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【阿波おどりの撮り方②】キメのポーズを狙って撮る

「阿波おどり」は数分単位の演目を繰り返す。そして演目の節目となる瞬間、あるいは演目が一巡したところで、キメのポーズを見せる。このキメの瞬間は激しく続いた動きが緩慢になったり、止まったりするので、絶好のシャッターチャンスだ。このキメのポーズは歌舞伎の「見得(みえ)」に相当するもので、日本の芸能ではよく見られる。これも踊りをよく観察することで、タイミングをつかめるようになる。

 

演目の節目で見せるキメのポーズを撮ろう

「女踊り」「男踊り」の隊列が距離を詰め、密集隊形でゆっくりと進む演目のクライマックス。絶好のシャッターチャンスなので、キメのポーズをとる瞬間を狙って、撮りたい。密集隊形は、望遠レンズで離れた所から正面気味に狙うのがベスト。沿道から撮る場合、近くまで来ると、斜めないし横から撮ることになり、踊り手が規則正しく並ぶ様子を撮れなくなる。

 

密集隊形でゆっくりと進む様子を望遠レンズで捉えた。ストロボの光が届くよう、ISO感度を高く設定し、中央の踊り手が頭上に弓張り提灯を掲げる「キメ」の瞬間を狙う。すべての踊り手の動きがシンクロし、美しい瞬間が撮れた。

180ミリ相当 絞り優先オート(F5.8 1/125秒) −0.3補正 ISO2000 WB:オート ストロボ使用

 

ステージで舞う「おどり広場」でじっくりと撮る

「阿波おどり」は、踊り手が道を踊り歩き、その沿道や観客席から観覧する「演舞場」で見られるほか、街頭に設けられたステージで踊る「おどり広場」でも楽しめる。このおどり広場には、次々と「連」(踊りのグループ)が踊り込んでくるので、観客席を確保すれば、居ながらにして、すべての「連」の踊りを撮ることができる。演舞場での踊りと若干異なるが、1つ1つの踊りを丁寧に撮りたければ、「おどり広場」で撮るとよい。

 

踊り手と観客席との距離が近い「おどり広場」では、標準ズームレンズでも撮影できる。また、ISO感度をあまり高くしなくても、ストロボの光がしっかりと届く。演舞場では見せない、横一列に踊り手が並ぶ瞬間を狙った。

40ミリ相当 シャッター優先オート(F4 1/80秒) −0.3補正 ISO1600 WB:オート ストロボ使用

 

踊りの演目が終わると、踊り手全員が集まり、キメのポーズをとった。この瞬間を間近に撮れるのも「おどり広場」ならでは。

35ミリ相当 シャッター優先オート(F4 1/60秒) −0.3補正 ISO1600 WB:オート ストロボ使用

 

グループの先頭に注目してチャンスを捉える

演舞場を踊りながら進む「連」は、先頭の踊り手を狙いたい。先頭の踊り手であれば、前を遮る踊り手の姿がないので、全身を入れたカットを撮りやすい。

 

小道具として扇を使う「連」の先頭にいる踊り手を縦位置で撮影。踊りの振り付けを観察し、男性の踊り手と女性の踊り手の動きが揃う瞬間を狙った。手前に障害物もなかったので、全身を入れて撮ることができた。

132ミリ相当 シャッター優先オート(F4 1/100秒) ISO800 WB:オート ストロボ使用