外出が億劫になるだけでなく、機材がぬれるので撮影をしない人も多いだろう。しかし、雨の日だからこそ、雨上がりだからこそ撮れる写真がある。ここでは雨天ならではの撮り方を、その道のプロに聞こう。
雨の日のスナップ撮影では、町並みや歩行者を主題にしつつ、副題として雨天ならではの被写体を取り入れるのが効果的だ。例えば、傘や長靴などの雨具、ぬれた地面の反射、付着した水滴など。撮り方としては、被写体ブレを避けるため、高感度を積極的に利用したい。
ハイアングルを選択して傘や地面をパターンとして表現する
傘は雨の日のモチーフとしては最適だ。特に高い位置から見下ろすアングルを選ぶと、傘の造形が生きてくる。上の写真は、高層ビルの展望室から捉えた横断歩道の様子だ。カラフルな傘や服が多くなった瞬間に連写し、最もバランスのいい位置に歩行者が並んだカットを採用した。晴天時に撮影しても、傘という花がないと、このパターン的な面白さは得られない。
105ミリ相当 マニュアル露出(F5.6 1/320秒) ISO1600 WB:太陽光
横断歩道に限らずタイルや石畳など地面に模様があると絵にしやすい
同じくハイアングルから撮影。ほかの歩行者など無駄な要素を画面外にカットしたことで、傘と長靴の色彩感が際立った。こうした石畳や横断歩道といった路上の幾何学パターンは、雨天+ハイアングルが似合う場所といえる。
64ミリ相当 絞り優先オート(F2.8 1/800秒) ISO1600 WB:太陽光
雨の日だからこそ撮れる写真がある。色とりどりの傘。この景色は雨の時にしか撮影できない。一度たりとも同じ写真が撮れないその面白さにはまってしまいそうですね。
写真・解説/永山昌克