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【ヒマワリの撮り方③】ある時間帯にするとドラマチックなひまわりが撮れる

観測史上初の6月中の梅雨明けで、すでに猛暑が続いております。今年の夏は長くなりそうですね。今回ご紹介するのは、暑い夏の象徴でもある「ひまわり」。夏の暑い太陽の光を浴びたヒマワリをステキに撮影するテクニックをご紹介いたします。

 

 

輝度差が激しいので階調補正やHDR、ハーフNDフィルターなどを活用して撮る

朝日や夕日に照らされたヒマワリ畑はドラマチックです。黄色い花が朝日や夕日に染まると、一段と色が深まって印象深い作品になります。ただ朝夕のような輝度差が大きいシーンは、写真には捉えづらいもの。階調補正機能やHDR機能、そしてハーフNDフィルターなどを活用することが欠かせません。それぞれ一長一短あるので、目的に合わせて使い分けることが大切です。

また太陽の光が強く、それを逆光で狙うと、ゴーストやフレアが出やすくなります。大気の層が厚い日没直前に撮影したり、雲で適度に光が弱められたりする瞬間を狙いましょう。太陽が画面外にあるときはハレギリも有効なので、黒い厚紙などをカメラバッグに用意しておくと便利です。

 

基本テクニック

夜明けの月を入れてヒマワリ畑のスケール感を表現する

標準から広角レンズで撮る月は小さく、相対的にヒマワリを大きく見せられるのでスケール感を出しやすい。夜に月を生かすにはヒマワリ畑をLEDなどで照らさないとならないが、朝夕の光を生かせば自然光で撮ることができる。また、夜明けや夕暮れの雰囲気も生かせる。

 

左写真:夜明けの月をワンポイントで入れたが、日の出10分前で明るくなってきたので月が目立ちにくい。
右写真:月が沈んでしまうとワンポイントがなくなり、スケール感は弱くなる。夜明けらしい美しい空色も失われている。

 


夜明けらしい美しい空色と月のアクセントがヒマワリ畑を盛り上げる

日の出30分前の空が明るくなり始めるころ、月をワンポイントにしてヒマワリ畑のスケール感を引き出した。月が夜明けの空に輝くイメージとなり、薄く赤みがかった青い空色が夜明けの雰囲気を増幅してくれた。

20ミリ相当 絞り優先オート(F16 30秒) +0.7補正 ISO800 WB:5000K

 

 

応用テクニック

HDR機能やハーフNDフィルターを使って夕空の色を引き出す

朝夕のシーンにおいて、白とびしがちな太陽の描写を改善するには、HDRのような階調補正機能、またはハーフNDフィルターの活用が必要だ。HDRはゴーストが出にくいのがメリットだが、合成なので被写体が揺れたり、手持ちで撮ったりすると画像のズレによってにじみが出る場合がある。ハーフNDフィルターは被写体が揺れても自然なブレ感に仕上がるのがメリットだが、光が強いとゴーストが出やすく、明暗の境界が直線でないと使いづらい。

 

ハーフNDフィルター

 

▼HDRを使う

HDR機能を使うときは三脚を使って、風がやむ瞬間に撮影する

HDR機能を使わないと太陽周辺が露出オーバーになり、太陽の存在がわかりにくい。HDRを使うとハイライトの描写が改善されて、太陽の輪郭がくっきりとした。ただHDRは数枚の画像を合成するので、手持ち撮影だと像が二重になってにじんでしまった。HDR撮影では三脚を使って、風が止む瞬間に撮影することが大切だ。

 

▼ハーフNDフィルターを使う


ハーフNDなし
ヒマワリ畑に露出を合わせると夕焼け空は露出オーバーになってしまい、夕焼け色が失われてしまった。

 


ハーフND8を使用

NDの境界部を畑と空との境いに重なるようにセット

ハーフND8を使って夕焼け空を3段分減光すると、夕焼けらしい橙色を引き出せた。ファインダーを見ながらNDフィルターの境界部がヒマワリ畑と空との直線部に重なるようにセットする。不自然な暗部が出ないよう、位置合わせは慎重に行いたい。

42ミリ相当 絞り優先オート(F11 1/100秒) ISO800 WB:5000K

 

夏の日差しをさんさんと浴びた元気なひまわりを撮影することが多いかと思いますが、朝日や夕日などの趣のある空とのコラボレーションも、ひまわりに味わい深さを醸し出すことが可能になります。空の色をしっかり引き出したい場合は、HDR機能やフィルターなどを使って撮影してみましょう。

 

写真・解説/深澤 武