観測史上初の6月中の梅雨明けで、すでに猛暑が続いております。今年の夏は長くなりそうですね。今回ご紹介するのは、暑い夏の象徴でもある「ひまわり」。夏の暑い太陽の光を浴びたヒマワリをステキに撮影するテクニックをご紹介いたします。
ヒマワリ畑では花が密に咲いているところを狙う。入道雲が湧いてきたら画面のポイントに取り入れる
ヒマワリは大柄で華やかな花なので、風景的に狙っても、アップにしても絵になる被写体です。見た目が鮮やかなのでどこを撮っても絵になりそうですが、ヒマワリ畑では場所によって花数に差があります。なるべく密に咲いている所を狙うとボリューム感を出せ、華やかさもアップします。 一輪、または二輪のヒマワリをアップにすると、花の存在感を生かせます。その際は、青空を広めに見せることで夏らしい開放感を狙ってみてください。入道雲がもくもくと成長するような晴天の日に撮影できればベストです。入道雲が湧いてきたら、画面のワンポイントとして生かすとグッドです。
基本テクニック
ヒマワリが正面向きポジションを基本として撮影する
生育期のヒマワリは一日のうちで東から西へと向きを変えるが、成長すると皆同じ方向を向いて動かない。このため、ヒマワリ畑を撮影する際は、正面からひまわりと向き合えるポジションを選ぶことが大切だ。その上でアングルを変えながら撮影すると、変化に富んだヒマワリの表情を捉えられる。
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朝焼け空とヒマワリの群生を広角レンズで撮影した。ヒマワリが反対向きなので、背を向けられた感があって残念である。
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ローポジション+広角レンズで近づいて迫力を出す
ローポジションから広角レンズで見上げるように撮影すると、夏らしい青空を生かしやすい。また、花に近づくことでヒマワリの迫力も出せる。ヒマワリと山、雲などがバランスよく収まるよう、フットワークを生かして手持ちで撮影した。
22ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/250秒) -0.7補正 ISO200 WB:晴天 PLフィルター
アイレベルならヒマワリの背景に入道雲が来る
ヒマワリの高さは人間の背丈と近いため、ミドルポジション(アイレベル)から撮影すると、背景の入道雲をヒマワリのすぐ上に捉えられる。標準域のレンズで撮影するとヒマワリと雲を適度な大きさで捉えられるので迫力を出しやすい。
40ミリ相当 絞り優先オート(F16 1/60秒) +0.3補正 ISO200 WB:晴天 PLフィルター
応用テクニック①
青空とヒマワリの比率を考えフレーミング
ヒマワリの黄色に対して、青空の青は補色の関係にあるため、青空を背景にするとヒマワリの黄色はよく映える。肉眼では空一面の青空は気持ちがよいが、写真にすると単調になりがちなので、ヒマワリを広く見せるのが基本だ。青空を広く見せたいときは、雄大な入道雲や背の高いヒマワリなどをアクセントにしよう。
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雲ひとつない青空は見た目にはきれいだが、青空半分、ヒマワリ半分の構図だと、空の部分が単調でインパクトが出ない。
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こちらは、背の高いヒマワリに隠されて青空があまり目立たない。青空を生かすというより、ヒマワリを主張した作画だ。
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安易に空を入れずにヒマワリを大きく捉える
背景に山が見えるポジションを選び、青空をすっきりと見せることで気持ちのよいヒマワリ風景に仕上がった。青空に雲がないときは、空が多すぎず、少なすぎず、2~3割程度に見せるのが定石だ。
29ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/100秒) ISO200 WB:5000K PLフィルター
応用テクニック②
花単体をアップで狙うときは無駄な空間ができないようにする
大柄で目立つヒマワリをワンポイントにするときは、横位置で狙って青空を広く見せると広がりが出る。このときヒマワリを大きく見せ、主役と脇役とで上下左右のバランスを取ることも大切だ。ヒマワリは存在感があるので日の丸構図で力強く見せることも可能だが、左右に無駄な空間があると散漫になるので注意しよう。
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山とヒマワリを対角に置くと画面のバランスがとれる
×写真のように、ヒマワリと山がともに左に片寄ってしまうと、右側に空間ができて散漫になる。ポジションを左に移動すると、ヒマワリの左側に山を見せられ、左右のバランスが整った。
左右対称で無駄をなくした構図
2本のヒマワリが仲良く並んでおり、左右対称で見せることで兄弟のような雰囲気に仕上げた。2本のヒマワリを画面いっぱいに見せることで華やさが伝わってくる。青空を生かすためにやや見上げるようなアングルで撮影した。
29ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/100秒) ISO200 WB:5000K PLフィルター
ひまわりを撮影する際は、背景の空や雲、山を比率やバランスを考えながらフレーミングすることで主役のひまわりを際立たせることができます。ひまわりの夏の快活さが伝わるような写真撮影ができたらいいですね。
写真・解説/深澤 武