応用テクニック①
水滴をメインに撮りたいときは、雨上がりを狙う
降雨時は水滴が膨らんでは次々と落ちてしまうが、雨上がりなら水滴が安定してついているので写しやすい。水滴がついた“花”としてアジサイをクローズアップするのもいいが、花についた“水滴”をメインにしてみるのもいいだろう。マクロレンズで迫れば、水滴を大きく写せるし、角度によっては花びらの色を映しこんだ、美しい姿を写すことができる。
水滴を主役にしつつもアジサイの個性も生かす
マクロレンズで迫れば、撮影倍率が高まり、水滴が主役の写真になる。ピントは水滴の表面に合わせるが、AFでは合いにくかったので、ここではMFで合わせている。また、ピントのピークがつかみにくいので、ライブビューで水滴を拡大して合わせた。アジサイだとわかる程度に花を入れ、画面の対角線を生かしてフレーミング。さらに、ホワイトバランスを4600Kにして少し青みを足した。
120ミリ相当 絞り優先オート(F2.8 1/500秒) -0.3補正 ISO200 WB:4600K
応用テクニック②
暗い背景とスローシャッターを選んで降雨を取り込む
降雨時の撮影は傘を差したり、機材をぬらさないように注意を払ったりと何かと面倒だ。しかし、降雨のときしか撮れない特別な写真になる。雨は噴水や滝と同じように、シャッター速度を遅くすると白い線のように写って、より降雨感が出る。また雨は白く写るので、背景が明るいとそこに溶け込んでしまう。暗い背景を選ぶと降雨が際立って効果的だ。
シャッター速度1/40秒で雨の線を長く描写する
木の陰になった部分を背景に広めにフレーミングして降雨を写した。雨は動く被写体なので、シャッター速度優先オート(S、Tvモード)で1/40秒を選択した。これよりも速いシャッター速度だと雨の線が短くなり、遅くすると被写体ブレの可能性が出てくる。また、焦点距離が長いほど画角が狭くなり、速めのシャッター速度でも線が長く写る。雨の中に咲くアジサイ写真に仕上がった。
150ミリ相当 シャッター速度優先オート(F5 1/40秒) -1.3補正 ISO200 WB:晴天
日本独自の四季を表現できる絶好の時期こそが梅雨。今年は、梅雨らしい演出を加えた一枚を撮りに行きたくなりますね。
写真・解説/吉住志穂