応用テクニック
一輪狙いは縦位置構図が基本、横位置では左右にできる空間をきれいな色やボケで埋める
ハナショウブは茎が長いので縦位置の構図がはまりやすい。茎を含めて一、二輪程度を狙うなら、縦位置で構図を作ってみよう。しかし、花だけを見れば横広がりなので、アップなら横位置もいい。左右に脇役を入れるなら、引いて撮る場合も空間を埋めることができる。
周囲の花々のボケを空いた空間に
花自体が横広がりなので横位置構図も合うが、茎を入れると縦長になるので茎のほとんどを前ボケで隠した。左右の空間を埋める要素として、周囲の花々を脇役としてぼかしすぎない程度に加えた。
背景の木漏れ日のボケと花の高さが生きる縦構図
上の写真は周囲から高く飛び出した花を狙った。茎から花にかけて縦長なので縦位置構図に当てはめた。画面上部には木漏れ日のボケを入れて空間を埋めている。下の写真は花を見上げ、茎の下から花の先まで入れているので、こちらも縦位置構図がはまる。どちらも横位置だと左右の空間が間延びしてしまう。
応用テクニック
水面の映り込みだけを切り取って不可思議な写真に仕上げる
水辺では、水面の映り込みがないかも見てみよう。映り込みを狙うときは、ピントは水面ではなく映り込みに合わせる。うまく合わない場合はMFを使う。花そのものと映り込みの両方を収めた写真をよく見るが、映り込みだけを写すのも面白い。天地が逆さまになったり、シャープなのに部分的に揺らいでいたりと不思議な仕上がりになる。
ハナショウブの映り込みを探すなら、なるべく低い位置から狙うと花から茎まで写せる。しかし、水底の土の色によって色彩が濁っている。
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ここではホワイトバランスの色温度設定で3500Kに合わせて、青みを足した。色が乗って幻想的になった。ただ映り込み以外の杭や茎などが説明的。
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ホワイトバランスで青みを足し、映り込みだけを切り取って、完成
説明的な杭や茎などをフレームアウトして、さらにプラス2.3の露出補正を行って明るくする。そして、映り込んだ描写にしっかりピントを合わせて撮影。水面が茶色かったとは思えないほど澄んだ色に仕上がった。
150ミリ相当 絞り優先オート(F2.8 1/160秒) +2.3補正 ISO200 WB:3500K
ハナショウブは群生でも一輪でも、写真での見せ方はさまざま。ハナショウブの長い茎を生かした撮影テクニックを身に付けたいですね。
写真・解説/吉住志穂