%
表示色 フルカラー約10億7000万色
輝度 350cd/㎡
コントラスト比 1000:1(DCR 2000万:1)
応答速度 12ms(GTG 5ms)
入力端子 HDMI2.0×2、DisplayPort 1.4×1、USB Type C×1(電源供給なし)、ヘッドフォンジャック×1
USB端子 USB3.1対応:ダウンストリーム×2、アップストリーム×2(USB Type C×1, Type B×1)
スロット SDメモリーカードスロット
HDR 対応
高さ調整 可能
ピポット調整 可能
外形寸法 幅613.8×高さ504.49~610.95×奥行き213.43mm
本体重量 約9.3kg(遮光フードを除く)/約10.5kg(遮光フードを含む)
保証期間 3年保証(パネル、バックライトを含む)
付属品 ドライバーDVD(マニュアル・クイックスタートガイドなど)、電源ケーブル、HDMIケーブル、miniDP to DPケーブル、USBケーブル、USB Type-Cケーブル、保証書

 

〈取材・撮影〉柴田 誠

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