今まで一度も撮影したことがない人でもイチからスタートできる飛行機撮影の要点を、達人 ルーク・オザワさんに教えていただきました。
「飛行機撮影は一度やったらやめられないほど魅力的。まずは身近な空港に足を運んでみよう」
まずは望遠ズームとカメラを持って、手近な飛行場に出かけてみよう。飛び立ち、舞い降りる姿のカッコよさを感じたら、その魅力的な姿を写し止める撮影にチャレンジ。きっと飛行機撮影の面白さを、すぐに実感してもらえると思う。
旅客機を優美に写す方法には、7つのポイントがありました。4回に分けて、ご紹介いたします。
1回目の【飛行機の撮り方①】飛行機を優美に写す7つの撮影ポイントでは、「おすすめ撮影スポット」と、「撮影時のカメラの設定のポイント」をご紹介いたしました。今回は2回目になります。
Q3.ピントはどこにどう合わせたらいい?
-Answer-
ゾーンAFなどエリアで捉えるAFでコックピット付近に合わせよう
現行の一眼カメラの高性能なAFと高速連写を駆使すれば、飛んでいる旅客機にしっかりピント合わせし、ベストの瞬間で捉えることが可能だ。僕はEOS 7D MarkⅡの場合、AFエリアモードは「ゾーンAF」を主に使用し、コックピット付近にピントを合わせるようにしている。連写は最高速の10コマ/秒だが、連写し続けるのではなく「ココ!」という狙いの位置の前後で短く連写。撮影時に自分の狙いをハッキリさせるためだ。また、広角で風景と絡めて撮影する場合は、マニュアルで無限遠への「置きピン」が有効だ。
望遠の場合はゾーンAFでコックピット付近に
ゾーン AFを画面左上に設定し、 747の機首付近で被写体を捕捉して連写したカット。APS-Cタイプの広い測距点配置はこうしたケースでも便利だ。
キヤノンEOS 7D MarkⅡ EF300ミリF2.8L IS Ⅱ USM 絞り優先オート F10 1/1600秒 -0.3補正 ISO200 WB:オート
ゾーンAFのゾーンを適切な位置で選択すると、バランスのいい構図で狙いやすくなる。
広角の場合はマニュアルで無限遠に置きピンする
新緑の樹林の向こうから飛び出してきた瞬間をジャストタイミングで撮った。こうした広角での撮影では、MFで無限遠に置きピンして構図を決め、そこに飛行機が飛び込んでくるのを待って撮るのが有効だ。
キヤノンEOS 7D MarkⅡ EF24~105ミリF4L IS USM マニュアル露出 F5 1/800秒 ISO320 WB:オート
Q4.飛行機をカッコよく写せる光の条件は?
-Answer-
順光・逆光・照り返しなど光の状況をよく観察して「いい光」で撮ろう
どんな撮影ジャンルでも「光線」を生かすことが重要だが、飛行シーンの撮影では、光線次第でその見え方・写り方が劇的に変化する。だから、常に今どんな光線の状態なのかを観察したり、撮影ポジションによって光に照らされた飛行機がどう変化して見えるかを考えることが大切だ。例えばここに掲載したのは、同じシーンで続けて撮った2枚だが、下のカットは海面からの照り返しで、機体の下面が明るく照らされて、質感高く写せている。ベストの光を探して写せるようによく観察して撮ろう。
△ 海面から(下から)の光がない状態
↓
○
海面からの光で機体下面が美しく照らされたカット
陸の上を飛んでいた飛行機(上写真)が、洋上に出たところで海面からの照り返しにより機体が美しく照らされた。こうした光の状況を読んでうまく利用することが、美しい飛行機写真への道だ。
キヤノンEOS 7D MarkⅡ EF100~400ミリF4.5-5.6L IS Ⅱ USM 絞り優先オート F6.3 1/160秒 -0.7補正 ISO250 WB:オート
Profile
達人 ルーク・オザワ
1959年2月 東京生まれ。ヒコーキと向き合って45年、今や航空写真第一人者。風景とヒコーキをシンクロさせた情景的ヒコーキ写真を確立。時に神がかり的な絵創りは見る者に感動を与えている。著書に『JETLINER』シリーズ(イカロス出版)、『ルーク・オザワのヒコーキ写真の撮り方』(誠文堂新光社)がある。
撮影:ルーク・オザワ