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【展望夜景の撮り方④】夜景の華やかさを強調するホワイトバランスの設定は?

ビルやタワーなどの展望室、もしくは山頂にある展望台といった場所からはきらびやかな夜景も狙うことができます。ここでは、そんな美しい展望夜景に特化した撮り方をご紹介いたします。

 

撮影:川北茂貴

展望夜景の撮り方

 

夜景の明るさ&色味に正解はないので撮影者のイメージで決めてOK

展望夜景写真には、厳密な適正露出というものはありません。被写体によって明るめ、暗め、どちらの露出も正解となりえますが、メインの被写体が最適な写りになっているかどうかを露出の決定基準にするといいでしょう。夜景の色味はホワイトバランスの設定で決めます。色味は露出以上に撮影者の好みが分かれるところですが、WB「白色蛍光灯」が合うシーンが多いように思います。また、WB「オート」でも案外いい色味に仕上がることがあるので試してください。

 

基本テクニック

夜景の色味はホワイトバランスで決める
色味の調整はホワイトバランスで行うが、都市夜景にはさまざまな光源が使われているため、「これが正解!」というような設定はない。しかし比較的、WB「白色蛍光灯」の色合いが似合う。また、トワイライトの空を背景に夜景を狙う際は、WB「太陽光」でもきれいだ。夜景はイメージが重要なので、肉眼と違った色合いでもOKなのだ。

 

<オート>

撮影:川北茂貴

 

◎白熱蛍光灯

撮影:川北茂貴

 

都会夜景にはWB「白色蛍光灯」がマッチすることが多い
ここではまず、WB「オート」で撮影した。少し赤みが強く、空の色も濁ったように写ってしまった。観覧車の主張も弱い。そこでWB「白色蛍光灯」に設定変更。空がきれいな濃紺になり、ビルの明かりもクリアに再現された。また、観覧車も背景から浮き上がっている。

 

<オート>

撮影:川北茂貴

 

<白熱蛍光灯>

撮影:川北茂貴

 

<白熱電球>

撮影:川北茂貴

 

WB「白熱電球」を選択して無機質な印象を表現する
WB「オート」「白色蛍光灯」「白熱電球」で撮影したが、どの色味も悪くないので迷う。今回は青みが強く、クールで都会的な印象となった「白熱電球」を選んだ。別の機会なら気分の変化でほかの設定(色味)を選ぶかもしれない。夜景の色合いに正解はないのだ。

 

応用テクニック①

トワイライトを印象的に演出したいならホワイトバランスで青みを強調しよう
デジタルカメラは、ホワイトバランス機能によって青みや赤みなどのバランスを調節できる。本来は色の偏りを補正するための機能だが、あえて偏らせて表現に利用するのもテクニックの一つだ。例えば青みを強めることで、くすみがちな日没後の都会の景色を、印象的な夜景に写すことができる。

 


撮影:鹿野貴司

 
同じ場面をWB「オート」で撮影。光がないために色みに乏しく、全体的にグレーっぽい写真になってしまった。これでは印象は弱い。

 

撮影:鹿野貴司

 

WB「蛍光灯」で印象的な夕暮れ夜景に
夕空がだんだんと青く変化する時間帯。しかし、この日は曇りで色みのない風景になってしまった。そこで、WB「蛍光灯」に設定。夕暮れのオフィス街を青っぽくに表現した。窓から漏れる光や車のヘッドライトには景色ほど青みの補正がかからないので、明かりの赤みは保たれている。

24ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/10秒) -1補正 ISO1600 WB:蛍光灯

 

応用テクニック②

電球などの光源は白とびしてもOK背景とのバランスを大切に
昨今のデジタル一眼には白とび警告表示機能が備わっている機種も多く、白とびはダメだと勘違いしている人も多い。しかし、画面全体の明るさを優先するときは、白とびを気にせずに露出を決めることがある。特に夜景写真は光源の集まりで、その1点1点に強弱があるので白とびは避けがたい。ただし、画面のアクセントとなるような目立つ被写体の白とびは避けよう。

 

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撮影:川北茂貴

 


撮影:川北茂貴

 

白とび自体よりも周囲との明暗差に注意
下の写真でもライトアップの光が当たっている部分は白とびが起きているが、本来白い橋なので、それほど違和感はない。ここで白とびしないように暗く撮ると、全体が暗くなってしまう。同じ白とび画像でも上の写真はNG。照明の光量は同じなのだろうが、周囲が暗くなり橋との明暗差が大きくなりすぎて不自然だ。

 

 

展望夜景の色味は、ホワイトバランスで調整しましょう。夜景は、どんな写真が撮りたいかのイメージが重要ですので、好みの色合いなどを探ってみましょう。