観測史上初の6月中の梅雨明けで、すでに猛暑が続いております。今年の夏は長くなりそうですね。今回ご紹介するのは、暑い夏の象徴でもある「ひまわり」。夏の暑い太陽の光を浴びたヒマワリをステキに撮影するテクニックをご紹介いたします。
太陽の方向に顔を向けることから「向日葵」と書くヒマワリは、その情熱を正面から受け止めて撮影に臨みたいものです。太陽との相性バツグンなので、晴天時に狙いましょう。
ヒマワリ写真でよくある失敗 ×
黄色や緑の鮮やかさが物足りず下向きのヒマワリで元気もない
ヒマワリといえば目の覚めるような鮮やかな黄色が印象的だが、この写真はその色がいまいち冴えない。また、ヒマワリが下を向いていて、どこか寂しげなイメージだ。
ここが残念 ×
① 色が薄くてインパクトが弱い → 解決法①
② 夏の強い日差しが生かされていない → 解決法②
③ 図が中途半端 → 解決法③
晴天の順光やトップライトで撮る。ヒマワリの向きと光線を意識してポジションを決める
順光やトップライトならヒマワリにしっかりと光が当たり、青空に黄色が映える爽やかな風景となります。逆光だとヒマワリがシルエットとなり、空色が薄くなりがちですが、光芒を入れて夏の光を生かす方法もあります。晴天時は、ヒマワリの向きと光線を意識してポジションを決めることが大切です。
曇天時は、晴天時のようなメリハリは出ないので、質感描写に向いています。やや俯瞰気味に遠景を狙ったり、背景に森を入れてアップにしたりと、曇り空が目立たないように工夫しましょう。
残念ポイント①色が薄くてインパクトが弱い
【解決法①】仕上がり設定は「風景」モードを選んで鮮やかな色とメリハリをつける
黄色が鮮やかなヒマワリは、夏の強い日差しがよく似合う。落ち着いた描写の仕上がり設定よりも、メリハリのある鮮やかな設定のほうがヒマワリには最適だ。コントラストが高く、彩度も高めの「風景」や「鮮やか」「ビビッド」モードなら、ヒマワリらしい華やかな描写に仕上げられる。
スタンダード
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風景
風景モードで夏らしい鮮やかさを出す
風景モードにすると青空の深みが増し、ヒマワリの黄色を一段と鮮やかに見せることができた。メリハリがある描写なので、夏らしい強いコントラストを生かしやすい。スタンダードは自然な雰囲気だが、夏の花としては物足りない印象である。
残念ポイント②夏の強い日差しが生かされていない
【解決法②】トップライトでは夏らしい華やかさ演出。逆光では太陽をワンポイントに入れよう
夏の花であるヒマワリは、トップからの光がよく似合う。青と黄色、さらに入道雲の白色のコントラストを生かすには、PLフィルターの活用が欠かせない。ヒマワリの向きによっては逆光となることもあるだろう。そんなときは、積極的に太陽を画面に入れて、夏らしい強い光を感じさせるのも手だ。
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夏の強い光を太陽で表現
逆光でヒマワリを撮ると、青空がかすんで冴えない色となり、ヒマワリの黄色も淡い色になってしまいがち(上写真)。そこで、広角レンズで太陽の光芒をワンポイントとして生かし、夏の強い光が降り注ぐようなイメージにした。
17ミリ相当 絞り優先オート(F11 1/640秒) +0.7補正 ISO200 WB:晴天 PLフィルター
トップライトによって黄色や青の発色がまぶしい
夏のトップライトにより、ヒマワリの上方から光が当たっている。花の下部に適度な陰影が出て、夏らしい強い日差しが感じられる仕上がりだ。黄色は輝き、青空の深みも出て、白い雲とのコントラストも美しい。
22ミリ相当 絞り優先オート(F11 1/80秒) ISO200 WB:晴天 PLフィルター
残念ポイント③図が中途半端
【解決法③】曇天時はロングで群生としての広がりを、アップで花の存在感を生かそう
晴天時はヒマワリに近づいて広角レンズで撮ると青空を生かせるが、曇天時に広角レンズを使うと曇り空が目立ってしまう。曇天時は離れた所から望遠レンズでスケール感や広がりを生かしたり、近づいて花をアップにしたりするとヒマワリの存在感が引き出される。
俯瞰気味に望遠で狙って曇り空をカット
ヒマワリ畑を見渡せる高いポジションを選び、やや俯瞰気味に望遠レンズで切り取ることで、空はカットできて花畑の広がりも見せられる。離れた所から望遠レンズで狙うことで圧縮効果が生き、ボリューム感も引き出せた。
195ミリ相当 絞り優 先 オート(F11 1/100秒 ) - 0.3補正 ISO200 WB:晴天 PLフィルター
杉林を背景にアップで迫る
頭ひとつ飛び出したヒマワリが存在感を放っていたので、望遠レンズで近づいてアップにした。背景は杉林を多く見せ、曇り空も少し見せることでヒマワリらしい明るい雰囲気が出るように仕上げた。
300ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/100秒) +0.3補正 ISO200 WB:晴天 PLフィルター
「夏と言えば、ひまわり!」というほど、夏にピッタリの花。ひまわりを撮影する時のテクニックは、色鮮やかな「黄色」と一緒に「暑さ」も表現すること。ひまわりの向きと太陽の光を意識しながら撮影してみましょう。
写真・解説/深澤 武