応用テクニック①
光が乏しい曇天時は、画面奥に霧を入れて奥行きや夏山らしさを出す
曇天時は青空がなく、広がりを出すことが難しい。曇り空が目立つと写真が弱くなるので花畑の部分を切り取ることが多いからだ。このため平面的な写真になりやすいが、霧が出てきたらチャンス到来である。背景に霧を見せると遠近感が出て、高山に咲く花畑の広がりを生かしやすい。
花畑だけだと単調だが、霧を入れると遠近感が出た
クルマユリやハクサンフウロが咲く草原の花畑。花々を大きく見せるのがセオリーだが、花畑だけだと単調である(左写真)。背景に広がる霧をフレーミングすると、緑と白の色の変化がつき、遠近感が出て花畑の広さも生きてくる。
53ミリ相当 絞り優先オート(F11 1/20秒) ISO200 WB: 晴天 PLフィルター
応用テクニック②
高さのある花の特徴を生かしてローアングルで狙って青空と絡める
夏の高原にはニッコウキスゲやシシウドのような背の高い花も見られる。特にニッコウキスゲは高原を黄色く染める人気のある花だ。遊歩道から漫然とレンズを向けるのではなく、花の色や形を生かせるように近づいて撮影したい。ローアングルから夏空や夏雲を背景に撮ると季節感が出て、夏山に咲く花らしさを生かせる。
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遊歩道を歩いていて目に留まったニッコウキスゲと夏雲の風景。感動に任せてシャッターを切っても花が小さいと目立たない。
20ミリの超広角レンズで青空を大きくフレーミング
ニッコウキスゲを引き立たせるため、遊歩道のすぐ脇に咲く形のよい花を探した。ローアングルから超広角レンズで花に近づき、青空を大きくフレーミングすると夏の高原らしい広がりが出る。形のよい夏雲が現れたタイミングでシャッターを切った。
20ミリ相当 絞り優先オート(F11 1/125秒 ) + 0.3補正 ISO200 WB:晴天 PLフィルター
山岳風景を入れた花畑を撮る時は、広角レンズや標準レンズが最適です。広角レンズを使用し、広大な風景や、青い空などを構図に含めて、季節感のある夏らしい撮影を試みましょう。
写真・解説/深澤 武