今週末の7/28の早朝(欠け始めはAM3:24頃)に、皆既月食が起きます。この自然現象を上手に撮るために、しっかり月の撮影について予習しておきましょう!わかりやすくQ&Aにまとめました。露出や必要なレンズ、望遠鏡を使っての撮影方法、軌跡撮影のコツなどについてご紹介いたします。この先、皆既月食に続く天体のイベントも盛りだくさん。楽しみです。
Question.1 月を大きく撮るにはどの程度の望遠が必要?
Answer. 月を画面いっぱいに撮ろうとするなら35ミリ判相当で2000ミリ以上の望遠が必要になってきます。
月は地球の近くにあり、肉眼でも大きく見えるが、写真の画面いっぱいに月を捉える場合は、2000ミリ以上の望遠が必要。センサー上の大きさでいうと、50ミリでおよそ1㎜、1000ミリで20㎜程度に写せるが、フルサイズセンサーのサイズが36×24㎜なのでこれでも画面に余裕がある状態だ。2000ミリ以上で撮るには、超望遠レンズにテレコンを付ける、望遠鏡を用いる、デジタルズームを使うといった方法がある。手軽に撮るなら、高倍率ズームコンデジを使う方法もある。
超望遠レンズにテレコン装着でも2000ミリには届かない
上のタムロンSP150~600ミリなどの登場で超望遠が身近になってはいるが、さすがにテレコンを使っても2000ミリには届かず、カメラ用レンズでは1000ミリ程度が実質的な限界。一眼カメラを使用して月のドアップを撮るためには、天体望遠鏡が必要になってくる。
1000ミリならかなり大きく撮れる
この写真は400ミリで撮影。この程度では、まだまだ物足りない。最上段の写真は超望遠レンズにテレコンを装着して1000ミリで撮影。かなり大きく撮れた。一般向けの交換レンズでは、この程度が実質的な限界で、2000ミリは特殊なレンズか天体望遠鏡が必要だ。
Question.2 月撮影に必要な機材にはどんなものがある?
Answer. 月はほぼ地球上の昼間の地面と同じ明るさ。満月なら1/60秒以上のシャッター速度で撮れ、中型三脚があればOKです。
月をアップで撮るには超・超望遠が必要になるものの、月には太陽の光が直接当たっているためかなり明るく、 ISO400程度でも1/60秒以上で撮影できる。そのため、中望遠程度までは手持ちでも撮影可能だ。ただ、望遠域や超望遠域ではさすがに手持ち撮影は難しく、中型三脚程度は必要。カメラは、一般的な一眼カメラでOKだが、月を大きく撮るなら1000~2000ミリ相当程度を実現している高倍率ズームコンパクト機もオススメ。ただ、その場合も三脚は用意したい。
高倍率ズーム機が実はオススメ
レンズ以外は特殊な機材は必要ないが、カーボン製の軽量なものでいいので三脚は用意しておきたい。月のアップには超・超望遠が必要。一眼ならAPS-C機やマイクロフォーサーズ機が有利だ。おすすめは、ニコンクールピクスP900などの高倍率ズームコンパクトだ。
コンパクト機なら月を大きく撮りやすい
高倍率ズームコンパクト機を使って1200ミリ相当で月を大きく写してみた。月は明るさが十分にあるため、コンパクト機でも画質面での不満が少なく十分きれいに撮れる。
Question.3 月撮影の露出設定は星の撮影と同じでいい?
Answer. 星は絞りを開け気味にして長時間露光を行いますが月は明るいので2~3段絞ったほうがシャープに撮れます。
星は暗く、レンズの絞りを開けての長時間露光が必要となるが、月は満月時に長時間露光を行えば、月明かりで日中のような写真が撮れるほど明るい。月に露出を合わせるなら、露出も高速シャッターで撮影できる。画質を重視するなら、大口径レンズの絞りを2~3段絞ったほうが高画質に写せるが、それでも1/60秒程度のシャッター速度が得られるはずだ。高感度性能に優れたカメラなら、感度を上げて望遠の手持ち撮影を試してみるのもいいだろう。
840ミリ相当で月の手持ち撮影に挑戦!
マイクロフォーサーズ機に420ミリのレンズを付けて840ミリ相当で手持ち撮影してみた。ISO感度200でも、シャッター速度1/160秒で撮れた。手ブレ補正の効果もあり、ブレなくシャープに写すことができた。
長時間露光を行い月明かりで写す
月明かりに照らされている風景を、レンズの絞りをF2に開けてISO400、20秒の露光を行って写した。周囲に人工光などがない条件だが、まるで日中と見まごうばかりの明るさで写し出すことができた。
月の撮影をする時は、望遠レンズと三脚が必要になります。望遠レンズは、2000ミリと聞くと驚きますが、最近では、コンデジでも2000ミリの高倍率ズームのものもあります。シャープできれいな月の撮影ができるようにシャッター速度や絞りの調整を行いましょう。